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EUのECB。景気後退の懸念もあるが、インフレ抑制優先で2%に利上げ。



ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2022年10月28日に、EU(European Union/欧州連合)のECB(European Central Bank/欧州中央銀行)は2022年10月27日の政策理事会でを開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を0.75ポイント引き上げ、2%とすることを決めたとクリスチャン・ラガードECB総裁(Christine Lagarde, president of the European Central Bank)が報告した。

中央銀行の預入金利も0.75ポイント引き上げ、1.5%としている。

ユーロ圏が景気後退に陥るとの懸念が高まる中での大幅な利上げには反対の声も上がっていたが、インフレ抑制を優先し、3会合連続の金融引き締めに踏み切った。

ECBは2022年07月に11年ぶりに金利を引き上げた後、2022年09月にも追加利上げを行った。過去3会合の利上げ幅は計2ポイントとなり、主要金利は2009年の水準に戻った。

ECBは今回、インフレ率は高止まりしたままで、今後も目標を上回る水準で推移することが予想されることから、インフレ期待を抑制する必要があると説明した。

インフレ率を中期目標の2%まで低下させるだめに、さらなる利上げを行う可能性にも言及した。

ユーロ圏の2022年09月のインフレ率は9.9%と、統計開始以降で最高を記録した

中でもロシアに依存していたエネルギーが40.7%値上がりしており、これがさまざまな産業に影響を及ぼしている。ECBは供給面でのボトルネックは次第に解消に向かうものの、これが物価に反映されるまでには時間がかかるほか、ユーロ安や労働コストの上昇もインフレ要因になるとの見方を示した。

ECBは併せて、また、2019年09月から行っているTLTRO III(Targeted longer-term refinancing operations/貸し出し条件付き長期資金供給オペレーション)の条件を2022年11月23日から調整し、変更すると発表した。

2022年11月22日までは現在の計算方法が維持されるが、2022年11月23日以降、ECBの主要政策金利の平均値が適用される。

このプログラムは民間銀行の融資を促すために各銀行に低金利で資金を貸し出すもので、コロナ禍でのデフレ抑制に貢献してきた。

しかしインフレが加速する中、2022年11月23日から同プログラムの金利を引き上げることを決めている。

ECBは2022年07月01日に終了したユーロシステムによる債券・国債の購入プログラムAPP(Asset Purchase Programme)について、同プログラムの下で購入して保有する債券・国債の償還後の全額再投資を必要な限り継続する意向を維持した。

このほか、2022年03月末に終了した資産購入プログラム「PEPP(Pandemic Emergency Purchase Programme/パンデミック緊急購入プログラム)」を通じて購入し、保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、少なくとも2024年末とする方針を維持した。

米国の新聞「ブルームバーグ(Bloomberg)」日本語版は2022年10月28日に、日本銀行の黒田東彦総裁は2022年10月28日に金融政策決定会合後に記者会見し、現在の物価見通しは持続的で安定的な物価2%が展望できる状況にはないとし、「今すぐ利上げ、出口が来るとは考えていない。」と語った。

新たに示した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しが上振れたことを受け、日銀が目指す持続的・安定的な物価目標の実現に「近づいている。」との認識を表明した。
ただ、見通し期間の最終年度である24年度も物価見通しは「2%になっていない」と述べ、賃上げを伴う物価目標の実現に向けて金融緩和政策を続けていく考えを改めて示した。

最近の円安については「急速かつ一方的だ。先行きの不確実性を高め企業の事業計画を困難にするなど、わが国経済にとってマイナスであり、望ましくない。」と指摘した。
YCC(Yield curve controls/イールドカーブコントロール/長短金利操作)政策が為替変動を増幅しているとの指摘に対しては「YCC自体が円安をもたらすことはない」とし、内外金利差だけに着目することは「一面的だ」と語った。

2022年10月28日夕の外国為替市場では、黒田総裁の「今すぐ利上げ、出口が来るとは考えていない。」との発言に反応して、円が対ドルでUS$1=147円台に下落。日銀が超長期ゾーンの国債買い入れ回数を増やすと発表したことで下落幅を拡大した。

日本銀行の黒田東彦総裁は冷静である。
今すぐ金利引き上げは、まったく不要である。
ムードに流されるような行動は、足元を救われ危険である。

人のことは冷静だが、自分のことになるとバタバタになるのが私の弱点である。

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