№770 待てるひと
販売員の友達が
「今、一番多いクレームは、待たされたということなの。時間を返してって言われてもねえ」
と話してくれました。
お金を返すことはできても時間を返すことはできません。
ボタンひとつで1時間後には欲しい商品が届く世の中なので、
待つことが苦手な人が多くなったと感じます。
何事もすぐに結論が出ることは当たり前で、
遅いとイライラします。
ただ待つだけの時間は、
ムダな時間とカウントされます。
長蛇の列に並ぶ人は、みんな、スマホを片手に情報収集をしたりして1秒もムダにしません。
会議中でも、自分に関係のない議題の間はスマホ使用OKの会社もあると聞きました。
ボクも病院での待ち時間は「あと、どれくらいかかるのか」を教えてほしいし、
「なぜ、こんなに時間がかかるのか」を知りたいと思ってしまいます。
少しでも時間を有効利用したい、
時間を浪費したくない気持ちが必要な場面は多々あります。
でも、この気持ちが強すぎると、
自分も相手も追いつめていくことがあるかもしれないなと思っています。
すぐに結論を出さず、待つことで開ける未来もあります。
すべてのものは、日々変化しているので、今日の気持ちが明日同じとは限りません。
ですから、今、取り組んでいることの結論を急がないことも大事です。
今日、上手くいかないことがあっても、明日にはまた変わるかもしれない。
だから、心の余白をつくって、一旦保留。
待ってみる。そして続けてみる。静かに、淡々と。
お笑い芸人として活躍していた西野亮廣さんが、「ひな壇には座らない、絵本作家になる」と決め、「調子に乗るな」とバッシングを受けた時、
タモリさんから、「おまえはそこにいろ。いつか時計の針が回ってくるから」と言われたそうです。
この言葉が支えになったと西野さんはあるインタビューで仰っていました。
今では時代の寵児として、
時計の針がぴったりと西野さんのところにあります。
悩んだ時や迷った時は、一旦、保留にしてグレーのままでいること。
白か黒ではなく、グレーのバリエーションもよしとする。
「これはこれで美しい」と思えるのも、経験値のある大人ならではの美意識ではないでしょうか?
他者の気持ちも、いつも白か黒のようにはっきりとしている訳でもなく、
時間をかけて、シルバーグレーのようにやや明るくなったり、チャコールグレーのように深くなったりするのを感じて楽しんでいく。
そんなグレーを楽しめる人が、幸福度は高いのかもしれません。
「これしか無理」
「これ以外は全てNG」という気持ちが強すぎると幸せは感じにくくなりませんか?
こんな世の中だからこそ、「ま、少し待ってみましょうよ」と言える心の余白は、相手も時間もその場の景色も包み込みます。
「急いては事を仕損じる」と言います。
焦って結論を出さなくても、時計の針が回ってくることを信じていれば、
いつか絶妙のタイミングで、自分に相応しい場所に着地してくれるのではないでしょうか?
「時はいつの日にも 親切な友達」とユーミンも歌いました。
時間に追われ、時間を追いかけるのではなく、
時間と友達になっていく。
歳を重ねるほど、そんな人生を送りたいと思いませんか。
悩んでいる時や焦っている時ほど、一旦保留。
「待てる」人のもとには、絶妙のタイミングで答えがやってくる!とボクは信じています。
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