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好きになったバンドが、ハマって3ヶ月で解散した

 2024年5月6日 Veats SHIBUYA
 「街の片隅に咲く一輪の花を残して」
 ヴァージュのラストライブだった。

 いやだーーーーー!!!!!!
 理路整然とした文章を書くつもりはない! ただいやだという気持ちを書くだけの日記である。ライブレポートではないのでとくに読む必要はない。
 とはいえこの記事をわざわざクリックした人は多少わたしの叫びに興味があるのだと思うのでどうぞ聞いてって。わたしが泣いてるのを見守って。

 わたしとヴァージュの出会いはものの数ヶ月前のことである。
 友達がいい曲見つけた! と貼ってくれた『空に落ちる蛍』『私ノ悪イ癖』がきっかけだった。

 めっちゃいい。
 硬派な『空に落ちる蛍』、うってかわってビジュビジュした『私ノ悪イ癖』、どちらからも感じられる作曲の癖のようなもの、それからなんといっても魅力的な歌声。
 めっちゃいいじゃん!
 わたしたちは良いバンドとの出会いに歓喜した。

 ヴァージュ。名前とビジュアルは少しだけ見たことはあった。
 ヴィジュアル系とは、見た目と音楽性がリンクしがちな世界である。そんな中で、ただなんとなく、”なんとなく”、このビジュアルからわたしの好きな曲は出てこないような印象があった。し、普段聴いているあたりとの対盤もなくて、引っかかる機会がなかった。(2年前のびじゅある祭のO.A.にいたのだがわたしはこれに行っていない)
 食わず嫌いとも言えない、ただただ出会う機会がなかった……そんなバンドだった。
 それがどうだ! めちゃめちゃいいじゃないか。ウワーもっと早く出会いたかった。

 良いバンドを見つけると嬉しい。良いバンドのライブはとりあえずいっぺんキメてみたい。
 友達と「3月からワンマンツアーあるらしい、行こうや」とワイワイ話をしていた。
 ……その少し後である。

 アルバムリリース中止
 春のツアーで解散

 え!!!!!!
 い、いやだ!!!!!

 好きになったバンドが解散する……それ自体も確かに嫌なんだけど、わたしの感情とは別に
 「このバンドが解散するのは、シーンにとって甚大な損失である」
 そんな風に思わせる魅力があるバンドだった。

 胸が痛い。

 解散発表から毎日しきりに悲しかった。
 正直クソニワカド新規すぎてこんなに悲しむ資格ないと思った。そんなわたしでもこんなに悲しいのにヴァージュギャはどんな気持ちでいるのか想像もできなかった。

 最後だからできるだけ行きたいのに、このツアーに関東公演が最後の渋谷しかなくて、本数が増やせない。「京都や仙台に遠征したい」と「金がねえ! 時間もねえ!」の気持ちが鬩ぎ合う。結局わたしのヴァージュはラストライブたった一本に託された。

 楽しみと寂しさの中ラストライブを迎える。

 すっっっっっごい楽しかった
 なんぼ頭振らすねんこのバンド! 先に関西公演に行ってた友達から話は聞いてたものの、それでも想像より全然ずっと頭振ってた。
 拳のときも折りたたみのときも声出しあるし、メンコもえぐい。WODもふわっとしてないしちゃんともみくちゃだった。(しっかりもみくちゃになるのに元の位置に戻るバンギャの形状記憶能力ってほんとおもしろいよね)
 すごいなこの盤、よく自分のギャ・ギャ男をここまで鍛えたな。
 咲き禁、暴れ盤。現代でもこんだけがっつりやってるとこがあるんかと驚いた。
 (わたしが見ている範囲が狭いだけなので、他にないとは言わない)

 固有フリが多い・ペンライトやリングライトを持つバンドが増えたと思う。もちろんそういうのが悪い言ってるわけじゃない。それをするのが楽しい文化でもあり、わたしもそれを楽しんでる。
 けど、そんな中ここまで硬派に勝負する、そのためにそれができる楽曲を作る、訓練されたファンで最強の景色作る、それをやった・できたバンドがいることに、ひどく感銘を受けた。
 (繰り返しになるが、わたしが見ている範囲が狭いだけなので、他にないとは言わない)

 きっと、すべてのV系バンドが目指すのはこのバンドなんだと思った。
 主語がでかいね。でもそう思った。
 ”V系は音楽のジャンルではない”ので、一口にV系と言ってもキラキラしたのからゴリゴリしたのまでいろんな曲があって、ノリもフリも様々だから、こうなるべき! とかそういうつもりはなくて。概念的に「多分みんなこういうバンドになりたいんだ」と思った。
 だから改めて思うんだけど
 このバンドが解散するのは、シーンにとって甚大な損失すぎる。
 わたし自身も悲しいけど、客観的に考えてもすごい悲しいよ。
 なんでってこんな素晴らしいバンドがキャパ600の箱を最終公演にして終わるのが嫌すぎる。こんなバンドはなぁ、Zeppみたいなでかい箱のソールド公演で解散するんだよ。だってこんな……おまえ……もっと多くの人に見つけられて聴かれるべきバンドじゃないか……! わたしヴァージュのこと名前しか知らなかった頃、このバンドのこともっと売れてると思ってたんだよ。なんか……すごい売れてるオーラあるんだよ……! いや売れてないとは言わないよ。でももっとさ! あと3倍くらい売れるべきバンドじゃん! それがここで止まっちゃうなんてよ。やだよ。悲しいよ。

 7年も活動期間があったのに、ここ数ヶ月知っただけのわたしがこんなこと言うのは変な話だと思うし、古参のみなさんにもなんだこいつって思われるだけだと思うけどね。

 初めて生で聴いた遼さんの歌は
 深みのある艶な声。
 ほぼMCなし・30曲越え・3時間越えのライブ終盤においても全くバテを感じさせない体力。
 格の違いまでをも感じる素晴らしいボーカルだった。

 もっと早く出会いたかった。
 もっと早くハマってたらもっと悲しかったんだろうな。でももっと早く出会いたかったよ。一本だけでお別れなんてしたくなかったな。
 昨今の自分のこと考えてみても、数ヶ月前の友達から勧められた以外にヴァージュを聴ける機会がなかったから、あのとき聴いていればとか、そんな後悔もできないんだよ。行ける範囲でいったし……とかいう納得感もない。ただ「もっと早く出会いたかった」があるだけ。
 逆にいっそ出会わなければ、こんな喪失感に苛まれることもなかったのにね。
 それでも、ヴァージュに出会えて、最後のライブに行けて、よかった。本当に本当に短い間だったけど、ヴァージュの楽曲と過ごした日々も、ヴァージュの楽曲で暴れたことも、わたしの財産であると思います。
 ヴァージュを知らない人生じゃなくて、本当によかった。

 遼さんの作る楽曲も、歌も本当に素晴らしいので、どうかどうか音楽をやめないでほしいと思います。
 遼さんが戻ってくるのを心から、心から待っています。
 ただ、いまはすこし、おやすみなさい。
 7年間、お疲れさまでした。


 ……

 わたしはさ、ここ数ヶ月、本命が活休した心の穴を埋めるバンドを探してたんだ。聴いたことないバンド聴いてみたり、いい曲に出会ったらライブに行ってみたりしてた。ゆーたら本命が復活するまでの”暇つぶし”を、探してた。
 でもなんか、ヴァージュに行って、もうこの開拓には終止符が打たれたんだなーって思った。
 多分もうこれ以上のバンド見つけられないんだと思う。この先なにを見ても「あ〜ヴァージュよかったな」って思うんだと思う。
 暇つぶしどころかこんなにちゃんと好きになっちゃったよな。
 ヴァージュ、好きだなあ。

 すっごい良いから、聴いてほしいよ。
 世間にヴァージュを見つけてほしい。
 よろしくお願いします。

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