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イギリス政府、公共部門のスト制限法案を提出。

ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2023年01月11日に、イギリス政府は2023年01月10日に、必要不可欠な公共サービスの従事者に対し、ストライキ中も最低限のサービス提供を義務付ける法案を下院に提出したと報告した。

今回は、イングランド(England)とウェールズ(Wales)で、NHS(National Health System/国民医療制度)の救急職員が賃上げを求め、2022年12月21日に、トライキに踏み切った。

イングランドとウェールズでは、倒れても、事故に遭っても、命に関わらない時は、NHSの救急職員は駆けつけてくれないという事態になった。

また空港や鉄道ストが頻繁に行われ、ロイヤルメールまでがトライキに踏み切った。

このような経緯から、医療、教育、消防、救助、運輸、国境警備、原子炉廃止の6分野のストがが対象となる。

物価高を背景に公共部門のストが相次ぐ中、国民生活への影響を抑える狙いだが、労働組合はストの権利を侵害するとして、提訴も辞さない構えを示している。

イギリスでストライキは、民主主義に規制にもなる。

グラント・シャップス民間企業・エネルギー・産業戦略相(Grant Shapps, Minister for Private Enterprise, Energy and Industrial Strategy)は下院で、公共部門の労働者のストの権利は保護するとした上で、「政府には国民の安全を守る義務がある」と強調した。この法案はドイツやフランスなど欧州の主要国で法制化されているものと同様の「常識的な内容」としている。

ただし、ストの歴史は、イギリスから始まったとも言えることから、民主主義の根幹に関わることになるので、十分に話し合う必要がある。

グラント・シャップスによると、NHSの看護師労組は先のストに際し、政府と最低限の人員を維持することで合意したが、救急隊員の労組からはこうした合意が得られず、法制化の必要性が示されたとしている。

労働党のアンジェラ・レイナー副党首

これに対し最大野党・労働党のアンジェラ・レイナー副党首(Deputy leader of the Labour Party, Angela Rayner)は、労組は労働争議中の安全確保措置を既に取っていると反論。医療や運輸の危機は保守党政権が招いたもので、ストがなくても鉄道はまともに動かず、NHSの危機により国民は危険にさらされていると指摘した。

またTUC(Trade Union Congress労働組合会議)は、同法案は「非民主主義的かつ適用不能で、確実に違法だ」と反発。「この法案が成立すれば紛争が長引き、労使関係の悪化によりストがさらに頻発する。」と警告している。

2022-12-22---イギリスで、みんなが感謝していた救急隊員1万人がスト!

https://www.gov.uk/government/news/government-introduces-laws-to-mitigate-the-disruption-of-strikes-on-the-public

https://www.tokyo-np.co.jp/article/224628
https://www.bbc.com/news/uk-politics-64223974



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