WCS決勝が塩試合になってしまった理由を事後孔明する

「決勝は0-3でT1やろなあ……」
とまあ決勝の結果予想は衆目の一致するところだったわけだが、なんでみんなそう思ったのかを自分なりに紐解いていくぞ。

●Crispのプールについて
彼はS9のTES在籍時、エンゲージサポートで世界を取った男だ。特にレオナがバチクソうまい。
エンチャンターは使える方だが、ADCサポートの使用はこの2年間でアッシュ5回のみ。

2022 使用チャンピオン
2023 使用チャンピオン(WCS全試合込)

アッシュ以外の変わり種のADCサポは使えない可能性がまあまあある。まあ普通使えないけど……。
レーンを勝てるピックとしてメイジサポを出すならレナータかラックスかハイマーだが、準決勝でラックスとハイマーは醜態を晒したので流石に使わないだろう。得意のレナータが取りたい。
同じく準決勝で見せた得意のアフェミリオコンビはT1にBOTプッシュ主導権メタに変えられてしまったために出せなくなってしまった。(同様にアフェルルも厳しいだろう)

準々決勝のLNGvsT1で
LNGは
 カイサレル(VSニーラセナ)
 アフェラカン(VSバルスアッシュ)
 アフェミリオ(VSバルスレナータ)
とレイト&集団戦志向のBOTコンビをピックした。結果どうなったか。
BOTがボコボコにされて3game合計のドラゴンスタック0-12でボロクソに負けた。3game目はBOTにTarzanが張り付いてたらTOPが終わった。

アフェリオスの時間は永遠に来なかった。レイトキャリーを持たされたADCにできることがなさすぎて、GALAは涙を流していた。

悲しみのGALA

ということで、Crispの出せるチャンピオンは
 長射程ADCに合わせるメイジサポ:レナータ・ハイマー・ラックス
 ADCサポ:アッシュ
 カリスタに合わせるサポ:レナータ・レル・アリスター・タリック
 レイトADCに合わせるエンチャンター:ミリオ・ルル
 エンゲージサポ:ラカン・レオナ・ノーチ・レル
なんとかCrispにレナータかアッシュを持たせたかった筈だ。他にレーンを勝つサポートピックがない。
しかしレナータもアッシュも取り上げられたり自分たちからBANしたりで一度も使えなかった。(アッシュのセルフBANは私には理由がよくわからない。T1にはフレックスだから?Gumayushiもそこまで得意ではなさそうだが……)

結果として、Crispはこの2年間ほぼ使ってないセナやバードで決勝を戦う羽目になった。
タムケンはキャリア全体では使用頻度3位だが、今年は2試合しか出していない。
今年はエンゲージサポートメタだったからこそCrispはこのWCSの舞台に立っているのに、
準決勝からいきなり「実は今年もADCサポート&メイジサポメタでーすwww」
と言われてしまった。正直Crispとしても面食らっただろう。

準決勝こそ対面のONとファッキンラックスとファッキンハイマーの応酬の末に
ミリオ(アフェミリオ)・アッシュ・レナータと持ちうる手札で戦い抜いたが、
結局ここで手札を使い果たし、決勝では何も出すものがなくなった。
アフェミリオはレンジの短いザヤレルに出せただけで、やはり相手を選ぶ。
というか、準備期間ほぼなしの急造でこれだけ手札を出せるCrispは凄い。やはり世界を獲った男だ。

T1視点でのWBGのCrispのプールはこうだ。
・レナータを取り上げるとCrispのメイジサポはあんまりよくない
・アッシュを取り上げるとCrispのADCサポはなさそう
・先にレンジの長いADC(主にバルスやアッシュ)やカリスタを抑えると得意のアフェミリオは出せない
(JDGが準決勝でゼリルルやって負けていることも加味すると、余計厳しい)
・仮にケイトリンを取られても、Crispにはケイトリンに合わせられるプールがあまりない
・Lightはあんまりザヤとアッシュが得意じゃない

今年のLightのアッシュ


う~ん、BOTのバンピックが辛すぎるッピ!
もちろんCrispもONも十分な準備期間を与えられれば仕上げてくるんだろうけど、WCS中にいきなりメタ変わったからな……。
※私はLPLでのCrispの試合を一度も見たことがないので、実際のところ得意ピック苦手ピックはよくわからない。

●TOPのピックについて
WCSもプレイイン→スイス→ノックアウトと進むに連れ、だんだんピックが煮詰まってきた。
準決勝終了時点でTOPで先出し可能なチャンピオンの候補は
 エイトロクス(普通は後出しする、先出ししてるのはZeus・Doran・369くらい)
 ジャックス(特にBIN)
 ランブル
 カサンテ
 レネクトン
といったところか。カサンテはちょっと怪しいが。
スイスでちょいちょい出てたナーやオーンは過去先出し安定だった時期もあるが、今はちょっと出せない。
ナーが先出しされたのはスイスステージのMADvsBDSが最後。

MADが1stBANフェイズでダリウスをBANした上でナーをピックし、2ndBANフェイズでオラフとガレンを消した。AdamのPoolを知り尽くしたMADの手厚いナー介護BAN。なおAdamはレネクトンを取って負けた。
つまり、今のナーのチャンピオンパワーは先出しピックできる水準にないということ。LJLはナーばっかなんだけどなあ。
ではオーンはというと、1度も先出しされてない。そもそも先出しするチャンプじゃないし……。

で、これらをTheShyのプールに照らし合わせるとどうなるか。
 エイトロクス→Zeusの先出し安定ピック
 ジャックス→実はあまり積極的に使ってない≒恐らく苦手で出せない
 ランブル→準決勝の活躍でほぼBANが予測される
 カサンテ→取りたい
 レネクトン→取れるけどよわい
結局選択肢としては、
 ①エイトロクスを取らせた上でラストピックでカウンターを出す(赤サイドしかできない)
 ②エイトロクスを取り上げてカウンターをくらう
の2つ
では仮に①の方向性で考えていくとする。

これまで今年のWCSで決勝前までにエイトロクスに後出ししたチャンピオンの勝敗を見てみると(手動集計なので違うかも)
 グウェン(0-2 Zikaのみ使用)
 ジャックス(0-1)
 レネクトン(0-3)
 カサンテ(0-1)
 グレイブス(1-0)
という感じになる。
え、こんなに勝ってないの……?
TheShyのグレイブスしか勝ってないじゃん。
Zeusの先出しエイトロクスに対する回答がないのはまあ試合見てれば体感としてあるとして、他の先出しエイトロクス自信ニキ達もやべえな。

ZikaグウェンはGANKがなければ勝てそうだったので、グウェンは仕上げてれば勝てなくもなさそう。一応TheShyも国内のRegional Finalsで1回使っているみたいだし、出せるかもと行ったところ。

TOPでピックされたチャンピオンの使用数と勝率も出そう。

スイス以降
プレイイン

グウェンの1勝は決勝のZeusなので、決勝前の段階では実質0-5。
ケネンの1敗は決勝のTheShyなので、決勝前の段階では実質3-1。
ワニは普通に負け越し。
グウェンとワニはちょっとチャンピオンパワーが足りないように見える。相当自信がないと出しづらいかも。

ちなみに大エイトロクス環境だった去年のWCSも参考に見ると、
 グウェン
 フィオラ
 カミール
 ジャックス
 イレリア
 ケネン
 ヨネ
あたりがエイトロクスに後出しされている。

TheShyの使用数を見ると
 グウェン→ここ2年で12回使用
 フィオラ→去年3回使用、その前は2019
 カミール→最後に使ったのが2019
 ジャックス→恐らく苦手
 イレリア→最後に使ったのが2019
 ケネン→ここ2年で13回使用
 ヨネ→多分使えない

ヨネはZeusにしか使えない。
メジャーリージョンの公式戦や国際線でのTOPヨネの戦績は以下の通り
 2022 2-2(ZeusはWCS決勝で使用して2-0)
 2023 2-0(ZeusはWCS決勝準決勝で使用して2-0)
まさしくZeus専用機。

カミールはDoranが国内で出して、去年の決勝ではKingenが出してたけど、こちらも使い手を選ぶ印象。

ケネンに関してはそもそもカウンターかどうかが諸説ある。
去年はEviがよく出していたが、プレイインが終わってからは誰もエイトロクス相手に出してない。

逆にプレイインではエイトロクスにか出ていない

今までのデータを総合的に見ると、TheShyの後出しPICKは
 第一候補:カサンテ
 第二候補:グレイブス
 第三候補:ケネン
 第四候補:グウェン
みたいな感じじゃないかなと予測される。
一応この中ではカサンテが一番良さそうだったのだが、決勝では互いにTOPのピックが2ndにもつれ込んだらBANされた。かなしい。

当然のようにBAN

まあ恐らくWBG側もソレは織り込み済みだったように見える。
赤を取ってラストピックをTheShyに回してカサンテBANされてこの程度のパワーのチャンピオンを出すよりは、①のエイトロクスを取ったほうがいいかなって発想かな。元々得意だし。
1game目はこの方針で行って、ヨネに負ける。
2game目は2ndBANフェイズでヨネをBANしてエイトロクス取ったけど、グウェンまで出てきて負ける。
3game目は2ndBANフェイズに入った時点でTOP先出しはほぼ確定なので、ケネンがエイトロクスに勝てると思っているならエイトロクスBANの必要もないか。

4試合しか出てないTOPジェイス これもZeus専用機なのか?

ちなみに青サイド1stBANフェイズでエイトロクスBANはできない。
Weiweiは異常にマオカイの使用回数が多い。なんと7回。

Oner1、Kanavi1、Peanut2、XUN2、Cuzz1、Tazan1なのでマジで異常

マオカイが得意なのか他が苦手なのか知らないが、ジャーバンは苦手だと思う。(理由は後述する)
同系統のViもあまりピックしていない。これはXiaohuがオリアナを積極的に取ろうとしないことにも関係があるかもしれない。
ポッピーは3回とかなり多い。
スイスround4まででWBGが赤サイドの試合は4gameあったんだけど、全部青サイド1stBANポッピーだった。

超シーソーだった試合 ザヤがエンゲージを受けきった
唯一のジャーバン使用試合 なおBDDに破壊されたもよう
ソラカを投げてどうすんだ いやもしかしたらソラカのリワークを知らなくてQが範囲MRデバフだと勘違いした可能性も……

青側のときは1stピックポッピー。

エンゲージに強いからね

他のチームはここまでポッピー優先しないので、かなり得意なんだろうな。もしくはポッピーを取ることで何かのピック(ブリンク持ちエンゲージャー?)を抑制したいかということだろう。
だいたいマオカイもポッピーも即BANされてるのおもろい。

ジャーバンはMAD戦でもNRG戦でもFNC戦でもBLG戦でも自分たちからほぼ全試合BANしている。

↑3game目は2ndBANフェイズでBAN
ジャーバンは絶対に出せないし、取られたくないという強い意志が伺える。

これは今のジャーバンがチームスタイルに合ってないというのもあるのかもしれない。
今のジャーバンはXUNを見ても分かる通り、ゴアドリンカー→ショウジンの2コア完成からEQの回転率で活躍するチャンピオンのようだ。
XUNの居るBLGはレーナーのCSは負け気味なかわりに、ジャングラーのCSは勝っているというデータのチームだからコンセプトに合っている。
しかし、WBGは逆にレーナーのCSは勝っている変わりにジャングラーは負けている。WCS2位なのに50%を切っている。まあこれは決勝でT1に吸われた分もあるだろうが、かなりレーナーに寄り添うジャングラーのようだ。

今のメタでは早めに2コア完成してないジャーバンは集団戦であんまり活躍できないため、チームカラーに合っていないのだと思う。(昔は時計がガーゴイルストーンプレートの素材だったので、1コアとちょっとから活躍できた)
そしてOnerはジャーバンを5度使用しており、結果はこうだ。

BAN1枠目はジャーバン。これは開ける訳にはいかない。

アジールもBANしないとT1がオリアナをBANしてこない可能性があって、これも非常にまずい。
オリアナVSアジールのマッチアップはWCSで13回あって10-3でオリアナ有利なんだけど、そのアジールの3勝は全てFakerなのである。
オリアナvsアジールになっても、アジールvsオリアナになっても辛いという意味不明な状況。
アジールは開けれなくもないが、できれば開けたくないという形。

これでBAN枠が1.5枠くらいは埋まった。
そしてWeiweiのマオカイ優先度を考えると、サイラスもBANしたい。
ちなみに決勝前までのFakerの使用チャンピオンはこうだ。

そもそもアジール・オリアナ・サイラスしか出してないし、LNGがマオカイ&ジェイスにサイラス当てられて悲惨な負け方をしたばかりだ。
これもできれば開けたくはない。

もう一度1stBANフェイズから赤1st~2ndピックを見てみよう。

1戦目:ジャーバン・アジール・サイラスBANで1stマオカイ
2戦目:アジール・ジャーバン・アッシュBANで1stカリスタ
3戦目:ジャーバン・アッシュ・レナータBANで1stアジール
どれも意図は伝わってくるが、やっぱりきついよなあという感じ。
レナータ取りたかったなあ。
1stカリスタ取ってレナータ取られるのはまだいいけど、1stレナータ取ってカリスタ取られたらヴァルス出してもケイトリン出してもきつそう。
1stピックでアッシュを取らないのは、Lightもアッシュ苦手だしADCとSUPのフレックスにならないから?T1側もフレックスかというと怪しいけども。

それでもBLG戦では1stピックしてたので、ここは私の知識ではよくわからない。
スクリムで試してボコされたのかもしれない。
まあT1のBOTピックが幅広すぎてどないもならんというのは事実。

T1が赤側1st~2ndピックでBOT二人を抑えてしまうのは準決勝のJDGvsT1戦でチラチラ見えつつ合った図式。
君たちプール広いね……。あ~あ、もうめちゃくちゃだよ。
使えないチャンピオンが多いチームは赤側を取るのも難しい。
1stBANフェイズの3枠目で青側にOPを開けられて、
「次これBANしなくていいの?ん?w」
みたいなことされて結局3枠目は固定BANになってしまうし、
OPを3枠開けて青1stピックOP1枠に対して赤1st2ndピックをOP2枠で返そうにも、プールが狭くてOP2枠を取ってもうまく運用できない。

赤側でラストピックをMIDに残すパターンもあるけど、
オリアナ・ニーコ・アジールが順当に消えるとMIDって
シンドラ・ジェイス・アーリ・アカリ・タリヤみたいな選択肢になる。
一応Xiaohuにはトリスもあるけども、2ndBANフェイズでMIDに2枚割かれる可能性もあるし、結局そこまで世界が変わるカウンターは取れない様に見える。

スイス以降のMIDチャンピオンピック数

あとは準決勝がリーグオブブルーサイドで勝ったってのもあるかな。

これらを総合的に見ていくと、
・サイドでは青側取ったほうが良さそう。プールで負けているので赤側のメリットがあまりない。
・TOPのエイトロクスは先出しされてもグレイブスやケネンでカウンター(言うほどカウンターか?)できなくもないけど、先に取ってしまったほうが丸い。
って判断かな?
個人的には2戦目にWBGがヨネをBANしてエイトロクス先出ししたのをグウェンで返された所で勝負有りって感じだ。
去年はKingenがエイトロクス先出しからヨネBAN。Zeusがグウェンで返したけど負けてるので、まさに忘れ物を取りに来たって感じだ。

●そもそもWBGはどういう強みのあるチームなのか
KP%とDMG%とGOLD%を見る。
どこに金を集め、どこで戦い、誰にダメージを出させるのかというのがわかる。

準決勝こそTheShyのランブルのキャリー力と隠し玉のグレイブスで勝ったが、基本的にはBOTにリソースを集めて戦うレイト志向のBOTキャリーチームに見える。
BOTのGOLD%24.5%はまあまあ高め。
best8以上のチームで見るとトップはAimingで26.7%、続いてRulerが25.1%、ELKとPeyzが同じ24.5%だ。
これだけならそうでもないかもしれないが、LightのKP%74%はかなり高い。
ADCでこの数値はあんまり見ない。つまり、常にLightの周りでジャングラーがアクションを起こし、基本的にはLightのいない集団戦はやりたくないということかな?
国内の試合見たこと無いからよくわかんないけども。
ちなみにAimingは79.2%だ。Aimingさん、突っ込みすぎです(笑)
ついでにいうとアフェリオス使用回数5回も最多で、Crispのミリオ3回も最多。というか他のチームはほとんどミリオ使ってない。どれだけレイト志向のチームかよくわかる。

BOTのDPM(ダメージ/分)ランキングでもLightは3位。キャリーの顔してる。
BOT偏重なので1stドラゴン獲得率もまあまあ高い。1stドラゴンを取ってレイトキャリーが育つ時間を作りたいということかな。
こっちも似たような指標 1stドラゴン獲得率
データ上はBOT偏重のはずなのにTheShyはレーンを勝っている。すごいなこの人。GD@15が2位。
平均タワープレート獲得数も1位。レーナーが強いチームだ。

チームの方針としては、ピック段階ではBOTにレイトキャリーを持たせ、TOPはTheShyの筋力で持たせる。Weiweiは少々自分のファームを捨ててでもレーンをカバーする。
1stドレイクを取りつつ時を稼ぎ、ADCのパワースパイクが来ればWeiwei・CrispのエンゲージやエンチャンターでLightを活かし切って勝つと。
若干遅めのチームなんだろうな。
Weiweiがこういうプレイスタイルだからこそ、解説のRevolはベルヴェスピックに驚いていたのだろう。

こうして勝ってきたチームがいきなりBOTプッシュ主導権メタに巻き込まれてしまった。なんてことだ。ひどすぎる。

●WBGが決勝までに戦ってきた相手
・スイス

NA→EU→KR→EU→EU

・ノックアウト

NA→CN

まああんまり強い相手と戦ってきてないので、決勝にはちょっと場違いな感じではある。
BLGにはラッキーパンチで勝ったとまでは言わないが、コイントスで勝ったってのもあるしね。

まあプレイイン枠にしか勝ってないDKさんほどじゃないけどな!

決勝までに
 BLG-T1 0-2
 LNG-T1 0-3
 JDG-T1 1-3
とLPL1~3位が薙ぎ倒されてしまったので、やはり0-3予想もやむなしといえる。


●おまけ 他のチームの性格
・T1

TOPが持つ金が異常に多いし、DMG%も多すぎる。28.9%は意味不明だ。
ちなみにLJLのTOPYutaponがランブルを多用してDMGが28.7%なので(戦ってるレベルはぜんぜん違うけど)、Zeusがどれだけ異次元の数値かがわかる。
歴代のTOPレーナーでもかなり強かった記憶のある2018WCS theshyでも26.6%、2015WCS Marinが24.4%と言うとこの異常性がわかるだろう。
一方Gumayushiは全然お金を持ってない。レーンが強いというGumayushiの良いところを活かして、任務をしっかり遂行させている。
Onerは全プレイヤー中1位のKP%。アクションの成功率を物語る。
KeriaのDMG%が10%超えてるのもやばい。タンクをほぼ使っていないというのもあるが、スキル精度が高いということ。

・JDG

369が全くGOLDを持っていない。それに伴ってDMG%も若干低めだ。
しかしTOPレーナーでKP%67.1%は圧倒的で1位で、なんとメインキャリーであるRulerより高い。集団戦で真価を発揮する選手で、WeakSide担当の鏡と言える。
その分KanaviがめちゃくちゃGOLDを持っていて、ダメージを出している。特にウーコンは代表的なポケットピックだった。
3人が70%オーバーで全員が60%代後半以上というのは他にチームにはない特徴で、いかに人数を集中させて戦っているかがわかる。
時にはKnightがMIDプッシュ主導権を取るためだけのピックをしたり、かなり戦略の幅が広いチーム。
MISSINGのラカンはパフォーマンスが凄まじく、T1戦では全gameBANされてしまった。

・GENG

ChovyはMidレーナーの中では1番GOLD%が高い。流石はレーンだけなら世界最強の男。不利なマッチアップでも勝ってしまう怪物。
しかしKP%61.1%も抜群に低い。もしかしてずっとファームしてるんですか!?
KDAもMidで2位。死なずにダメージを出す能力が高いんやろなあ。
PeyzとDelightのKP%に差があるということは、サポートのロームが多いということだろうか。
ジャーバン0回オリアナ0回のまま負けたのか……。

・BLG

BinのKP%とDMG%が異常に低い。
タイマンが強すぎてサイドプッシュしてタワーを叩いているということだろうか。まあジャックスだししょうがないか。
369とは対照的なKP%の数値になっている。
結局チームとしてBinのサイドプッシュが活かせていることは、ザヤの名手ELKが敵のエンゲージを捌くことができていることと密接にリンクしているように思う。
ブラウムを2回出しているのも特徴的。
こちらはGENGとは対照的に
ジャーバンorVi + オリアナ
というコンボピックを重視している。

・KT

なんでADCがKP1位なんですか?(困惑
Aimingの超攻撃的なポジショニングから繰り出される火力は圧巻のDMG%30%オーバー。見事にレイトキャリー以外一度もピックしていない。
ここもジャーバン0回でヴィエゴ4回はすごいな。うち3回はジャーバンに後出ししている。予めジャーバンにはヴィエゴと決めてあったのかもしれない。

●おわりに
長々と書き綴ったが、これらは所詮素人の浅い考えに過ぎない。データの見方を教わったわけでもないし、勘違いしてるところもたくさんあると思う。
実際、バンピックの良し悪しは選手のプールもチーム事情もスクリム結果も知り得ない外の人間がどうこう言えるもんじゃない。
ただ、痕跡から思考をなぞったり、朧げに輪郭が見えてくる事はあるかもしれない。

バンピックというのはチームごとでどのチャンピオンの評価が高いかという価値感や認識をぶつけ合っている。
プレイイン、スイスとバンピックのレベルこそ違えと、基本的には同じ方向を向いてチャンピオンのTierが整理されていく。
ところが今年は準々決勝第4試合、LNGvsT1のヴァルスで各々の練り上げられてきたTierリストがぶっ壊されてしまった。
エンゲージサポートに対する集団戦でのカウンターであるザヤ、エンゲージの強いラカンが高Tierだったのに、いきなりBOTプッシュ主導権メタに変わって2人とも行方不明になった。
そして決勝最終gameで帰って来るザヤラカン。芸術作品でも見てるのか私は?

MSIであんなに強かったJDGもWCSでは敗れた。
タンク職人369、世界一のADCRulerを擁してなお敗れた。
それはタンクをピックできなくなり、Weakサイド(リソースを割かれないサイド)を上手に運営する能力が重要なメタではなくなったこと。
そしてレイトゲームでビルドの整ったADCが集団戦で雌雄を決するメタをT1に終わらされてしまったからだ。

チームがゲーム内リソース、すなわちゴールドと経験値を注ぐ方向性はロースターが決まった瞬間に概ね決まる。
2023年の始めにJDGのロースターを見た時、いやRulerの移籍を知った時、誰もがBOTサイドにリソースを注いで戦うチームを目指したんだろうなと思っただろう。
全員がなんでもできるのが理想だが、世界大会の上位まで来ると極めて高いレベルで専門性をぶつけ合うことになるため、そんなチームは存在しえない。
練習をする時間リソースは有限であり、最も効果的と思われる方向へ投資されるべきだ。

JDGvsT1の4game目、JDGはNerfが激しくメタから外れてしまったゼリルルをピックした。

本来は赤4thピックヨネの返しで何をピックするべきなのだろう?

キャリー力のあるザヤカイサはBANされた。アッシュは準々決勝のヴァルスアッシュを見て、先に取られたくないので消したと見える。
TOPは対エイトロに実績のあるカウンターであるZeusのヨネを当てられた。
MIDもオリアナに対して実績があり、そこまで押し負けないFakerのヘイルブレードアジールが来るだろう。
あくまでBOTプッシュ主導権にこだわるならケイトリンラックス?
準決勝でケイトリンは先述の通りヴァルスアッシュに抑えこまれていたが……。

JDGはRulerと心中することを選んだように見える。
例え敗れるとしても、最後まで2023年MSIを席巻したJDGとして死にたかったのではないか?
インゲームでもKnightもクラウンからゾーニャで疑似フロントビルド。Rulerのダメージディールに全てを賭けた。
私は一貫性があって美しいピックだったと思う。

メタというのは移り変わる。
だから常に結果が残せるチームロースターや選手などありえない。
だからこそ、Fakerは偉大なのだ。

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