台湾ウイスキー。飲んで良し！投資に良し！

アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年04月07日に、食生活の欧米化などを背景に、台湾でウイスキー人気が高まっていると報告した。

本場・イギリススコットランド産の輸入額は世界上位に入る。地場ブランドの成長も目覚ましく、金車集団(キングカーグループ)が手掛ける「カバラン(KAVALAN)」は国際的な賞を獲得した。

投資対象としても注目を集め、オークションでの高額取引が話題を呼んでいる。

業界関係者によると、台湾ではもともと高粱酒(コーリャン酒、白酒とも呼ばれるアルコール度数の高い中国発祥の蒸留酒)など伝統的な酒が好まれてきたが、食生活の欧米化のほか、海外の文化を柔軟に受け入れる台湾人の気質もあり、幅広い年代の台湾人がウイスキーを飲むようになった。

近年はレストランやバーだけでなく、コロナで外出を控えるようになったこともあり、自宅などプライベートな場所で楽しむ傾向も強まっているという。

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イギリススコッチウイスキー協会によると、2020年のスコッチウイスキー輸出額のうち台湾向けは米国、フランス、シンガポールに続く4位で、£1億8,200万(約284億円、前年比11.5%減)。

輸出額7位の日本(£1億1,400万、同22.1%減)や10位の中国(£1億700万、20.4%増)など人口規模で上回る国々を抑え、東アジアでは台湾が1位だった。

一方、同年の輸出量を見ると、台湾は上位10位の圏外だった。台湾のウイスキー製造企業の関係者は「単価が3,000台湾元(約1万2,400円)以上する、比較的高額な輸入ウイスキーの販売が急速に伸びた」と分析し、「台湾人は量ではなく質を求めている」と指摘した。

台湾産ウイスキーも人気で、金車集団が手掛ける「カバラン」は、2005年、宜蘭県に台湾初のウイスキー工場を開設して以来、一貫してウイスキー生産に力を注ぐ。現在は需要拡大に向け、3カ所目の熟成倉庫の建設を進めている。

「カバラン」の販売額は全体の半分が台湾で、残りを欧米や中国が占めるが、日本にも積極的に展開する。

世界のウイスキーを品評する「TWSC(Tokyo Whisky & Spirits Competition/東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)」では2019年から2021年にかけて3年連続で最高金賞を獲得した。

「SNS(会員制交流サイト)でも、日本で『カバラン』に関する投稿が増えている。」と、ブランドのPRを担当する蔡欣嬑は手応えを口にする。

新北市でウイスキーを製造する合力酒業(Holy Distillery/ホーリー・ディスティラリー)の最高経営責任者(CEO)張佑任は「カバランが海外の品評会に出品したり、広告を出したりすることは、『台湾がウイスキーの製造に適している』というイメージの形成につながっている。」と評価する。

各国で酒販や外食業界を苦しめる新型コロナウイルス感染症の影響については、海外向けのオンライン販売の業績も伸びており、蔡欣嬑は「感染拡大による打撃は大きくない」と強調する。感染対策のため飲食店が営業規制を受ける中、消費者向けの販売に力を入れる。台湾全域に約50の専門店を展開しているほか会員システムを構築し、マーケティングに生かしている。

実は感染の拡大が、地場ブランドが台湾でのシェアを拡大するチャンスになるとの見方もある。コロナの影響で台湾へのウイスキー輸入が困難になっているからだ。蔡欣嬑は「この時期にしっかり準備することで、台湾メーカーがシェア拡大できると信じている」と話している。

また、台湾で2019年に行われたオークションで、サントリーのウイスキー「山崎50年」が1,351万2,500元で落札された。日本のウイスキーの落札価格としては当時の最高を記録した。

そのオークションの運営会社、羅芙奥芸術集団(Ravenel)で酒類を扱う部門の唐維怡副総経理は「オークション市場の盛り上がりを受け、ウイスキーは飲んで楽しむだけでなく、投資価値のあるコレクションの対象となっている」と指摘する。

しかし、台湾のウイスキーの歴史は、まだ浅い。

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