楽天グループが「オンプレ回帰」を決断。
日経クロステックは2022年12月12日に、楽天グループがオンプレミス(自社所有)環境のプライベートクラウド「One Cloud」を拡充し、グループ企業の各種事業が用いるIT基盤の統合を進めることが日経クロステックの取材で分かったと報告した。
現在、パブリッククラウドで稼働させているシステムは多数あるが、原則として「One Cloud」へシフトしていく。
グループ全社でIT基盤のプライベートクラウドへの集約を進めてコスト効率を高めるほか、IT基盤のノウハウを蓄積し、安定稼働やセキュリティー強化につなげるという。
プライベートクラウドは、新たに参入を計画する法人向けITサービスの基盤にも活用する。
計画するのは本人確認に使うeKYCやWebサイトのアクセス分析、電子決済の機能などである。いずれもグループの事業で使うために開発した技術で、従量制のパブリック・クラウド・サービスとして外販する方向で準備を進めている。
つまり、オンプレミス(自社所有)環境のプライベートクラウド「One Cloud」を拡充し、パブリッククラウドで稼働させているシステムを「オンプレ回帰」させ、
さらに、従量制のパブリッククラウドサービスとして外販するという。
部分的だった「One Cloud」の利用を、まず楽天市場で全面採用するという。
楽天グループが「One Cloud」の構築に着手したのは2018年に遡る。
さまざまな事業で使うことを想定して仕様を標準化したり、簡単な設定で仮想サーバーを払い出せる仕組みを構築したりしてきた。
ただし現在、「One Cloud」の利用は中核のネット通販「楽天市場」での部分利用や動画配信事業などにとどまる。
そのほかは、サイトの機能や事業ごとに個別のIT基盤を構築したり、米国のAWS(Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)など大手パブリッククラウドを組み合わせて使ったりしているが、それを「オンプレ回帰」させるという。
楽天グループは平井康文副社長執行役員CIO&CISOら経営幹部による議論を通じて、2022年から「One Cloud」を拡充する方針を確認した。
楽天グループ本社の中核事業で「One Cloud」への集約に着手したほか、金融や海外子会社などの傘下企業にもOne Cloudへの移行を優先的に検討するよう呼びかけを始めた。プロジェクトを指揮する吉田弘典クラウドプラットフォーム統括部ジェネラルマネージャーはその狙いを「集約的に運営するプライベートクラウドの『One Cloud』によりコスト効率を高めるほか、IT基盤を自らのコントロール下で運用することにより、安定稼働やセキュリティー対策に関する説明責任と透明性を高められる」と説明する。
中核事業では楽天市場の主要な機能は原則として「One Cloud」へ集約する方針で移行を進めており、大部分を「One Cloud」の利用に切り替える方針だ。このほかにポイントや電子決済などの事業でも「One Cloud」への集約を進めていく。
子会社については、移行が最も難しい金融事業でも検討を始めたという。楽天銀行や楽天証券、楽天生命保険などが対象で、現在はそれぞれ基幹業務システムやWebサイトを個別のIT基盤や外部のクラウドサービスを使って稼働させている。まず会員向けWebサイトやスマートフォン向けアプリの稼働環境を「One Cloud」に移行する方向である。基幹業務システムはシステム刷新のタイミングで移行が可能か、中長期での実現可能性を各社が検討するという。
「本社の技術部門から説明を受けており、基幹系は5年などの中期で可能かどうかを検討する。」
すごく正しい方向性である。
Amazonやアリババなども、この流れで成功している。
社内に人材も増え、些細な問題も容易に解決できるようになる。
楽天グループは、どんどん大きくなる。