世界で最初の機械式計算機。パスカルの「パスカル式計算機」の計算方式。

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Cantor’s Paradiseは米国のMedium Daily Digestで2021年08月08日に、有名な世界で最初の機械式計算機「パスカル式計算機」について紹介した。

そういえば、昔IBMでコンピュータ年表を作っていた時、大手町にあったIBMコンピュータ博物館に、「パスカル式計算機」のレプリカがあり、これはどう計算するのでうか?と聞いたら、誰も知らなかった。

「人類のすべての問題は、人間が一人で部屋に静かに座っていられないことに起因する。」― Blaise Pascal, Pensées

数学は、今ではあらゆる科学分野に欠かせないものとなっている。
私たちの頭の中で実行できるものもあるが、中には電卓を使わなければならないような面倒なものもある。
現在ではデジタル化されているが、以前はそうではなかった。
最初の機械式計算機の起源は、フランスの数学者であり哲学者でもあったブレーズ・パスカル(Blaise Pascal/1623-1662)である。

https://time-az.com/main/detail/74949

パスカルは1642年頃、18歳という若さでこの機械を考案した。
10代の彼は、徴税人であった父エチエンヌ・パスカル(Étienne Pascal)の仕事を軽減したいと考えていた。
そこで彼は、真鍮製の四角い箱の中に複雑な機構を組み込んで、いくつかの数学的演算を行うことを試みた。
そしてついに、人間の知能に頼らずに算術演算を実行できる計数機を作ることができたのである。
この装置は、「パスカリン(Pascaline)」と呼ばれ、数字式計算機と名付けられた。
パスカルは、その後10年間で50以上のモデルを作り、デザインもかなり多様化した。
パスカルの数学への貢献は、彼が歴史上最も偉大な革新者であることを証明している。
パスカルの数学への貢献は、歴史上最も偉大な革新者であることを証明している。
この2つの大きな仕事以外にも、パスカルは算術的な三角形を多用していた。
パスカルの三角形とは、両端に1を置き、左から右に連続した数字のペアを足して新しい列を作ることで得られるものである。
したがって、最初の2列目以降の数字は、その前の列から得られることになり、4列目では1+2=3、5列目では1+3=4、3+3=6、そして再び3+1=4、というパターンになるのである。

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この三角形の興味深い性質は、n行目の成分が(1 + x)^nの二項展開の係数でもあることである。
したがって、n = 3の場合、(1 + x)³ =1 + 3x + 3x² + x³となり、n = 4の場合、(1 + x)⁴ = 1 + 4x + 6x² + 4x³ + x⁴となる。
この三角形は、他にもいくつかのエキサイティングな特性を持っている。パスカルの時代以前から知られ、研究されていたにもかかわらず、パスカルが確率論にこの三角形を利用したことから、パスカルの名前が付けられたことは有名である。

パスカルのデザインと作品
パスカルは、1645年に18ページのパンフレットを発行し、世界初の計算機を紹介・解説した。
計算機の前面パネルには、金属製の車輪状の入力ダイヤルと出力開口部が並んでいた。
それぞれの入力ダイヤルは、下図のように、車輪の円周上に書かれたスポークのように10に分割されている。
数字を入力するには、スポークの間にタッチペンを置き、ホイールを時計回りに回転させて、金属製のストップに到達させる必要がある。
入力された数字は、上の図の上部にある出力開口部に表示される。入力ダイヤルを使って複数の数字を連続して入力すると、出力窓にはその合計が表示されるようになっている。

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その機械は、特にギアーホイールに依存しており、2つの数字をダイヤル操作で直接入力して足し算をしていた。

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減算は9の補数法、乗除算は反復法で行われていた。
実際、その電卓は、足し算は、数字をダイヤルで入力し、結果画面で答えを受け取るだけで済んでいた。

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一方、引き算は、入力ダイヤルが時計回りにしか回転しないように設計されていたため、「パスクライン」では直接行うことができず、むしろ手間のかかる作業だった。
「パスクリン」に保存されている値は、新しい一連の計算の前にクリアされなければならない。
これは、すべての入力アキュムレータを9に固定し、最下位の桁に1を加算することによって行われなければならない。
入力ダイヤルを一方向にしか動かさないため、減算は「9の補数法」として知られる遠回りな方法で行われる。
これは、古来からある「9の補数」を「引き算」に変換したものである。
さらに、パスカルは足し算と引き算を繰り返すことで、残りの2つの算術も達成してしまった。
パスカルは、入力ホイールの数を変えて、50種類の「パスカリン」のプロトタイプを作った。
その後、パスカルはその機械を一般に公開し、フランスのピエール・セギエ首相(the chancellor of France Pierre Séguier)、さらにはフランスの大総統に献上した。
パスカルはその後10年間で、デザインや動作を大幅に改良した20台以上の機械を作った。
パスカルは、1649年にフランス国王ルイ14世(King Louis XIV of France)から、これらの計算機をさらに製造する独占権を与えられた。
50台の「パスカリン」のうち、現在残っているのは9台。そのほとんどがヨーロッパの博物館に収蔵されており、パリ国立芸術工芸学校(National Conservatory of Arts and Crafts Paris)に4台、クレモン歴史村博物館(Clermont Historic Village Museum)に2台、その他は個人の博物館に収蔵されている。

へ〜パスカルが手作りした「パスカリン」が50台あり、現在も9台残っていることは、知らなかった。

全部、レプリカかと思っていた。

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