ドイツのエネルギー大手ユニパー、ドイツ政府と救済協議。

ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2022年07月01日に、ドイツのエネルギー大手ユニパー(Uniper)は2022年06月29日に、政府から救済を受けるための交渉を進めていると明らかにした。

ロシアからのガス供給が大幅に低下し、代替調達に一段の追加コストがかかる場合に備えた措置で、融資保証を受けることやKfW(Kreditanstalt für Wiederaufbau/ドイツ復興金融公庫)による融資枠の拡大に加え、政府から直接出資を受ける可能性も検討中としている。

それによると、ロシアの天然ガス世界最大手ロシア国営ガスプロム(Gazprom/Газпром)からの供給は、2022年06月16日以降に受け取るはずだった量の40%にとどまっている。不足分は他から調達しているが、追加コストをガス料金に上乗せできない中で財務状態が悪化しているという。

米国の新聞「ブルームバーグ(Bloomberg)」によると、ドイツのベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相(Deutscher Vizekanzler und Minister für Wirtschaft und Klimaschutz, Dr. Robert Habeck)も同社の救済に向けた協議を行っていることを認めた。

https://time-az.com/main/detail/

ユニパーは併せて、2022年通期の業績見通しを撤回。上半期(01～06月)の業績は前年同期を大幅に下回ると警告している。この発表を受け、同社の株価は一時23%下落した。

同社は2022年05月、第1四半期(1～3月)の決算は純損失が€31億100万となり、前期の€8億2,000万の黒字から赤字に転落したと発表。ただ、通期ではEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)が€10億～€13億、特別損益を除く純利益が8億～11億ユーロになるとの見通しを維持していた。

なお、ユニパーにはフィンランドの電力大手フォータム(Fortum)が76%出資する。フォータムはフィンランドの国有企業のため、ユニパーの経営悪化はフィンランド政府に影響を及ぼす可能性がある。

解決の可能性も、見えないことから、ドイツとフィンランドで連鎖倒産も起こりかねない。

これは、ドイツとフィンランドだけに限ったことではなく、他のエネルギー会社も同様だろう。

ロシアへの制裁は、自国の床の下を掘っていることにもなる。

ロシアの前に、自国が危ない。

2022-06-23---ドイツ、ロシアのガス供給削減で、対策第2段階「警戒」発動。
2022-06-20---ドイツの再生可能エネルギーで、太陽電池のシェアは22%に上昇。
2022-06-20---ドイツは石炭火力を11ギガワット削減。
2022-06-15---ロシア国営ガスプロム、ドイツに天然ガスを送る「ノルドストリーム」の供給量を60%削減。
2022-06-15---ロシアからドイツへのガスの流れはこれだけある。
2022-06-12---ロシア、ウクライナ侵攻後100日で化石燃料€930億輸出。
2022-06-12---燃料補助金、脱炭素に逆行し、世界で推計100兆円超。
2022-06-08---米国のテキサス州のLNGプラント「フリーポート」が3ヶ月間停止を発表。
2022-06-03---EU、ロシア産石油を段階的禁輸する追加制裁発動。
2022-05-31---ロシア国営ガスプロム、ドイツへのガス供給も一部停止。
2022-05-31---EU首脳会議、ロシア産石油禁輸、年内に9割削減で合意。
2022-05-31---ロシアの石油はどこに流れているのか？
2022-04-27---ロシア、ルーブル建て支払い拒否で、東欧2カ国にガス供給停止。
2022-03-02---EU、ロシア7行をSWIFTから排除。イギリス、ロシアとベラルーシに制裁。
2022-02-28---ロシアのウクライナ侵攻受け、シェル、ロシア合弁から撤退へ。
2022-01-17---ドイツで天然ガス価格、1年で549％上昇。
2021-11-16---ドイツ当局、新パイプライン「ノルドストリーム2」の承認手続きを一時停止。
2018-07-24---ロシア国営ロスネフチ、「サハリン1」で日本勢などを提訴。