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とりさんヨロズ紹介頁・裏『トライガン』&『トライガン・マキシマム』

ハイ。とりさんヨロズ紹介頁の裏です。
裏では、読んだ事ある前提でとりさんが好き勝手に書くことをコンセプトにしていこうかなぁと思っています。
ということでココからはネタバレ満載ですね。
要注意です。

はい。伝えましたからね?
ネタバレしたからって怒っても遅いですよ?









【本編】


いや、この作品の魅力は前述の通り
「信念をどう貫くか」
であると思っています。
主人公のヴァッシュは「他人の命を絶対に奪わない」でも、「信念の為に暴力は仕方がない」
対してウルフウッドは「信念の為には暴力は仕方がない」「身内の為なら確実に命を奪う」
舞台設定は「暴力=日常」となっている。だからこそこの対立が成り立つのだ。
ヴァッシュの信念は「キレイごと」だとウルフウッドはいう。その通りだ。
ヴァッシュはプラントという膨大なエネルギーを生み出し、プログラムによっては食べ物さえ生み出す失われた最先端技術「プラント」の特別編異種であり、人間ではないのだ。
人間に比べて、老いず、ほぼ不死身ともいえる種族であるといえる。
『だからこそ選べる選択』であるのは間違いないのだ。
そう、間違いないのだ。
であるのだが、ヴァッシュは長命であるが故、「身内の概念が恐ろしく広い」と表現している。
幼いころから知っている、いや、もっとだ。
親の、いや、祖父・祖母のオシメを交換したような愛おしい相手が憎しみを込めて銃を向けてくる世界にヴァッシュは生きている。
それでも笑顔で「ラヴ・アンド・ピース」と叫び続けるのだ。
そして、最後の最後で銃を抜く。
愛しく、慈しむべき相手に『銃を抜くしかない』のだ!
それを理解したとき、ウルフウッドもその生き方を認めざるを得ない。
お互いにその生き方を理解し尊重できるようになった時…

別れが訪れる。

マキシマム単行本10巻。
とりさんは何度読んでも涙を禁じ得ない。
もうこの10巻は本当に良い。
でも辛くて、気軽に読めない。

【ヴァッシュが信念を捨てるとき】


さて、ヴァッシュの信念の話
そう、この物語はヴァッシュの信念の物語である。
だが、その信念を捨てたことが2度ある
トライガンラヴの仲間たちは分かってくれるだろうか?
物語で明確に描かれているのはマキシマム最終13巻。
レガートの信念に触れ、『自らの信念を守るか』『一人の命と一人の信念を守るか』の2択を迫られたシーンである。
そう、トロッコ問題である。
そこでヴァッシュは『信念を捨てた』のである。
その後の苦悩は重々しく描かれる。非常に印象深いシーンである。
感動する!胸を打たれる!

だが、気が付いているだろうか?
それ以前に彼が『不殺』の誓いを捨てたシーンがあることを。
それは、例のマキシマム10巻
窮地に追い込まれたウルフウッドを助けにきたヴァッシュがウルフウッドに向けて
「…ぶっ潰してやれ」と声をかけた後、
空を仰ぐシーン
直前には二人で何とか切り抜けるよう提案しているヴァッシュが掌を返してウルフウッドを見送ったシーンです。

彼がこのまま送り出してしまえば必ず死んでしまう事も
そして、彼を引き留めても数刻の内に死んでしまうであろう事も
彼が勝利するという事が相手の命を奪う可能性が高い事も
そう、間接的にウルフウッドを殺してしまう選択を
『彼の信念を守るために』
せざるを得なかったという後悔が描かれていると読み取れるんですよ。
そう、どっちを選んでも彼は死んでしまう。
ならば、彼の意志を大切に、信念までは殺さないように
死地へと送り出したのだ。

気づくだろうか?
そう、最終巻で選んだ逆を選んでいるのだ。
ヴァッシュは最終巻では「レガートを殺す:リヴィオの命を救う+レガートの信念を守る」の天秤で「レガートを殺す」を選択している。
だが、10巻では「二人とも死んでしまう可能性+ウルフウッドの信念を守る:リヴィオの命は救える」の天秤で前者を選択しているのである。
そう、リヴィオ(ラズロ)はウルフウッドの視点から「大切な後輩」として描かれるが、ヴァッシュにとっては同等かそれ以上に大切な存在であると読み解かなければならない。
それがヴァッシュというキャラクターであると考える。
それなのに!
リヴィオも死んでしまう可能性が高い選択をウルフウッドの信念を守るために『自分の信念を曲げてまで』送り出しているのである。
そして、それを知っているからこそ、ウルフウッドはラズロを命を奪わず下してヴァッシュの信頼に応えたのである。

もう、涙するしかないだろう。
別れが数瞬後には訪れる事をお互いに知っているヴァッシュとウルフウッドの最後の会話も、ウルフウッドが「もうえぇ」と投げ出してしまった家とのつながりを見て涙するシーンも…
もう一度!もう一度!すべてわかった上で10巻を読んでみてください!
やばいですから!

他にこう読めるというコメントも待っています。

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