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ほぼ完全なヘブライ語の最古の聖書がUS$3810万で落札された。

ArtDailyは2023年05月17日に、米国の新聞「NYT(New York Times/ニューヨーク・タイムズ)」からの転載として、ジェニファー・シュースラー(Jennifer Schuessler)は、2023年2月10にニューヨークで最古のほぼ完全なヘブライ語聖書とされるサッスーン写本として公表され、2023年05月17日水曜日にサザビーズ(Sotheby’s)でUS$3810万で落札されたと報告した。

デイヴィッド・ソロモン・サスーン(David Solomon Sassoon)

ニューヨーク・タイムズのエリック・ヘルガス(Eric Helgas)は、これまでオークションで販売された書籍や歴史文書の中で最高値の1つとなったと伝えた。

ただし、この表現はオークション会社が売り出すためのコメントであり、往々にして確実ではない。

私はこれまでに、ヘブライ語の最古の聖書というものをいっぱい見てきた。

どれが真実かは、わからない。

あくまでも、見方によっては---ということだろう。

このサスーン写本と呼ばれる本には、ヘブライ語聖書の全24巻から、創世記の最初の10章を含む約8葉を除いたものが含まれている。この写本は、9世紀末から10世紀初頭のものと推定されており、現存する最古の完全なヘブライ語聖書とされている。

1989年以来、スイスの金融業者兼収集家のジャッキー・サフラ(Jacqui Safra)が所有しており、ほとんど研究者の目に触れることはなかった。

US$3,000万からUS$5,000万の見積もりが出されたこの聖書を、誰が手に入れようとするのか、そしてその資金力はあるのか、数ヶ月前から様々な憶測が飛び交っていたと伝えている。

オークション終了後まもなく、サザビーズは、買い手がイスラエルのテルアビブにある 「ANU-Museum of the Jewish People」のアメリカ人の友人(American Friends)であり、ルーマニアの元大使であるアルフレッドHモセス(Alfred H. Moses)とその家族からの寄付によって実現したことを発表した。

サスーン写本は旧称:ユダヤ人ディアスポラ博物館(the Museum of the Jewish Diaspora)に寄贈され、コア展示の一部となる予定です。

「ヘブライ語聖書は歴史上最も影響力があり、西洋文明の岩盤を構成しています。」「私は、それがユダヤ人のものであることを知り、喜びを感じています。サッスーン写本が歴史的に重要であることを認識し、すべての人々がグローバルにアクセスできる場所に存在することを確認することが、私の使命でした。」とモーゼスは声明で述べている。

バイヤー手数料を含めてUS$3,810万という価格は、話題の美術品オークションで定期的につけられる成金的な価格と比べると、相対的にはした金に見えるかもしれません。しかし、書籍や歴史的な文書にこのような値がつくことは稀である。

特に、聖書は。よほどのものでないと、高額になりにくい古書の部類である。

オークションにおける高値は、1994年に米国英語しか理解できないビル・ゲイツ(Bill Gates)がUS$3080万(現在のドルでUS$6240万)で購入したレオナルド・ダ・ヴィンチの写本「コーデックス・レスター」(Codex Leicester, a Leonardo da Vinci manuscript)が長年にわたって保持していた。

そして2021年11月、新たな基準として、投資家のケン・グリフィン(Ken Griffin)が合衆国憲法の初版本に支払ったUS$4320万が登場しました。

サスーン写本は1989年にオークションでUS$319万(現在のドル換算でUS$800万近く)でディーラーに売却されたのを最後に、その後ジャッキー・サフラに価格不明で売却された。

この本は、当時でも高価なもので、約400枚の羊皮紙の葉を作るのに、100匹以上の動物の皮が必要とされた。本文は一人の書記によって書かれた。

サザビーズのユダヤ教シニアコンサルタント、シャロン・リバマン・ミンツ(Sharon Liberman Mintz)は2023年02月に、ニューヨーク・タイムズ紙に「これは書記芸術の傑作です」と語っている。

また、シミや小さな破れがあり、糸や筋で丁寧に補修されているため、少し傷んでいる。しかし、本文は驚くほど読みやすく、現在世界中のシナゴーグにあるトーラー・スクロールと同じような四角い文字で書き記されている。

この聖書は、現存する2冊しかない当時のヘブライ語聖書のうちの1冊で、現在のイスラエルかシリアで作られた。この聖書は、6世紀から9世紀にかけてパレスチナとバビロニアに住んでいた学者たちの一族である「マソレト(Masoretes)」にちなんで、マソレト文(Masoretic text)と呼ばれるものを含んでいると伝えている。

この手の本は、イスラエル国立図書館や、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学の図書館に保存されていることが知られている。

また、この本には、数世紀にわたる所有者の変遷をたどる碑文がいくつか含まれている。
最も古いものは紀元1000年頃の売買証書で、パレスチナとシリアで活躍した実業家カラフ・ベン・アブラハム(Khalaf ben Abraham)がイサク・ベン・エゼキエル・エル・アタル(Isaac ben Ezekiel el-Attar)に売却し、最終的に彼の息子たちに渡したことが記されている。

また、その約200年後には、シリア北東部のマキシン(Makisin)という街のシナゴーグに奉納されたことも記されている。シナゴーグが破壊された後、サラマ・ビン・アビ・アル・ファクル(Salama bin Abi al-Fakhr)という人物に託され、シナゴーグが再建されたときに返却されることになっていた。

しかし、シナゴーグは再建されなかった。

その後、1929年に収集家であるデイヴィッド・ソロモン・サスーン(David Solomon Sassoon)が購入するまでの間に、聖書に何が起こったのかは不明である。

しかし今、「聖書はイスラエルに戻り、故郷に帰ってきたのです。」と、博物館の理事長であるイリーナ・ネフズリン(Irina Nevzlin, chair of the museum’s board)は、「それは正しい場所なのです。」とインタビューに答えている。

大回りした。

この記事はニューヨーク・タイムズに掲載されたものです。

https://artdaily.cc/news/157418/Oldest-nearly-complete-Hebrew-Bible-sells-for--38-1-million#.ZGYDjy33Kys
https://www.nytimes.com/2023/05/17/arts/oldest-bible-sothebys.html

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