激動の国際エネルギー情勢。

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ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2021年08月31日に、EMB(Economic Media Bulletin/エコノミック・メディア・ブレティン)主催で、大きな転換のさなかにある国際エネルギー情勢をテーマに、一般財団法人「日本エネルギー経済研究所」専務理の小山堅首席研究員が最新のエネルギー情勢について解説した「EMBビジネスウェビナー」が、2021年08月27日に開かれたと報告した。

コロナ禍で大きな影響を受けた国際エネルギー情勢について、小山首席研究員は「激動の状況にある」と指摘し、短期的な影響として需要激減により、原油価格が2020年04月に大暴落したことを挙げつつ、人や物の移動需要は今後も構造的に抑制される可能性があり、新型コロナは長期的・構造的に極めて大きな影響要因になるとした。

脱炭素化における主要国の動きも解説した。

https://time-az.com/main/detail/75096

バイデン米国政権は予想されていた以上に気候変動対策を重視しており、EU(European Union/欧州連合)や中国なども含めて世界全体のトレンドは大きくカーボンニュートラルに転換しているとした。

また、国による政策の違いが産業に与える影響への対策として、EUで議論されている気候変動対策が不十分な国からの輸入品に対して水際で炭素課金を行う「国境調整措置」などを紹介している。

世界の脱炭素化は19世紀の産業革命などと同等の「まさに革命的な変化」と強調した。

エネルギー地政学の観点からは、米国、中国、ロシア、そして中東の四大プレーヤーが存在すると指摘した。中でも、米国と中国の間で「新冷戦」と呼ばれる本格的・構造的な対立関係が生じている状況を解説した。

これからの安全保障は従来の軍事面だけでなく、経済安全保障や技術覇権の概念も広く含まれるようになり、戦略財・資源・サプライチェーンが重視される「総力戦」となっていると解説した。

また、少なくとも当面は中国のエネルギー需要増加が国際市場をリードするとみられ、中東やロシアにとっては中国の存在感が一層高まっているとした。

最後に、エネルギー基本計画改定の最終段階を迎えている日本のエネルギー政策を紹介。菅政権が掲げる2030年度の温室効果ガスを13年度比で46%削減する目標について「容易ならざる挑戦」としたが、ビジネスにとっては新しい機会になることに目を向けていく必要があると述べた。

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