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パラオは女性の方が平均収入が高い国。

国際女性デーに先駆けて、2月11日は「科学における女性と女児の国際デー」という日でした。例年、この日に職場のリケジョの数を確認するんですが、圧巻です。

職場のパラオ国際サンゴ礁センターの主要業務は海洋調査で、研究者はパラオ国籍をメインに南アとギリシャから、合計5名が所属し、うち4名が女性です。アシスタントは6名、うち3名が女性です。つまり研究部全体で11名中7名が女性。海洋調査は肉体労働も多いというのに圧倒的に女性が多いのです。

パラオ全体でも女性の方が平均収入が男性より少し高いです。パラオ人曰く、この原因は学位評価が給料に直結しているせいだと言っています。
研究職や公的機関の上位職は学位に応じて給料が変わります。学位は米国の大学で取得するのですが、米国の大学は日本と違い卒業するのが大変で、ドロップアウトするケースはそこそこあります。パラオ人は基本的に奨学金を使い大抵はグアムかハワイの大学に行きます。男女同数に奨学金を出しても、男性のドロップアウト数が多く、女性が少ない傾向にあるため、学位取得者は女性の方が多くなります。
また、男性はボートオペレーターやメンテナンスなどの肉体労働に従事しているケースが多く、全体に給料水準が低いです。

そもそも、パラオは女系社会です。生まれというのはどの女性から生まれたかで決まります。

米国法律を導入したため、苗字こそ男親から受け継ぐ人が多いですが、そんなもは関係ありません。死んだら葬儀は母方親戚が中心に執り行います。配偶者が喪主になる日本とはかけ離れています。
また、結婚したからといって、「自分の生まれた家を出て相手方男性の家に入る」という感覚は存在しません。そして、所属しているのは日本で言えば「家」ではなく、「コミュニティ」というものに近いと思います。
子供が生まれれば「オモガット」という女性限定の行事があり、コミュニティで祝福します。女性だけで子供育てているのか?というと全く逆で、男親の育児参加率は非常に高いです。

狩猟社会は女性の地位が高い傾向にあるという説を聞いたことがありますが、パラオはまさにこれです。男性が魚をとりに海に行っている間、女性が村を運営していたと思われます。また、現在もタロイモ畑は女性が管理するものです。
ある意味において、ジェンダーロールについては日本より強いバイアスがあると思います。ただ、強い縛りゆえに女性の社会的役割が多く、地位が高いのです。

パラオのおばちゃん「あんた、子供はいるのかい?」
私「いないよ」
パラオのおばちゃん「旦那は?」
私「いないいない」
パラオのおばちゃん「パラオ人の旦那見つけなよ。魚とってこれる男だね。ボート持ってたら最高だ」

そもそも質問の順番が日本と逆です。子供がいても結婚していない人というのが多いため、この順番になります。結婚制度もトラディショナルマリッジとリーガルに分かれており、ほとんどの人はリーガルマリッジまではしません。トラディショナルはパートナーシップ制度のようなものです。解消が簡単なため、気持ちが離れたら大抵はシングルになることを選びます。
パラオ人の男の価値は魚をとってこれるかどうかで決まり、収入ではありません。魚をとってこれる男性はモテます。

パラオでは例年、国際女性デーに合わせてイベントが開催されますが、なんだか、男性デーも必要な気がしています。

#国際女性デーによせて


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