水いぼは取った方が良いの?
水いぼって結構問題なんです。
個人的には(皮膚科医としては)、『どちらでも良い』が結論です。
水いぼがあることでのデメリットが多ければ『取った方が良い』です。
水いぼがあるデメリットが少なければ『取れるまで放置』も可能です。
なので、生活スタイルと状況で決めましょう!とお話しします。
なぜ『どっちでも良い』という結論かと言いますと、いずれ治る病気だからです。
何もしなくても、自然に水いぼは取れます。
ただ、取れるまで時間がかかるのです。
報告にもよりますが、約6ヶ月〜3年くらいと言われています。もちろん個人差はあるので、早く取れる人もいれば遅い人もいます。患者さんには、取れるまでは1〜2年かかりますよ、とお話しします。
この取れるまでの1〜2年が待てるかどうかがポイントになります。
待てばいいじゃん!って感じですが。
問題は、水いぼはウイルス性の’’感染る病気’’なんです。
’’うつる’’には色々あります。つば(飛沫感染)でとか、空気(空気感染)でとか・・・。
水いぼは
・直接触る
・物を介して
で、感染します。
具体的には、
・水いぼを掻いて触っている
・水いぼの部分を拭いたタオルを使用する
・水いぼの部分が触れていたビート板が皮膚に付着する
ということで感染します。
もちろん、必ず感染るというわけではありませんが、皮膚が傷んでいたりバリアが弱い状態だと感染りやすいです。
皮膚が傷んでいる状態、バリアが弱い状態
・湿疹がある
・引っかき傷がある
・乾燥肌がひどい
・小さいお子さん(印象としては6ヶ月〜10歳くらい)
このような状況では、広がりやすいです。
問題となるのは、お子さんがよく参加される幼稚園・保育園での『水遊び』『スイミングスクール』です。
水いぼのお子さんがいると他の方にうつる可能性があります。
’’皮膚と皮膚が直接触れる’’ + ’’子供のバリアは弱い’’
= ’’うつりやすい’’
になるのだと。
そのために、幼稚園・保育園・スイミングスクールでは、水いぼのお子さんは水遊びやレッスンが不可になっていることがよくあります。
皮膚科医としては、完全に水遊びやレッスンは不可にする必要はなくて、水いぼの部分のみ触れないように覆えば良いのではないかと考えます。
さすがに、覆えないような数の多いお子さんや、覆えない顔に多数ある場合は水遊びは不可でも良いかと思います。
幼稚園・保育園・スイミングスクールでは、他の保護者の方が『誰かから水いぼをうつされた』と言われると問題になるために、全員を不可にしているのかもしれません。
また、覆ってくださいといっても、聞かない(聞き入れない?気づかない?)保護者がいて対応が面倒だからかもしれませんが。
治療はいくつかありますが、保険が使えて効果があるのは
・ピンセットでむしり取る
です。
保険外では
・ヨクイニンという漢方薬を飲む
・硝酸銀ペーストを塗る
・ステリハイドを塗る
・液体窒素で凍らせる
・ベセルナクリームを塗る
などがあります。どれも有効と言われています。
私見ですが、行ったことのある治療では
・ヨクイニン:飲むと効く人は効きますが、時間はかかります。取れるまでは数ヶ月かかりますと説明します。
・硝酸銀ペースト:上手くいけば取れます。ペースト状のものを水いぼに塗るのですが、取れた後にしばらく色素沈着が残ることが多かったです。また、塗っている最中に乾く前に動いてしまうと、他の場所にもついてしまいます(他の場所に着くと、そこも色素沈着がおきてしまうかも)。塗る量が少ないと取れないです。
・ステリハイド:他のイボでの治療経験ですが、1箇所あたり数回塗る必要があります。かさぶたになって取れます。乾く前に動くと、他の場所に着いてしまいます(他の場所に着くと、そこもかさぶたになってしまう)。
・液体窒素:大きいイボで数が少なければありでしょう。ただ、液体窒素の治療は痛いです。むしり取るのと、どちらが痛いかは、難しいところです。
・ベセルナクリーム:塗ったところが赤くなったり、ただれることがあります。
他の治療も一長一短で、魔法のような治療はないです・・・。
むしり取るのは痛いことが問題になりますが、最近ではペンレスという痛み止めの局所麻酔薬のテープを利用してとることができます。
このテープを貼ると10くらいの痛みは2〜3くらいになります。
デメリットは、稀にアレルギー性のショックを起こす可能性があることです。貼ってから痛みが取れるまでは1〜2時間貼っておかないと効果が弱いです。
まずは、水いぼにならないこと!
そのための、予防としては皮膚のバリアを補強と改善が重要です。
・保湿剤をしっかりと塗る
・皮膚を傷つけないように、湿疹があるなら治す!
頑張って塗りましょうね〜!
ということで、
『水いぼがあると、水遊びができないとかスイミングができないとか、やりたいことができない人』 → 取った方が良い!
『水いぼがあっても、特に制限がない人』 → 取らなくても良い!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?