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子ども達にも-フィンランド首相の記者会見から

フィンランド首相が子供向けの記者会見を実施した。

facebookでもMさんがこの記者会見について投稿されていました。

政府からの発表の場。今日は「子どものためのコロナ・インフォ」と題して7〜12歳の子どもたちの質問に首相・教育大臣・科学文化大臣が答えるという会だった。子どもたちの質問はそれぞれの家またはフィンランド放送のスタジオから。

首相はまず、自分の仕事について説明をした。同時に、今回の緊急事態にあたっては、医師や研究者たちの専門家たちを信頼していて、だから彼らの言葉を尊重して私たちは国としての判断をしていると伝えた。それぞれの大臣も自分たちの仕事について紹介し、子どもたちの質問が始まった。
みんなしっかり質問をし、少し恥ずかしそうに質問をする子もいれば、自宅からというのに、ちゃんとチョッキまで着た一張羅で髪まで整えた少年とか、みんな可愛かったなあ。

学校のこと、遊びのこと、国内や外国へ旅行に行けるのはいつか、ストレスを感じたらどうすればいいの?など子どもの日常の大切なことが質問される。遊園地はいつ行けるの?趣味や習い事は?…プールはもう少し待たないといけないかもしれないわね、と科学文化大臣が言えば、それをフォローするように教育大臣が「あ、でも自然の中だったら?」と質問し、科学文化大臣が「ああ、そうね!それなら大丈夫よ!私もずっと海で寒中水泳で泳いできてるし」という連携プレーも見られる。

印象的だったのは、首相がおじいちゃんおばあちゃんのことを話すとき。フィンランドではおじいさんおばあさんを指す言葉が何種類かある。彼女はそれぞれ丁寧に言葉にした。子どもにとって、自分がいつも呼んでいる呼び方が出てくることは、それは身近な自分の暮らしの話に繋がるんじゃないかなと思う。

首相も大臣たちも、子供達がこの非常時にあって、本当によく頑張ってくれているとお礼を言った。友達に会いたい、おじいちゃんおばあちゃんに会いたい、遊びに行きたい、学校だってそう、本当は通学してそこで勉強すべきなのに、今そうできない状況でみんな頑張ってくれている。ありがとうと伝えた。

子供の質問の最後はこうだった。「僕たちがフィンランドのためにできることはありますか?」。「あなたたちは、もう十分にやってくれています。遠隔で授業を受ける、おじいちゃんおばあちゃんに会いに行かないようにする、友達に会いに行ったり一緒に遊ばないようにする。みんなもう本当によくやってくれています。でも、あとは、もし周囲に元気のない人、気が滅入っているのかなと思うことがあったら、声をかけてあげてください。そして、友達やおじいちゃんおばあちゃん、会えないけれども電話やアプリを使って連絡を取り合っておしゃべりしてください。」こうして会は終わった。

この政府発表の場で、珍しい試みも行われていた。それは、手話が第一言語の人が今回の手話通訳を担当したこと。
人はみな等しく尊い存在であること。私たちは一緒に歩いていこうという気持ちの表れ。自分の言葉で子どもたちに伝えたい、子どもの疑問を通して大人たちにも伝えたい、ほのぼのとした会だった。そして素直に語られる首相や大臣たちの言葉は、どれも明確で、そして普段聞き慣れている例えばリスクグループというのはどういう意味でどういうことなのか、なんていうことを、つまり政府の決定事項の背後にある根拠をとても分かりやすく語っていた。何よりも、みんな素直だ。

この混迷した社会において、不安なのは大人だけではない。子どもの前でも真摯に応えることのできる首相を尊敬します。

後ろのうさぎさんたちもかわいいなぁ。

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