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317日目(平田とのこと)

小山田問題が一般社会に噴出した夏から、秋頃になると小山田圭吾と面識のある著名人やファンによって、名誉回復というか擁護論が多数出てきた。
個人的な小山田問題に対する思いは騒動時にnoteの記事に書いたが、様々な擁護論や言説を聞いてもこの時からその思いはほぼ変わっていない。

年末に配信されたDOMMUNEの小山田問題企画がアーカイブされた時に第一部のトークセッションだけ見たが、やはり擁護をしている人達に見られる「弱者の目線での想像」が欠如しているなと思わざるを得ない。

2時間5分辺りくらいから語られる言説は「いじめ紀行」の終盤部分を以って、いじめていたとされる人物との交流は確かにあって何なら友達と言ってもいいくらいの物言いで、やはりそこらへんが僕の感覚ではモヤモヤするのです。

原文にあたるにはまあまあなお値段出さないと当時のQJは買えないのだが「いじめ紀行」の書き起こしである上記のブログを見ても、やはり僕には終盤部分を持って小山田圭吾の後悔や反省を読み取ることはできなかった。
いや、本当にフェアな目線で語るならこの記事で小山田圭吾の後悔や反省を読み取ってはいけないとも思うのだ。
片や著名人で社会的にも発言力や影響力もある人物、片や社会的にも弱者と言えるカテゴリの市井の人たち。
「加害者と被害者」「強者と弱者」。
ただでさえ第三者が立ち入ってジャッジできない関係性の中で、加害者や強者側のストーリーを以てそこから後悔や反省を読み解くなど、あからさまな弱者軽視だし大切な人を守りたいだけの傲慢な言説だと思う。
DOMMUNEの配信で、実際に沢田(仮名)に会ってたら美談になってたかもしれないみたいな残酷なifを言ったりして僕的には胸糞でした。
何らかのハラスメントを起こした人物が反省しているからといって、ハラスメントを受けた側と対面させて物事が解決できますか?という話です。



僕は中学生の時にバレーボール部でした。
部員は試合ができるギリギリの六人の弱小チームで、中二か中三の時に野球部をドロップアウトした平田という同級生がバレー部に入ることになった。
複雑な家庭の平田とは僕としては気が合うと思っていて、何度か平田の家に行って近所のレンタル店で「悪魔のいけにえ2」や「カリギュラ3」なんかを観た思い出がある。
ある日クラスの担任から別室に呼ばれ、その別室には平田がいた。
担任から「お前、平田のこといじめてるんか?」と問われ、全く身に覚えのない僕は頭の中が真っ白になって、ただ担任の問いを否定するだけだった。
その場は担任の仲介のもと、平田とちゃんと接するようにと握手をさせられ、それで不問となった。
どういったいじめだったのか、そういった話も無く、ただ担任の仲介のもとで「これから仲良くしろよ」的なことを言われただけだった。

僕は平田に対して暴力だったり金銭を要求したりなんかはしたことは全く無くて、僕にとってはチームメイトであり、まあまあ仲の良い友達くらいに思っていた。
ただ、平田が僕からいじめられたと聞いて唯一思い当たったのは、複雑だった平田の家庭環境や家族との話を茶化してネタにしていたことだった。
そこからは何となく平田ともあまり話さなくなり、平田も卒業前にはバレー部をフェードアウトしていった。

結局、平田が僕に対してどんな思いでいじめられたと思ったのかわからず仕舞いで、そんな平田も高校を卒業するくらいの頃に成人を迎えることなく交通事故で亡くなったと人伝に聞いた。

正直、僕がいじめていると言われた時はショックだったけど、今思えば無自覚に平田を責め続けていたんだなと思う。
僕は未だに何もでもないが、まだ生きてはいる。
一方で平田はもう20年以上も前に亡くなって物言わぬ人となった。
未だに僕的には真相がわからないので反省も後悔も無い。
中学時代に僕は平田をいじめていたという事実だけは確実にある。
そこに第三者が入る余地は無い。

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