サン=サーンス 交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付」
08:52 I. Poco adagio
16:58 II. Allegro moderato - Presto - Allegro moderato - Presto - Allegro moderato -
23:57 II. Maestoso - Allegro
再生時間 31'' 07'
### **作曲の背景と経緯**
カミーユ・サン=サーンス(1835–1921)はフランスを代表する作曲家で、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍しました。彼はピアニストやオルガニストとしても優れた才能を発揮し、幅広いジャンルで多くの作品を残しました。
**交響曲第3番「オルガン付き」**は、1886年に作曲され、サン=サーンスが作曲した最後の交響曲です。この作品は、ロンドン・フィルハーモニック協会の委嘱を受けて作曲され、同年5月19日にロンドンで初演されました。この曲は、サン=サーンス自身の言葉で「私の全人生の成果」と評されるほど、彼の作曲技法と芸術性が凝縮された傑作とされています。
この作品は、フランツ・リストに献呈されています。リストは1886年7月31日に亡くなり、サン=サーンスはこの交響曲を彼の記憶に捧げました。リストの影響は、作品全体の形式や和声、そしてオルガンを用いた壮大な響きにも感じられます。
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### **楽曲構成と特徴**
交響曲第3番は、2部構成(形式的には4つの楽章)で書かれています。全体を通じて交響的な連続性を保ちながら、ピアノやオルガンといった鍵盤楽器を効果的に用いているのが特徴です。
#### **第1部:アダージョ - アレグロ・モデラート - ポコ・アダージョ**
- **アダージョ**
静かな導入で始まり、緊張感のある音楽が展開されます。
- **アレグロ・モデラート**
主題が力強く提示され、オーケストラ全体がエネルギーに満ちた展開を繰り広げます。
- **ポコ・アダージョ**
この部分は深遠で瞑想的な性格を持ち、オルガンが初めて登場します。豊かで荘厳な響きが特徴です。
#### **第2部:アレグロ・モデラート - プレスト - マエストーソ - アレグロ**
- **アレグロ・モデラート**
スケルツォ風の動きがあり、ピアノの連打が軽快なリズムを作り出します。
- **プレスト**
短いながらも、緊張感を高める効果的な部分です。
- **マエストーソ**
オルガンが壮大な響きを奏で、劇的なクライマックスを形成します。この部分は特に有名で、サン=サーンスの典型的な華やかさが感じられます。
- **アレグロ**
力強いフィナーレへと突き進み、壮大な結末を迎えます。
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### **作曲技法と特徴的な要素**
1. **オルガンの使用**
オルガンはこの交響曲の中核的な楽器であり、特に壮大な場面で重要な役割を果たします。オーケストラの一部としてオルガンを溶け込ませながらも、決して過剰に支配的にならないように扱われています。
2. **ピアノの活用**
ピアノは連弾として用いられ、主にリズム的な要素を強調します。スケルツォの部分では軽快で遊び心のある役割を果たし、音楽に躍動感を与えています。
3. **主題の統一性**
主題動機が全曲を通して巧みに再現されることで、作品全体に統一感が生まれています。この技法はリストの影響を強く受けています。
4. **形式と表現の融合**
古典的な交響曲の形式を踏襲しつつ、革新的な楽器編成や響きの面で新しい試みが見られます。これにより、作品は伝統と革新のバランスを見事に保っています。
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### **受容と評価**
初演時、交響曲第3番は非常に好意的に迎えられ、すぐにサン=サーンスの代表作の一つとして認められました。特にフランス国外、イギリスやアメリカで高い人気を博し、サン=サーンスの国際的な名声を確立する一助となりました。
今日では、オルガンを取り入れた交響曲の代表例として広く演奏されており、その壮大さと感動的なフィナーレで多くの聴衆を魅了しています。
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### **おすすめ録音**
この交響曲の録音には多くの名演がありますが、特に以下のものが評価されています:
- シャルル・ミュンシュ指揮、ボストン交響楽団
- ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団
- ダニエル・バレンボイム指揮、シカゴ交響楽団
いずれもオルガンとオーケストラのバランス、ダイナミズムが見事に再現されています。
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この交響曲は、サン=サーンスがフランス音楽の伝統を守りつつも、新しい表現を追求した成果を象徴する傑作です。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
**シャルル・ミュンシュ指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック、エドゥアルド・ニース=ベルガー(オルガン)によるサン=サーンスの交響曲第3番 ハ短調 Op.78**の1947年11月10日録音について、演奏者情報を解説します。
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### **指揮者:シャルル・ミュンシュ (Charles Munch, 1891–1968)**
シャルル・ミュンシュはフランス生まれの著名な指揮者で、特にフランス音楽の解釈で高い評価を得ました。元々はヴァイオリニストとしてキャリアをスタートし、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めた後、指揮者に転向しました。
ミュンシュはフランスの管弦楽作品、とりわけサン=サーンス、ラヴェル、ドビュッシー、ベルリオーズといった作曲家の作品を得意としており、その情熱的かつエレガントな音楽作りで知られています。
1940年代後半、ミュンシュはアメリカでの活動を本格化させ、ニューヨーク・フィルハーモニックなどの名門オーケストラで客演指揮を行いました。今回の録音もその一環であり、彼のフランス音楽への深い造詣が反映された演奏です。
#### **演奏スタイルの特徴**
- 作品の構造を明確に描き出す手腕。
- 豊かな色彩感とダイナミックな表現。
- フランス音楽の詩的な美しさを際立たせる解釈。
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### **オーケストラ:ニューヨーク・フィルハーモニック (New York Philharmonic)**
ニューヨーク・フィルハーモニックは、1842年に設立されたアメリカで最も古い管弦楽団で、世界的にもトップクラスのオーケストラの一つです。1947年当時、楽団はアメリカ音楽界の中心的な存在であり、多くの国際的な指揮者やソリストを迎えていました。
この時期のニューヨーク・フィルは、正確なアンサンブルと深みのある音色で知られ、特にミュンシュのような外部からの指揮者と共演する際には、フレキシブルな適応力を発揮しました。フランス音楽の解釈においても、その高い技術が本演奏での成功に貢献しています。
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### **オルガン奏者:エドゥアルド・ニース=ベルガー (Edouard Nies-Berger, 1903–1997)**
エドゥアルド・ニース=ベルガーは、アメリカを拠点に活躍した著名なオルガニストです。オーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ共和国)生まれで、後にアメリカに移住し、ニューヨークを中心に活動しました。彼はオルガン演奏における高い技術と音楽性で評価され、数々の録音に参加しました。
#### **ニース=ベルガーの役割**
- サン=サーンスの交響曲第3番で特に重要な役割を担うのがオルガン奏者です。この曲の中で、オルガンは荘厳さと深遠さを表現する鍵となる楽器であり、ニース=ベルガーの演奏は作品全体の響きに大きな影響を与えました。
- ニース=ベルガーのスタイルは、豊かなレジストレーション(音色の選択)と楽曲の構造を強調するアプローチが特徴です。
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### **録音の背景と意義**
1947年の録音は、戦後間もない時期にアメリカで行われたもので、ミュンシュがフランス音楽の真髄をニューヨークの観客や聴衆に伝えようとした試みの一つです。この録音は、ミュンシュのエネルギッシュで表現力豊かな指揮、ニューヨーク・フィルの高い演奏水準、そしてニース=ベルガーの名技によるオルガンの壮麗な響きが一体となり、サン=サーンスの音楽の本質を引き出しています。
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### **まとめ**
この録音は、サン=サーンスの交響曲第3番の初期の名演の一つとして評価されており、フランス音楽の伝統を伝えるシャルル・ミュンシュと、ニューヨーク・フィル、エドゥアルド・ニース=ベルガーの見事な共演が聴きどころです。その音楽的な完成度は、今日でもこの作品の解釈において重要な参考となるものです。
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