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OKOWA TOKYO 6 ②

第一試合
後攻の松原タニシさん。
ものすごく練られた怖談に、純粋にやられた!と思いました。
まさに試合巧者でした。

OKOWA2020は会場票が決め手になっていると感じていました。
大阪闘争から勝ち上がり、JAPAN ROUNDでは会場票の差で壱夜さんに辛勝したタニシさんは、今回は会場票を狙ってきたんだと感じました。

タニシさんには珍しく大きな、圧のある真っ直ぐな発声に度肝を抜かれて、
配信でも確認できるマイクの残響は会場では隅々まで行き渡って、客席を飲み込んで行きました。
怖談の内容としては今や古典的とも言える内容でしたが、「天津神社のさっちゃん」というこれ以上ない説得力をもってのあの得点は納得です。
お見事でした。

タニシさんはあんな感じなのでついつい忘れがちですが、基礎を積んだベテランの芸人さんなんですよね。

芸人松原タニシのイメージを怖談士松原タニシが逆手に取って、最大限に引き出した姿だと思いました。

元々、勝って嬉しい!!というタイプの方ではないと思いますが、TOKYO6は特に達観しているというか、ゾーンに入ったというか、そんな風に見えました。
桜子ねえさんに勝ちたい!や、優勝するぞ!という気負いは感じられず、ただ用意してきたこの怖談を語るだけで、舞台上のご自身を俯瞰で見ているような印象を受けました。

怖談の中での状況説明の箇所は、余計な言葉が最大限削られているけどとても分かり易く、執筆活動の経験が存分に生かされていると思いました。

「さっちゃんが僕に言う」 

その時その場で起きている画と、本の一行毎を目で追っている想像がシンクロしました。
そして、捲し立てるような語りのスピードを邪魔しない語感が秀逸だと思います。

対戦相手が情景怪談の女王、劇場型の桜子ねえさんだからこそ、タニシさんの語りが対比としてより際立ったと思いました。

聞く側の神経を集中させるには、如何に息を詰まらせ、ため息をつかせるかだと思うので、まんまとやられてしまいました。

大阪闘争のワイルドカード枠で勝ち上がってからの快進撃は、大阪ファイナルでも止まることはないと思います。

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