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フランス政府、フランス電力を完全国有化。

フランスのエリザベス・ボルヌ首相(Prime Minister of France, Elisabeth Borne)は2022年07月06日に、国民議会(下院)での施政方針演説で、EDF(Electricité de France/フランス電力)を完全国有化すると明らかにしたと報告した。

EDFは原子炉の一部停止や政府の電力料金抑制策により利益が落ち込み、負債も拡大しているためで、政府の管理下に置くことでエネルギー危機への対処を目指す。

ボルヌ首相は演説で、ロシアのウクライナ侵攻とこれに伴う課題に直面するために「国家として自立性を維持しなければならない。」と述べた。

政府は現在、EDFの株式84%を保有しており、残り株を市場価格で買い取るには約€50億が必要となる。

https://time-az.com/main/detail/77246


ただ、完全国有化は特別立法で行うのか、公開入札で残り株を買い取るのかは明言せず、その時期についても明らかにしなかった。

EDFは既存の原子炉の一部で腐食が生じたために運転を停止しており、これにより今年の利益が€185億縮小する見込み。また、政府は電力料金を抑えるためにEDFに価格を抑えることを求めており、これによる損失は€102億に上るという。

一方、フランスと英国で進める原発の建設が遅延してコストが超過していることなどから、今年の負債は前年から40%増えて610億ユーロを超える見通し。さらに、政府が求める新世代の原子炉6基の建設には€500億以上の投資が必要となる。

マクロン大統領は昨年、EDFを単一事業体として維持しつつ、原子力、水力、再生可能エネルギー・送電・小売りの三事業に分ける計画を策定したが、労組の反対や欧州委員会の異議を受けて断念していた。主要労組のCGT(Confédération générale du travail/労働総同盟)は完全国有化について、原発の価格設定方法を抜本的に見直さない限り、解決にはならないと指摘している。

また、労組の争議を押さえ込む狙いあるのではないだろうか?

しかし、このままでは、EU、ECに加盟していないウクライナの戦争で、EU全体の電力会社が崩壊する。

それでEU、ECは良いというのか?

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