ブックマークしておきたいBig Dataのダッシュボード。
米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2022年11月03日に、ビッグ・データ(Big Data)は新しい石油である - 研究者や企業は何年も前からそう言ってきました。もはや新しいものではnaiが、石油と同様にデータも精製、処理、そして人々が使えるようにするためのインターフェースやダッシュボードが必要である。
データダッシュボードは、データから得られる重要な情報を、一般の人々がアクセスしやすい方法で伝えるための視覚的な手段である。
ジョンズ・ホプキンスのコロナウイルス・リソース・センター(Johns Hopkins Coronavirus Resource Center)は、有名なダッシュボードを備えている。
これは、一般市民、政策立案者、医療従事者がパンデミックに対応できるように、症例、死亡、検査、入院、ワクチンに関するデータを収集・分析するために開発されたもので、科学者たちはこのダッシュボードを利用している。
このダッシュボードは、世界中のCOVID-19の状況についてのデータをモニターし続けている。
NSFの一部である国立科学技術統計センターも、米国のSTEM企業に関する情報をまとめた「Science & Engineering State Indicators」などのダッシュボードを作成している。全米科学委員会と共同で作成したこのダッシュボードは、初等・中等教育、高等教育、労働力、財務研究開発のインプット、研究開発のアウトプット、経済における科学技術という6つの大分類にまたがる60種類の指標について州レベルの情報をまとめたものである。
ダッシュボードはあらゆる科学分野において重要なツールであり、NSFは全米の他の組織が作成したダッシュボードもサポートしている。
蚊の追跡。
蚊は、病気を媒介する数が少ないにもかかわらず、毎年100万人以上の命を奪い、地球上で最も危険な動物のひとつに数えられている。公衆衛生の脅威を軽減するためには、蚊の追跡と監視が重要である。南フロリダ大学(University of South Florida)の研究者たちは、蚊が媒介する病気を監視するための「Global Mosquito Observations Dashboard」を作成した。
このダッシュボードは、市民科学者が蚊の写真を撮影することによって成り立っている他のアプリのデータを集約した。
研究者たちは、市民科学者にチクングニア(chikungunya)、デング熱(dengue)、黄熱病(yellow fever )、ジカ熱(Zika)の媒介蚊を探すよう依頼し、ダッシュボードをテストした。その結果、市民科学者が蚊の位置を特定し、侵略的な蚊の種について初めて記録された。研究者によると、このアプローチにより、費用やロジスティクスの問題で通常不可能な規模の国際的なデータが得られるとのことである。
昆虫や病気が森林の健全性に与える影響。
パデュー大学(Purdue University)が主催するAlien Forest Pest Explorerは、複数のソースからの情報を組み合わせて、さまざまな森林の昆虫や病気の影響と、さらなる被害の可能性を示している。このダッシュボードは米国森林局(U.S. Forest Service)の支援を受けており、害虫のデータと森林の宿主樹種の状態や健康状態に関する関連データを重ね合わせ、郡レベルまで解像度を下げて表示します。
パデュー大学農学部の教授で、NSFが資金を提供した取り組みのリーダーであるSonglin Fei氏は、「私たちは、害虫と宿主樹種の関係をより理解し、森林の脆弱性を評価することで、森林を保護し保全するために最善の決断をしたいと思います」と語っています。「これは専門家のためだけでなく、すべての人のために設計されたものです。害虫や病気の予防は、あなたの家の裏庭から始まるのです。私たちは、このツールを樹木の世話をするすべての人の手に渡したいのです。そうすれば、どんな害虫に直面する可能性があるか、それをどう見分けるか、どうすれば樹木や森林を守ることができるかを理解してもらえるでしょう。」
米国のエネルギーの歴史。
エネルギー利用と気候変動は密接に関係しており、環境の変化が経済、食糧および水の安全保障、エネルギー供給に及ぼす影響に対処することは、ますます緊急の課題となっている。米国のエネルギー史の可視化プロジェクトは、過去の米国のエネルギー変遷を理解することで、将来の意思決定の指針となり、世界のエネルギーへの取り組みを変革することができるという考えに基づいて推進された。
サンケイ図(Sankey diagram)として知られるこのダッシュボードは、線幅を使って、一次エネルギー源から最終用途まで、毎年一人当たりのエネルギーの流れを表しており、米国における200年にわたるエネルギー使用の変遷をカバーしている。このプロジェクトの目的は、社会と地球の潜在的未来について理解を深め、政策立案者が十分な情報に基づいて意思決定を行うのを助けることある。NSFが推進するこのプロジェクトは、シカゴ大学(University of Chicago)の「気候・エネルギー政策に関する強固な意思決定センター(Center for Robust Decision Making on Climate and Energy Policyand)」の取り組みであり、経済学(economics)、物理科学(physical sciences)、エネルギー技術(energy technologies,)、法律(law)、計算数学(computational mathematics)、統計学(statistics)、コンピュータサイエンス(computer science)の専門家が参加している。
研究者と学生は、アラスカの人々に土砂崩れの警告をするために、リアルタイムの土壌水分測定を行う、AK州シトカ(Sitka, AK)に水文モニタリングステーション(hydologic monitoring station)を設置する。
Credit: Jacyn Schmidt, Geoscience Coordinator, Sitka Sound Science Center
アラスカでは、永久凍土の劣化、急傾斜、豪雨、氷河の後退、地震などが、壊滅的な地滑りを引き起こす要因となっている。シトカで開発された地滑り警報システムは、現在オンライン・ダッシュボードとして一般に公開されている。
シトカ・サウンド・サイエンス・センター(The Sitka Sound Science Center)が中心となって、3日先までの地滑りの危険性に関する情報を住民に提供する取り組みが行われました。シトカ地滑りリスクダッシュボードでは、情報の評価方法や、家を離れることを決めた場合にどうすべきかという提言も行っている。
開発には、NSFからのUS$200万の助成金のもと、30人の科学者と大学の研究者が参加した。パートナーには、NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration米国海洋大気庁)、米国地質調査所(United States Geological Survey)、ランド研究所(RAND Corporation)、アラスカのシトカ族( the Sitka Tribe of Alaska)が含まれ、オーラルヒストリーの収集にあたった。
開発者は、このダッシュボードを拡張して、地域の地滑り警報システムにしたいと考えている。すでに、アラスカ州の他の都市や地域でも同様の警告システムを構築する作業が進められている。
Antmaps.orgは、世界の昆虫の多様性を追跡している。
出典:Antmaps.org
アリ集団の多様性を監視する
アリは1万4,000種以上存在し、その数は少なくとも250万対1で人間より多く、地球環境において重要な役割を果たしている。しかし、アリの基本的な情報は謎のままである。そのため、さまざまな種の保護に貢献することが難しくなっている。
世界中の研究機関の研究者たちは、研究論文、オンラインデータベース、博物館、科学的なフィールドワークから得た約150万件の位置情報をつなぎ合わせ、昆虫の多様性に関する最大の世界地図「Antmaps.org」を作成した。研究者たちは、このデータが今後の保護活動に活用されることを期待している。
フロリダ自然史博物館(Florida Museum of Natural History)の生物多様性情報学学芸員である共著者のロバート・グラルニック(Robert Guralnick, curator of biodiversity informatics)は、「これは、重要な生態系エンジニアであることが知られているグループにとって大規模な仕事です.」と述べている。「共著者だけでなく、世界中のアリの分布に関する知識を提供してきた多くの自然科学者の努力の賜物である。
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