見出し画像

トルコのイスタンブールで、ロシアとウクライナの停戦交渉を開催。

AP通信、CNN、ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2022年03月29日に、ロシアとウクライナの停戦交渉が2022年03月29日に、イスタンブールで行われたと報告した。

その場に、戦争を終わらせようとしない米国は参加していない。

https://time-az.com/main/detail/76544

トルコのエルドアン大統領(Turkish President Recep Tayyip Erdogan)が仲介役を務め、両国の代表者や、プーチン露大統領と近い関係にあるとされるチェルシー・サッカークラブ(Chelsea soccer club)のオーナーで実業家のローマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)らが出席した。ロシアがウクライナの首都キエフ(Kyiv)などでの軍事活動縮小を発表するなど、進展が見られたと伝えている。

トルコのユニークな政治的立場が注目されている。ヨーロッパと中東にまたがるこの国は、果たして和平工作を行うことができるのだろうか。と言う疑問も指摘されている。

戦争が激化する中、さらなる流血や紛争がウクライナの国境を越えて広がるのを避けるため、仲介の可能性を探る国が増えつつある。

今月初め、トルコは南部のアンタルヤ(Antalya)でウクライナとロシアの外相を招いて3者会談を行った。その後、トルコの外相はモスクワとキエフの両都市を訪問した。

同様に、イスラエルのナフタリ・ベネット首相(Israeli Prime Minister Naftali Bennett)も同じ目的でモスクワを訪問した。そして、中国は仲介の用意があることを示唆した。アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)、インド(India)、南アフリカ(South Africa)など、他の国も何らかの解決策を仲介する可能性がある。

仲介役を争うほぼすべての国が、しばらくの間、欧米とロシアの間で戦略的な均衡を図る行為も行ってきた。仲介役を務めることは、紛争がこれ以上悪化するのを防ぎ、国際的な地位を確立するための手段である。しかし、それは同時に、戦争によって迫られるかもしれない困難な選択、例えば、どちらかの側をより明確に選ぶ、あるいは傾けるといったことを避けるための方法でもある。

しかし、ロシア・ウクライナ紛争におけるフェンスシッターは、調停者だけにとどまらない。エジプト(Egypt)、サウジアラビア(Saudi Arabia)、パキスタン(Pakistan)、モロッコ(Morocco)など、「中立」を選択した国も少なくない。中立の根拠は国によって異なるが、いくつかの理由は共通している。

また、米国・西欧の政策に対する不満の意思表示でもある。

国際システムが変化している。そして、今回のことで、世界はもはや米国や西洋中心ではなく、ますます多極化しているという考え方が、非欧米圏に広まっている。それは、彼らの対ロシア、対中国政策にも影響を与えている。

交渉に参加したロシアのフォーミン国防副大臣(Russian Deputy Defense Minister Alexander Fomin)は記者会見で、「相互の信頼を深め、さらなる交渉と合意締結に必要な条件を整えるため」、ロシア国防省はキエフと北部チェルニーヒウ(Chernihiv)での軍事活動を大幅に縮小することを決定したと説明した。

今月初め、安全保障を米国に依存するUAEとサウジアラビアの支配者が、ジョー・バイデン大統領からの電話に出るのを控えたのは、そのことを物語っている。これは、イエメンでの作戦がうまくいかなかったことに対する米国の不十分な支援に対する不快感を伝えるためのものであった。

食糧やエネルギーの供給から地政学的な脆弱性に至るまで、多くの要因が彼らのアプローチを定義している。

例えば、エジプトは米国と軍事的に緊密な関係にあるが、食糧安全保障の面ではモスクワに大きく依存している。また、リビアではロシアと緊密に協力し、共に軍閥のハリファ・ハフタール(Khalifa Haftar)を支援している。

キエフはハフタールがウクライナでロシアを援助するために傭兵を送っていると非難している。

同様にインドも、中国への対抗勢力として欧米を必要としながらも、長年モスクワと密接な関係を保ち、ロシア製ミサイルシステムS-400(Russian missile system S-40)を購入し、ロシアと欧米の間でバランスをとる政策をとってきた。

しかし、これらの国々の中で、トルコはユニークなプロフィールとポジションを持っている。トルコはNATOに加盟しているが、NATOはロシアや旧ソ連が存在意義や脅威の根源となる組織である。

トルコのエルドアン大統領は、欧米中心の国際システムを非難する姿勢を強めている。しかし、多くの西側機関のメンバーであるトルコは、受益者でもあり、ある意味、地政学的な西側の一部でもある。

一方、トルコはウクライナ、ロシアの両国と海洋上の国境を接していることも事実である。

加えて、トルコは中東・北アフリカ地域におけるロシアの最大の貿易相手国である。そして、近年のシリア(Syria)、リビア(Libya)、ナゴルノ・カラバフ(Nagorno-Karabakh)の紛争地帯を通じて、ロシアと競争し、協力してきた。

他の調停候補者と比べても、トルコはこの紛争に最も高い利害関係を有している。この戦争は、黒海(Black Sea)地域の地政学とパワーバランスを根本的に変えつつあり、トルコは黒海の主要国である。

すでに数百万人にのぼる難民の増加に伴い、トルコも近い将来、人道的な役割を果たすことになるのだろう。

フランスのマクロン大統領(French President Emanuel Macron)は、フランス、トルコ、ギリシャが共同でマリウポリ(Mariupol)に避難することを発表したが、これはエルドアンの政策において今後さらに顕著になるであろう人道的役割の前触れである。

ロシアを刺激しない方針とは裏腹に、トルコは同時に等距離政策もとっていない。ウクライナに武装無人偵察機を販売し、ロシアの標的に大きな損害を与えているし、トルコ海峡を軍艦で封鎖している。

ロシアは黒海を支配しているだけでなく、地中海にも大きな勢力を持っており、シリアやリビアでの紛争に深く関与している。トルコの海上封鎖は、戦争が長期化した場合、これらの紛争地におけるロシアの政策に圧力をかけることになる。

しかし、他のNATO加盟国とは異なり、トルコは西側の対モスクワ制裁に加わらず、ロシアに対して領空を閉鎖していない。そうすれば、紛争を調停しようとするトルコに対して、おそらくロシアの拒否権が発動されただろう。そして、トルコに向かうロシアの反戦活動家(anti-war Russian activists)や親クレムリン派の人物(pro-Kremlin figures)はますます増えている。

トルコは基本的に、あまり積極的な反ロシアにならずに、親ウクライナになろうとしている。首都アンカラは、経済的にも地政学的にもロシアに深く接している。ロシアはトルコにとって、観光客、穀物輸入、ガスの最大の供給源である。

いずれにせよ、現段階では、欧米がトルコに対して対モスクワ制裁体制への参加をより強く働きかける気配はまだない。また、トルコの努力にもかかわらず、モスクワは依然として軍事オプションに固執しているように見えるため、この紛争はまだ調停の機が熟したとは言えない。このことは、この紛争における努力や協議がなくなることを意味するものではなく、それどころか、さらに増えることが予想される。

それに、調停はトルコの利益にもつながる。国際的な地位を高め、トルコをこの紛争における外交の主要な中心地のひとつにし、この先直面するであろう難しい決断を遅らせることができる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?