ホヤに有望な抗メラノーマ作用があることを発見。

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米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2021年12月16日に、南極科学と天然物化学の発展につながる研究成果として、南極の冷たい海底(icy Antarctic seafloor)に生息するホヤ(sea squirt)の組織ほど、薬箱から遠い場所はない。しかし、そこはまさに、皮膚癌の中でも最も危険な種類の一つであるメラノーマ(melanoma)の新しい治療法を探している場所でもあった。

https://time-az.com/main/detail/75852

「mSphere」誌に掲載された新しい論文では、NSFが資金提供チーム砂漠研究所(Desert Research Institute)、ロスアラモス国立研究所( Los Alamos National Laboratory)、南フロリダ大学(University of South Florida)が、「パルメロライドA(palmerolide A)」という自然に生成されるメラノーマと闘う化合物の源に突き止めることに前進したことが報告されている。

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この化合物は、南極のアンバーズ島の海域に生息するホヤの一種シノイクム・アダレアヌム(Synoicum adareanum)に生息する微生物が元となっている。

「パルメロライドAは、このホヤに生息する多くの種類のバクテリアのいずれかによって生成されるのではないかと、長い間考えられてきました。」と、砂漠研究所の主任研究員アリソン・マーレイ(Alison Murray of the Desert Research Institute)は述べている。

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「このたび、この化合物を生産する特定の微生物を特定できたことは、天然由来のメラノーマ治療薬の開発に向けた大きな一歩です。」

「南極の天然物とその生合成を担う遺伝子を特定したのはこれが初めてです。南極に行ってホヤを採取することはできませんが、根底にある遺伝子機構を理解したことで、この化合物を生産するためのバイオテクノロジー的解決策を見出す道が開かれました。」と述べている。

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ホヤをはじめとする海綿動物やサンゴなどの無脊椎動物は、南極の海底という過酷で特殊な環境で生き抜くために、光防御色素(photoprotective pigments)や生物発光(bioluminescence)、化学防御(chemical defenses)を担う微生物と共生関係を築いてきた。

これらの微生物が生産する化合物は、科学、健康、産業への応用が期待されている。パルメロライドAは、多くの例の一つであると科学者たちは考えている。

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NSF極地プログラム局のプログラム・ディレクターであるマリア・ヴェルネ(Maria Vernet)は、「南極の生物は、新しい生化学的合成とその遺伝子機構、そして癌治療などの課題に対処するためにバイオテクノロジーによって開発できる新しい天然物について多くの情報を持っています」と語っている。

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