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わが街の伝統産業 宮城県・松島町

第65回 宮城県松島町 ~260の島々が浮かぶ日本三景の一つ「松島」は江戸時代から300年続いているカキ養殖の街

 宮城県松島町。太平洋沿岸に位置しており、人口は約13,000人。太平洋を背景に松島湾に浮かぶ約260余りの島々が織りなす松島の風景は広島県の宮島、京都府の天橋立と並ぶ日本三景の一つ。

 周知のとおり、2011年3月11日に松島町は東日本大震災に見舞われましたが、その松島湾に浮かぶ約260の島々が防波堤の役割を果たしたことから、津波の被害そのものは他の沿岸部地域に比べて軽微だったようです。

 この松島町の伝統産業が松島湾という地の利を活かしたカキの養殖です。カキの生産量日本一は広島県ですが、松島町をはじめとする宮城県は第2位。松島町のカキ養殖は地元の水揚げ高の約7割を占めている代表的な地場産業です。

 松島町のカキの生産は江戸時代から300年続いている歴史があります。1600年代、松島湾で内海庄左衛門が島の周辺に大量のカキが付着しているのを発見。これを採取して、天然稚貝を拾い集めて、海面に散布して育成したのが始まりのようです。

 現代のようなカキ棚を使った養殖が取り入れられたのは1926年(大正15年)から。カキの成長が良く生産量も増加。結果、松島のカキが全国に知られるようになったのです。

 カキの名産地になった理由として松島湾の地形にあります。入り組んだ静かな湾に栄養たっぷり含んだ山からの水が流れ込み、カキの餌となるプランクトンが豊富なことにあります。

 町内には4か所のカキむき場があり、そこでむかれた生カキはパック詰めに加工され、販売所での観光客への販売や、地元の漁業協同組合を通じて出荷されるなど、松島町では年間に約100トンのカキが生産されています。

 カキの養殖が盛んな松島湾ですが、20年ほど前から海の汚れがひどくなり、カキの養殖に悪影響を与える時期がありました。そこで周辺の市と町が協力して、国の援助を受けながら「松島湾リフレッシュ事業」を開始。結果、松島湾の海の水質や透明度が回復。今も美しいと言われる松島の海を守る事業を地道に行い、全国に松島町のカキを届けています。

 最後にカキで知られる松島町ですが、「松島のり」というブランドで海苔の養殖も盛んです。松島湾の外洋部が養殖海苔の場所となっており、毎年9月から翌年1月ごろまで東北地方において海苔の生産の中心となっています。

  提供:伝統産業ドットコム

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