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名画座大パニック

親友のケンタロウに「20歳になった記念にポルノ映画に行こう」と誘われた。エロい遊び(ストリップ・ソープ)は全部ケンタロウに誘われて体験した。

向かったのは地元・小倉駅前の「名画座」
1階が普通のポルノ映画館、2階が薔薇族(ゲイ)映画館
受付のおばちゃんが常連と思われるお客さんと「おおっ」みたいな感じであいさつを交わしている。この「常連」のお客さんが多分ヤバイ奴らだった。

映画は何本か立てで1本は「裏ビデオの女王」こと田口ゆかり主演(ちょい役でいか八朗が出てた)、1本は海賊放送の女子大生DJが出てくる話し。AVみたいな感じじゃなくてちゃんとした映画だった。

映画館に入ると座席がいっぱい空いてるのに何故か客のほとんどが後ろの壁に寄り掛かっている。
「新参者はまず椅子じゃなくて壁、これがルールなのか?」
ケンタロウとそう話して例にならって壁に寄り掛かることにした。

映画を見てたら、同じく隣に立っていたおじさんが近寄って、スルスルっと手を伸ばしてきた。俺は直感的に「スリ?」と思ったが、その手が後ろではなく俺の股間を目掛けて伸びてきた。
「ええええええ!ホモ?!ホモは2階じゃないの?!」
無茶苦茶焦って俺はケンタロウに「出よう!」というが「今出たらもったいない!」と言われ座席で続きを見ることにした。座席はカップルシートなのか?それ以降、変なおじさんが近寄って来ることはなかった(ってことはケンタロウとカップル成立って思われてた?)。

そうこうしてたらトイレに行きたくなった。
俺は直感的に「トイレに行ったらヤバイことになる」と思いケンタロウに付いてきてもらった。予感は的中して俺とケンタロウが入った途端、お客さんたちがぞろぞろと入ってきた。
「お前らどんだけガッついてんだよ!」って感じだったが、ケンタロウが居たお陰なのか手は出して来なかった。っていうか2階の映画館に行けよ...。

で、海賊放送の女子大生DJが出てくる映画のBGMでずっと女性の声で「お父さ~ん、お父さ~ん」って歌う曲が流れてて、ケンタロウも俺もそれが気になってたまらなかった。今みたいにネットも普及してたらすぐにわかったけど、これも一生わかんないのかなあって思ったある日、宝島のVHS「ギャルズパラダイス」でその曲を歌ってたのが京都の「アマリリス(アリスセイラー)」と知った。見つけた俺って凄い!って思った。

思えばあの時途中で映画館を出てたらアマリリスアリスセイラーさんの存在を知らずに生きる人生だったかも知れない。