「実写BL」は楽しい、けど不安もある

※すみません、いつもは実写BLの萌えについて語っていますが、こちらの記事は作品の「萌え」については全く語っていない記事となります。むしろBLを否定的に語る箇所もございますので不快に感じる方もいるかもしれません。何卒ご容赦ください。

堂々とBLを楽しめる時代がやってきた!

私は昨年8月から「実写BL」ファンになり、現在はTwitter等でそのBL界隈の「推し活」も始めたのですが、思ったことは「実写BL」の「推し活」めっちゃ楽しい!ということです。
私は遠い昔(15年以上前)は「腐女子」で、もちろんその頃もそれなりに楽しかったのですが、「実写BL」の方がより明るく、軽快に(?)楽しめるなぁというのが正直な感想です。

腐女子業界・BL業界に詳しいわけじゃないのですが、15年前は「実写BL」ってほとんどなかったし(少なくとも今のような質の高い作品は少なかった)、いわゆる「商業BL」もあったけど私自身は触れる機会がありませんでした。
当時は少年漫画とかの「友情」や「ライバル関係」などの男の子たちの関係性を「恋愛」「性愛」に置き換えて萌える「二次創作」がメインでやってました。
だからこそ「実際はそうじゃないのに、腐った目でキャラを見る」ということで「腐女子」と自虐し、HPを開設しても一般の方の目に付かないように検索除けをしたり、簡単にはたどり着けないような工夫をしたりしていましたし、それがその界隈の「マナー」でした。

しかし、現在ブームの「実写BL」では、隠れる必要がありません!だって公式設定だから!「腐女子」を名乗る必要もありません!腐ってないもん、公式から受けたメッセージをそのまま受諾してるだけで、まっとうだもん!

だからTwitterでも堂々とその「公式カップリング」の萌えだったり尊さを語ることができ、検索除けするどころかたくさんの人に見てもらえるようにハッシュタグもつけていいし、フォロワーさんと楽しく萌えを共有できる。なんと制作陣もそれを望んでいる!

「男の子同士の恋愛に萌える」という同じ行為なのに、「腐女子」とは違って、明るく楽しく堂々と活動できる!
これがもう普通にめちゃくちゃ楽しい…実写BLの「推し活」めっちゃハマる…。
楽しすぎてヤバい…沼…

「実写BL」と「ナマモノ」問題

ただ楽しく「推し活」する中で、この実写BL界隈では、いわゆる「ナマモノ」問題が曖昧にされている点は、自分自身どう扱ったらいいか分からないと感じるときがあります。

「ナマモノ」というのは、「実際に実在する人物(芸能人とか)を題材にしてBL的妄想をすること」です。(厳密には定義違うかも、詳しくは有識者に譲るのでググってください)

この「ナマモノ」は漫画のキャラ等とは違い実際にその人物が存在するという点で、伝統的にはより「隠れて」活動すべきものとされていました。
自分と置き換えてみればわかると思うんです。
例えば、「自分(女)」にすごく仲の良い「親友(女)」がいたとして、周りの男子にその親友との関係を「恋愛」関係だと勝手にとらえられ、あまつさえエロネタにされたら良い気はしないですよね?
なので、本人の目に触れないように注意して活動しましょう、表立って語ってはいけません、というのが以前は常識でした。

しかし実写BLではこの辺りの線引きが曖昧になっていて、本人が見てるSNSのコメント欄でも「(相手役の)○○くんとチューして!」のような(場合によってはもっと酷い)書き込みが散見されます。(やめてくれ…たのむ…)

ただ難しいのが、制作陣だったりキャストがその辺の区別をあえて明確にせずに、ファンサービスの一環として、距離感バグった「中の人」の公式動画とかをバンバンアップしてくれるんですよ。
雑誌とかも二人が付き合ってる設定(としか思えない)萌え写真をたくさん掲載してくれたり…
供給されれば、萌えてしまう…!

つまり、一般的な「ナマモノ」と違って、ある程度は公式に「容認」されてるんです。
行きすぎたらダメなんだけど…でもある程度は「ドラマのキャラ」と「中の人」と混同して萌えることを許されている…気がします…ありがたいことに…。
ただどこまで許されているのかはハッキリしないので、おそるおそる、ヒヤヒヤしながら萌えさせて頂いているというのが現状です。
ある程度容認されてるからと言って、暴走して相手を傷つけてはいけません…

「実写BL」の今後とLGBTQの潮流

実写BLがここまで盛隆したのって、動画配信サービスの影響が大きいと思います。
サブスクで追加料金なしで見れてしまうので、ガチガチの腐女子じゃない女子たちでも見ることができて、ライトなBLファンが増え裾野が広がりました(私もその一人)
人気のある作品は映画化され、普通に全国の映画館で上映されたり、もはや実写BL好きは「マイノリティ」とは言えない域に入ってきています。
このままどんどんマーケットが拡大していけば、ますます「質の高い」BLをたくさん見れるようになっていくでしょう。
そういう意味で、「実写BL」の未来は明るい!

一方で、いわゆる「LGBTQ」との兼ね合いというのは非常にセンシティブな問題になっていくと思われます。

「BL」と「LGBTQ」の世界って全くの別物で、相容れない面すらあります。
BLはあくまで異性愛者の女性向けのコンテンツです。
BLを書いている作者も、それをドラマ化する制作陣も、リアルな「同性愛者」の人生やマイノリティとしての苦悩等を描くことは目的としておらず、多くの場合、彼らへの取材も行っていません。
男の子が男の子を好きになるという「設定」は、あくまで女性向けの「ファンタジー」なんですよね。

だから、動画配信サービスなどで、BL作品が「LGBTQ映画」としてカテゴライズされているのは非常に違和感があるし、やめた方がいいと思う。
全然LGBTQの世界を反映していないのに、LGBTQの作品であると語ることは、正しい理解を妨げ、「偏見」を助長することにつながりかねません。
BL作品はマーケットが拡大するにつれ、このあたりのジレンマに今後ぶつかっていくと思われますね。
BLという作品自体が「同性愛者の実態を全く反映していない!こんな作品を作ること自体が差別だ!」と言われてしまったら反論するの結構大変な気がします…。

BL自体は本当に素敵な作品が沢山あって、私も毎日元気をもらってます。
でも好きだからこそ不安に思う気持ちもあって…中々難しいなぁと思う今日この頃です。

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