大西洋の水が世界を巡る追跡の結果。

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米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2021年06月14日に、ビッグデータの解析により、大西洋流域を出た水の行き先を追跡する大西洋の水が世界を巡る「グランドツアー」とは?

https://www.youtube.com/watch?v=9j7yRI_b-e4&t=17s

カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所の研究者ら(Scientists at Scripps Institution of Oceanography at the University of California San Diego and colleagues)は、25年間で集められた10億点以上のデータから得られた情報を用いて、世界の海の盆地を巡る水の旅の推定値を作成したと報告した。

https://time-az.com/main/detail/74636

その結果、無作為に集められた水は、何百年、時には何千年もかけて元の場所に戻るという壮大な旅をしていることがわかった。また、大西洋の循環の基本的な構成要素が、これまで理解されていたよりも破壊されやすい可能性があることもわかった。

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本研究成果は、NSFとNASAから資金提供を受けて、スクリプス海洋研究所の研究者であるルイーズ・ルースレット(Louise Rousselet)とパオラ・チェッシ(Paola Cessi)が、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)のガエル・フォルジェ(Gael Forget)とともに実施し、Science Advances誌に発表した。

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ルイーズ・ルースレットとパオラ・チェッシは、今回の研究が、「ECCO(Estimating the Circulation and Climate of the Ocean/海洋の循環と気候の推定)」と呼ばれるコンピュータシミュレーションを使用しながら、これほど大量の実データに裏付けられた水の軌跡を追った初めての研究であると述べている。

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ECCOは、人工衛星やArgoネットワークのロボットによる漂流物などから収集した10億件以上のデータを組み込んだ海洋モデルである。

このモデルは、大気の天気予報のように、これらのデータを統合して海のグローバルシミュレーションを行う。海を旅する水の小包は、温度や塩分などの物理的特性を記録する。
タグを付けて移動する小包を追跡することは、スクリップス桟橋の端の温度など、固定された場所での海洋特性の記述を補完するものである。

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研究者たちは、約3分の1の小包が大西洋を出て、太平洋、インド洋、南洋を回り、約300年かけて故郷に帰ってくることを発見した。
約2割の水塊は、大西洋を出て、太平洋、インド洋、南洋を回り、約300年かけて帰路につき、これらの小包は、大西洋に戻るのに700年を必要とした。

最も多く、半数近くが2,800年を必要とし、約1,000年かけて深海の太平洋に潜った。これらは、世界の海の「グランドツアー」を行い、ほぼすべての海盆をさまざまな深さで訪れてから戻ってきたのだと、チェッシは言った。

NSFの海洋科学部門のプログラムディレクターであるメテ・ウズ(Mete Uz)は、「水の小包が盆地を巡る経路を考えることは、複雑な海洋循環を概念化するのに適した方法です。」「しかし、コンピュータモデルは、すべての測定値と一致する解を求めるため、この種の分析を効率的に行うことができます。」と解説した。

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