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君の知らなひ物語(古賀コン6/テーマ「架空 “☆1” レビュー」)


君の知らなひ物語

 おぎゃあ! お前がカスタマーレビューに⭐︎1をつけたとき、俺は生まれた! 
 俺の使命は⭐︎1レビューをつけたお前のレビューに⭐︎1をつけること! だってお前、他人が汗水流した労働の成果に⭐︎1つけるか普通? どう考えても⭐︎1なのはお前の人生だろって話なんだよ、だろ!?!? 俺はそんなお前の思い上がりに警鐘を鳴らすためにあえて心を鬼にしてお前に⭐︎1をつけたわけよ。鐘だよ、ゴーンつってな! 
 おぎゃあ! おぎゃあ!! ⭐︎1をつけたレビューに⭐︎1をつけた時、俺もまた生まれた! 
 俺の使命は⭐︎1レビューをつけたレビューに⭐︎1をつけたお前のレビューに⭐︎1をつけること! だってそうだろ、人が人を評価することがどれだけ傲慢なのことなのか!? お前は身をもって知らなくてはならない! いいか、⭐︎1をつけるってことは暴力なんだよ。バッキバキの"暴"なワケ。つまり「あなたは評価するに値しないカスですよ」って言ってるのと同じなの。お前によってアイツがどれだけ傷ついたか分かるか? は? お前ごときに何がわかる。黙れ。俺が思い知らせてやる! お前に痛みを、屈辱を! お前に! 俺が! 
 おぎゃあ! おぎゃあ!! おぎゃあ!!! ⭐︎1レビューをつけたレビューに⭐︎1をつけたレビューに⭐︎1をつけたとき、俺もこの世に生を受けた! おぎゃあ! おぎゃあ!! おぎゃあ!!! おぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあおぎゃあ────そうしてこのぬばたまの夜空に数多の星が生まれていった。誰もが自分の中の悪魔を他人に見出しては、正しさという名の星を瞬かせ、闇を塗り潰そうとした。
 あれがデネブ、アルタイル、ベガ。人の心の果てしない暗闇を照らす星々のひかり。真実は残酷だ、そのひかりの正体を僕は言わなかった、言えなかった。二度と戻れないあの夏の日、この長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せて、ブレーキいっぱい握りしめた私はカブトムシ、通り過ぎゆくLove&Roll,wow……o─gyaa……それは寄せては返す波のように……o─gyaa……o─gyaa……baby,Oh……

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