ガーデンシアターを埋めたかった女
2022年12月15日 己龍生誕拾五周年記念公演
東京ガーデンシアター
お疲れさまでした。ありがとうございました。
青春がひとつ終わったくらいの気分である。
10月以降のこの2ヶ月間、わたしは意識して己龍に関するツイートを増やしていた。元々好き勝手に呟いているアカウントなので、ライブに行っただのなんだの、なにかしらあればちょこちょこツイートはしていたので、わたしがバンギャだったのを知ってる人は別に少なくなかったんじゃないかなと思う。それにしてもこの期間はマジで己龍のことしかツイートしてない。多分。そういう風にしていたから。じゃあなんでそうしたのか。
ガーデンシアターを埋めたかった。
誰かに己龍を知ってほしかった。知らなかった人にこのバンドのことを知ってもらって、あわよくばライブに来てほしかった。その思いだけで10月以降そういう風に振る舞ってきた。
「お前のツイートで人が動くわけないじゃん」
そう言わんでよ。誰よりわたしが一番よく解ってるから。
わたしが何を考えてたのか、別に知ってくれなくてもいいけど、聞いてくれるなら読んでほしい。あと普通に、忘れたくない”思い出”なので書き残しておきたい。これはそういう日記だ。レポとか感想とかではないのでそういうのをお求めでしたら、それはここにはないです。
己龍ってなに?
これです。
Vo.黒崎眞弥、Gt.酒井参輝、Gt.九条武政、Ba.一色日和、Dr.遠海准司からなる、和製ホラーコンセプトのヴィジュアル系ロックバンドである。
正直この界隈、コンセプトがふわっとしてたり途中で音楽性が変わってしまうバンドも多いと思うんだけど(個人の感想です)、そんな中この己龍っていうバンドは初志貫徹してコンセプト通りの音楽を続けていて、そこがすごいし魅力の部分のひとつだと思う。(もちろん他にそういうバンドがないって話ではない)
リリースと巡業(ライブツアーのこと)のペースがエグい。巡業終わったらすぐ次のリリースが来る。休みなくない? まあ戦略としては正しい。絶え間ない供給というのは人の心を離さないために有効な手段である。だからソシャゲだって休みなくイベントをやっているわけ。人間は正気に戻してはいけないのだ。にしても休みなくない?
あとオタク向けプレゼンなんだけど、メンバーのキャラが強い。なんか個性すごい。これは実際浴びないと解らないところだと思うけど、漫画みたいな性格のバラけ方をしている。それから衣装もいいな。オタクこういうの好きだよな。好きだよね?
5色いるから実質プリキュアだよ。
そんなバンド。
2ヶ月前、なにがあったの?
10月19日、黒崎眞弥生誕祭にて、ボーカルの眞弥さんが12月をもって休養に入ることが発表された。
正直……正直な話、眞弥さんが精神面でなにか抱えているであろうことは、見ていれば解った。だから現場でこの発表を聞かされたとき、驚きというよりは「もうその日が来てしまったのか」というか。ショックはショックだったけど、「そんなにひどくなっていたのか」という方が強い。
最近同じような話だと、ヒプステ観音坂独歩役の宮城紘大くんの件が記憶に新しい。
それぞれがどういう環境で、どういう思いがあって、そうなってしまったのかは、わたしには解らない。気持ちだけではどうにもならないことで、その上で辞めたり休んだりするのは必要なことだと思う。これはアーティストや役者だけでなく一般の人間もそうであるべきだと思うし。なにより自分が大切だから。自分を大切にすることが、ファンにとっても安心で嬉しいことだから。
ゆっくり休んでほしい。こころとからだが健康になって、元気に楽しくステージに立てるようになってほしい。その思いしかないので、こと休養に関しては悲しいという気持ちはなかった。
でも、そうなったとき、急に焦った。
9月時点ですでにガーデンシアター公演は発表されている。>>ガーデンシアター!<<ドドン! されたときは「さすがに埋まらんやろけど、挑戦したいっていう気持ちなんだな」くらいにしか思ってなかった。
でも最後くらいは客がいっぱい入った会場でライブして休養に入ってほしいじゃん。
12月15日 木曜日
東京ガーデンシアター 最大収容人数約8,000人
マジで埋まらんぞこれ。
最近の関東の大きい会場
2022年9月19日(月・祝) KT Zepp Yokohama 2,146人(多分完売してない)
2022年05月09日(月) Zepp Haneda 1,207人(おそらく完売してない)
2021年12月16日(木) 豊洲PIT 1,500人(完売)
む、むりだ……レベルが違いすぎる……
やだやだ! わたしは満員御礼ですがすがしく休養に入ってほしいんじゃ!
そもそも眞弥さんは現在アイマスクを装着しての活動になっていて、ステージに立っていてもフロアの様子が見えてない。収録した映像はあっても、これからライブですという段には「このキャパの箱にこれだけの人数がいます」という数字しか見えない。その状態でどうするのが一番気持ちいいかって、見えてる数字をでかくするしかない。
参輝さんが言った。「全員が友達1人連れてきたら倍になるから」
と、友達がいねえ〜〜よ! わたしの周りガゼギャしかいないよ。ガゼギャはもうガゼしか行ってないんだよ(個人の感想です)。その他はオタクのダチしかいねえよ……オタクにいきなり己龍来て! はハードルが高いよ。己龍ギャの統率力やべえと思ってるからさすがになんかステップが必要だよ。ぽかんしちまうよ。しかもド平日でチケット1万円だよ。条件がわりぃよ。
どうしたらいいんだ……わたし……わたしにできることなんかお絵かきくらいしか……
絵を描くしかねえわ。
そうしてたどり着いた答えがこれである。
なんでそうなるんだよ
正直プレゼンやダイマって鬱陶しくないですか?(熱い偏見)
いや確かにそれを見て気になるってこともあるとは思う。でも正直プレゼン・ダイマツイートを見て喜んでるのは元々そのコンテンツを好きな人だと思ってる。(熱い偏見)
わたしが考える一番の宣伝は、このコンテンツに触れてわたしはこんなに楽しんでる! という様子を見せることだ。
わたしがヒプマイにハマったときもそうだった。ヒプマイにハマってる人が楽しそうだったから興味を持った。わたしがヒプステの楽しい! ツイートしていたときもそうだった。別に宣伝する意図はなかったけど、楽しいを発信していたらそれを見た人が見ようって思ってくれた。
じゃあ多分、同じことをするのが正解なんだと思った。
己龍用にそれ用のアカウントを作ってそこでやるべきかとも考えた。フォロワーさんたちはわたしが今まで描いていた”ジャンル”に興味があるからフォローしてくれているのであって、そこで次元違いな上ニッチなV系バンドが流れてきても邪魔だなと思われるだろうなって。
あと腐女子の同人アカウントだから、そこはめちゃくちゃ悩んだ。どれだけ純粋な気持ちでファンアートを描いてても、「でもお前腐女子じゃん」って思う人もいるだろう。純粋なファンの人の目に入ったら、嫌だなと思う人もいるかなって。
でもこれを新しいアカウントでやっても、それを見てくれるのはバンギャだけなんだ。バンギャはみんな己龍知ってるんだよ。己龍は中堅以上の地位にいるはずなので、みんな少なくとも名前と見た目は知ってるはずだ。己龍を聴いてないバンギャは、知ってて聴いてないか、聴いてたけど離れてしまったかのどちらかだ。そこにこれ以上宣伝しても効果が薄い。
きっと、全然知らない人に知ってもらうほうがいい。その方がV系というジャンルにとっても未来がある。
絵を描いてたらそのビジュアルを見て興味もってくれる人がいるかもしれない。一緒に曲貼ってたら流れで聴いてみてくれる人がいるかもしれない。ライブレポしてたらこういう人たちがやってるんだって少しは知ってもらえるかもしれない。
好きになってくれなくていい。とりあえず味見してみてほしかった。その上で興味もつかそうじゃないかは、ほんとに個人の趣味嗜好によるところだから。でも、知る機会すらなかったら、好きになることなんか絶対ないわけで。
わたしのフォロワーさんは、2022年12月現在、ありがたいことに3万人を越えている。その中で、
1%の人が己龍を聴いてくれたら300人
0.1%の人が配信見てくれたら30人
0.01%の人がライブに来てくれたら3人
ソシャゲのガチャより可能性がある。気がする。恒常でディルック一点狙いするくらいの確率で己龍好きになってくれる人に、たぶん出会える。
すごい打算的なことを言ってると思う。申し訳ない。でも可能性があるならやらなきゃいけないと思った。自分が後悔したくなかった。
効果あった?
あった! あったよぉ〜〜ママ〜〜〜!
本当に本当にありがたいことに聴いてくれた人がいた。箱ももらったしメールでも言ってもらえたし個人的に話した人もいた。ライブ見てくれた人もいる! たとえ数人だとしても、わたしがこの2ヶ月なにもしてなかったら、きっとこの人たちはまだ己龍のこと知らなかった。
嬉しい。わたしが好きなもののこと、とりあえず触ってみようとしてくれたことが嬉しい。宣伝したかったって言ってるけど、結局わたしが嬉しいだけだ。でもわたしがわたしの嬉しいことをしてるだけでも、それで推しが人気出たらそれは推しも喜ぶはずだから。
”ガーデンシアターを埋めたい”には寄与できなかったけど、己龍を知らない誰かに触ってみてほしいっていう目的は達成したんだ。
少なくともやってよかったと思う。自分でできることはやったと思う。あのときああしておけばよかったって後悔をすることはないだろう。
つらかった。ライブにいくたびに眞弥さんの様子が良くなくなっていくから。そういうツイートもしてたと思う。ライブは楽しかった、でもつらいことや思うこともたくさんあった。わたしは本当に”己龍で毎日楽しいですよ”っていうツイートができてるのか? 楽しそうに見えるのか? そんな風に思った日もあった。
でも最近頂いた箱で「ちほさんが趣味で楽んでるの見てます」って言ってもらえて、心底安心した。あ〜わたし楽しそうだったんだ、よかった、って。
つらいのを隠したかったわけじゃない。でも楽しかったのは本当だ。
やってよかったと思う。
拾五周年巡業が終わってみて
「みんな心配もあるだろうけど、大前提「今日大丈夫かなー」というのではなくこの場をしっかり楽しみに来ること。」
巡業一本目、柏公演の参輝さんの談である。
そんなのは無理だよ! 毎日心配でしょうがなかったよ!
それでも終わってみて、楽しい巡業だったなと思う。それはライブそのものが楽しいからでもあるし、メンバーが一本一本楽しいものにしようとしてくれていたからでもある。
体調が万全ではない中、眞弥さんが”この巡業をやり切る”と言った、その意志を、覚悟を、どの会場でもしかと受け取った。
「どの瞬間も目をそらすな」
わたしが行った中で一番体調が悪そうだった高松公演での言葉。どんな様子を晒しても、それをちゃんと見て、聴いて、最後までついてこいって言うその姿に、わたしも奮い立たされた。眞弥さんが一番しんどいのにこっちが崩れ落ちてらんないからよ!
まあ正直もうふたまわりくらい小さい会場のほうがよかったな〜! せっかく声出し公演になったのに、ちょっと広すぎて叫んでも届いてる気がしなかったわ。笑
間隔開けての座席にはなってたけど、2バルまで人が入ってたし、あんだけ広い会場にこれだけ人がいたら、ステージから見たら割と圧巻だったんじゃないだろうか。
映像では確認できるのかもしれないけど、眞弥さんにも生で見てほしかったね。
ここまで読んでまだ己龍を観てないそこのあなたへ。興味ないのにここまで読む人いるか?!わかんないけど!
配信アーカイブ、まだ買えます。よかったら観てね。
巡業「拾五周年」、ならびに拾五周年記念公演、本当にお疲れさまでした。
ここまで絶え間なく走り続けてきた己龍のメンバーのみなさんありがとう。
ここまで己龍を支えてきた己龍ギャのみなさんありがとう。
眞弥さん、いってらっしゃい。
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