ドイツ連邦憲法裁判所、政府の「緊急ブレーキ」に合憲判断。
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2021年12月01日に、ドイツ連邦憲法裁判所(Das Bundesverfassungsgericht/Federal Constitutional Court)は2021年11月30日に、新型コロナウイルスの新規感染者数が一定水準を超えた地域に連邦政府が適用する「緊急ブレーキ措置(Notbremse/Notbremsmaßnahmen/emergency brake measures)」は合憲との判断を下し、同措置に対して裁判所に提出されていた苦情を却下した。
アンゲラ・メルケル首相(Chancellor Angela Merkel)と後継者に指名されたSPDSPD(Sozialdemokratische Partei Deutschlands/社会民主党)のオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)財務相はこの日、判決を踏まえて今後の感染対策を各州の首相と協議した。
https://time-az.com/main/detail/75738
連邦政府が4月から6月末まで導入した「緊急ブレーキ措置」は、州政府に任せていた新型コロナウイルス対策の実施権限を連邦政府に集中させる法規に基づくもので、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数が3日連続で100人を超えた地域に直ちに適用される。
夜間外出を午後10時から翌午前5時まで禁止するほか、私的な集まりを2世帯の最大5人に制限。さらに、同感染者数が3日連続で165人を超えた場合には、学校閉鎖などの措置も取られた。
ドイツ連邦憲法裁判所は今回、「緊急ブレーキ措置」がいくつかの基本的権利を侵害していることは認めながらも、「パンデミック(pandemic/世界的大流行)という極めて危険な状況の中では合憲となる。(im Rahmen der extremen Gefahr einer Pandemie verfassungsgemäß}」と判断した。夜間外出禁止と接触人数の制限に対する苦情については、同措置は状況に見合ったものと指摘したほか、学校閉鎖についても、閉鎖時にオンライン授業を実施したため憲法に定められた教育を受ける権利を侵害していないと説明した。
ドイツの感染防止の法規では、各州が感染対策の策定と実施に相当な自治権を持つため、緊急ブレーキ措置の導入では議論が巻き起こり、多くの苦情が憲法裁判所に寄せられていた。なお同裁判所は、小売業や文化的イベント、ホテル業界などへの規制に関する約100件に上る個別の苦情についても、判断を下す予定となっている。
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