第8回統率者神決定戦の決勝が奥深いと思った理由

正直、一線を退いているので話半分に聞いて下さい。

普段EDHの対戦動画をほぼ見ないのだが、たまたま神決8回の決勝動画を見た。

https://www.youtube.com/live/xN796Wg7xkM?si=cFCDV-L2LLdpj6wE

推しのトラティムが決勝まで上がって嬉しい気持ちになるも、4番手+多重マリガンで開幕から瀕死で僕の心臓もキュッとする。

ゲームが大きく動いたのはティヴィットのチューター経由の《堂々たる撤廃者》に見える。

が、それよりも前に気になることがあった。

なぜティヴィットはトラティムを殴ったのか?
 
 
 

僕は神決には一度も出ていないし、competitiveの考え方はサッパリである。

だから自分からcEDHとか名乗ったことは無い。

競技素人なりに、それでもプレイ年数だけはあるので、このプレイングの意図がどうしても気になった。

もっと具体的には、ティムクラを殴った方が良いように見えた。

結果的にティムクラが勝ったからでは無く、途中から思っていた。

しかし同時に、上手く誘導されているとも思った。

理由を順に説明する。

まずティヴィットが攻撃できる時点で、マリガン死を《神秘的負荷》でトントンに持っていくも瞬間的な加速が無いトラティムよりも、マナも手札も伸びることが予想される展開をしているティムクラの方が脅威に思えた。

トラティムは手札が豊潤になっても《暗黒の儀式》《波止場の恐喝者》のようなマナ加速が無いから事故った時点でキルターンは相当先になる。

コンボの3-4マナ揃えば終わりでは無い。

サーチカード、青2人相手のカウンター合戦を考えれば、勝負に出るのは最低でも6-8マナ必要。

《クラム》《ティヴィット》の飛行は《セラの高位僧》がいなければ止めれないし、パーフォロスによる予測不能なライフ削りも考えると、正直《神秘的負荷》から《太陽の指輪》か《魔力の墓所》を引けなかった時点でトラティムの勝ち目無しだと思うんだよね。これは経験則。

勝てるターンまでライフが持たない。

ただ、絶妙なタイミングで《神秘的負荷》を落として《秘儀の印鑑》を置いてチャンスを残してる点は凄いと思った。

僕なら《神秘的負荷》を維持し続けて、チャンスを残したと勘違いして、わずかに勝てる確率を0%にしたかもしれない。

話を戻すと、最も脅威になるのは場が整ったティムクラであり、ティヴィット目線でライフを削って落とすなら、まずティムクラ狙いと自分は考えた。

しかしティヴィットの手札がもの凄く強ければトラティム狙いもあり得る。

0マナカウンターを大量に抱えて、タイマンのカウンター合戦なら勝てるけど、他の誰かから茶々が入ると厳しい場合、事故り気味のトラティムを落とす。

事故っているとアタックに対する妨害を受けにくいため。

マナが伸びていると護法コスト払って除去受けるかもしれないし、

ただ結果的にそれほどカウンターを持ってなかったようだし、カウンター合戦するマナも足りていない。

では、なぜティヴィットはトラティムへ攻撃してしまったのか。
 
 

ところで、EDHの定石に自分の上座を殴ってライフを追い詰めるプランがある。

自分の1つ前の手番の人を追い詰めて、無理やり仕掛けさせることで、他者からのカウンターを引っ張り出してコンボを止め、次に仕掛ける自分が勝てるため。

ティヴィットはそれを狙ったのかもしれないが、結果的には逆にティムクラに都合の良いように操られ、ティヴィットが仕掛けさせられたようにみえた。

《神秘的負荷》で引かせまくって、如何にもトラティムが脅威であると演出して。

つまり、この試合はEDHの定石を逆手にとってティムクラがとても良く立ち回っている。

①《神秘的負荷》に引かせてはいけない
②殴り先に迷ったら自分の前の手番の人

この2つの定石を上手く利用されている。

まず《神秘的負荷》に振り込むことで、トラティムの驚異度を意識させる。

トラティム引き過ぎてヤバそうだなあ、という気持ちがあると定石に則って尚更ティヴィットはトラティムを殴りたくなる。

僕だったら、多分、アタック誘導のために「手札何枚ですか?」って何回も聞いちゃう。

最初のティヴィットの攻撃がトラティムの時点で、僕がティムクラを握っていたらニチャニチャすると思う。

ティヴィットが卓の驚異度を誤認、もっと言えばティムクラの1-2ターン後の展開を過小評価している証拠になるから。

ティムクラは最初の方で手札すっからかんに見せかけて、コツコツ引いてマナも伸びてたが、先のことより今この瞬間に目に見える厚い手札のインパクトは大きい。

どうしても目先の脅威に釣られてしまう。

例えるならオセロ。

オセロは白と黒の陣取りで、数が多い方が勝つゲームだが、「最後に多い方が勝つ」ので「途中」は白と黒のどちらが多いかで優劣が決まらない。

しかしオセロに詳しくない人は、途中も含めて、常に多く取りたいと考えてしまう。

気持ちは分かる。

むしろ適当に多く取り過ぎると、自分にとって都合の悪い場所ばかり残されて、上手く誘導されて負ける。

オセロは最後に沢山枚数を取るために、あえて途中で“劣っているような”取り方をすることもある。

EDHも同じで、途中の手札で単純に優劣は付かない。

更にデッキごとの特性もある。

マナが伸びてないトラティムの手札が多くても勝てないのである。

けれども結局、目に付くもの、つまり沢山引いたという事実に矛先を向けたくなる。

また、《クラム》のインチキな点として、結果的に良い枚数を引いてるんだけど、チマチマ引いてるから気付かれにくいのもセコいよね。

冷静に引いた枚数をカウントし、今後の誘発回数を考えると、《神秘的負荷》よりよほど害悪だったりするが印象に残りにくい。

なぜか負けたって思ってしまう。

ティムクラを処すためには、《ティムナ》と《クラム》で引いた枚数を分かりやすく大きめのダイスでカウントしてあげるのが良いだろう。

《波止場の恐喝者》と《むかつき》のイラストも添えると皆が即死を意識してくれて良い感じ。
 

閑話休題。

あとは、この試合はパーフォロスが良い味を出している。

ティヴィットのタイムリミットはもっと先と思っていたように見える。

仕掛けざるを得なくなった理由としてライフが落ち込んでいたことが大事。

パーフォロスからクリーチャーをばら撒かれると一瞬でライフが無くなるし、変なクリーチャーを連打されると《白鳥の歌》などのカウンターでは即死を防げない。

焦るんだよね。ライフが削りきられそうになると。

相手がカウンターを何枚抱えているか、は考えながらプレイするけど、次のターンのパーフォロスから何点飛んでくるかは考えても無駄。

ムラが大きい上に立ち回りから何点分のストックがあるか予測不可能だし。

大体これくらいで死にそう、という感覚の話になる。

ライフは見誤っても仕方ないと思う。

逆にクリーチャーを打ち消したりパーフォロスを退けるカードを持っていると安心して待てるのだが。

もしもティヴィットが初撃からティムクラを殴ったり、自分よりもティムクラが脅威である演出をして、最後に守りに徹していたらどうなったかは気になる。

パーフォロスから即死級の何かが飛んできた時に、ライフがティヴィット>ティムクラだと、ティヴィットの強気のパスからティムクラの妨害を吐き出させることに成功するし、トラティムはどうあっても脱落。

ただクリーチャーを打ち消せるカードがあるかどうかは別問題で、防ぎきれなくてパフォ死も十分あり得るから怖いけど。

そういう意味では、卓がカオスになって深読みから頓死という、間接的にパーフォロスにもチャンスがある試合だった。

ティムクラの人は《堂々たる撤廃者》通してるから、クリーチャーを消せるものは持ってなかったわけだし、パーフォロスチャンスはティヴィットの動き方次第で結構あったと思うんだよね。

どうあっても苦しいトラティムのことを思うと、いたたまれない…

というわけで、個人的にはティムクラの立ち回りが絶妙で奥深いと思ったけど、retrospectiveな素人意見なので適当に聞き流しておいて下さい。

ではまた。

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