黒単調整録 -環境終盤-

 先日開催された日本選手権、参加された方々はお疲れ様でした。
私も参加し、最終的にはマネーフィニッシュならずでしたがスタンダードは好調だったため、前回からどのような思想で、リストがどう変化したかを記事にしたいと思います。

1.ケシスに勝つには

 日本選手権でもワンツーフィニッシュを飾ったケシスコンボ。当然アリーナで練習している最中に何度もマッチングしました。
 メインボードではかなり相性が悪く、押し切る前にコンボが成立したり盤面を掌握されて負けてしまいます。サイド後にハンデスや《夢を引き裂く者、アショク》を織り交ぜて《騒乱の落とし子》《破滅を囁くもの》を絡めてようやく勝てるかどうかといったところです。

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 デッキ内の生物が全て非伝説のため、ひとたび《ウルザの殲滅破》を打たれるとクロックが全滅してしまいます。それを避けるために幾つか伝説のクリーチャーを検討しましたが、どうしても現時点採用している生物と比べると一歩劣ってしまいます。

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 最後まで検討したのは《呼び覚ます者イザレス》《永遠神バントゥ》。
それぞれ《真夜中の死神》《破滅を囁くもの》と差し替えを考えました。ところが前者は《ケイヤの誓い》で落とされてしまい、後者は他のマッチアップでそもそもあまり仕事をしないためお蔵入りに。当たり前ですが、威迫は飛行ほど信頼性のある回避能力ではありません。《呼び覚ます者イザレス》は消耗戦になった際にそこそこ強いですが、《真夜中の死神》も消耗戦に強いのは変わりなく、《ケイヤの誓い》等で除去されてもアド損しないのでこちらに軍配が上がりました。

 一方、ケシスコンボのマナベースが不安定という事を思い出し、改めてリストを調べました。4色のため基本土地は入っていないか、あっても沼1枚のみ。青が15~17枚で他は12枚前後。ということはここを攻めれば動きもかなり鈍るのではないかと考えました。

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 そう、《廃墟の地》の出番です。
元々無色土地の枠は5枚あり、中でも《総動員地区》は基本的に土地が5枚並ばないと起動できない上に有効なマッチアップも多くないため優先度は低く、《爆発域》も2枚目は不要だったためこの4枚枠を全て差し替えました。
 また《廃墟の地》はケシスだけでなく《死者の原野》デッキやネクサス相手にも有効ですし、エスパーPW/ヒーローも基本土地が少ないため状況によっては機能します。

2.悪魔王、再び垣間見える

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 最初の記事でも述べた通り、現スタンダードで一番好きなカードは《悪魔王ベルゼンロック》です。ドミナリアが発売された直後のBMOスタンダードではこれと《リッチの騎士、ジョス・ヴェス》をフィニッシャーに据えた黒単コントロールでマネーフィニッシュし、その後いくつかの大会でも好成績を残すことができました。
 しかし次のローテーションを迎えるともうスタンダードで使うことはできなくなります。日本選手権という大舞台、最後にもう一度このカードと共に大会に出たいという強い思いから、サイドボードのPW枠を押しのけて採用しました。
 情で採用しましたが、決してそれだけに留まりません。《ウルザの殲滅破》されないという利点も存在します。ケシスコンボとのマッチアップは相手がコンボを狙いつつコントロールとして立ち回り、基本的に長引くことになるため6マナまで到達することはそう珍しいことでもありません。また、4マナ以上のカードは既に11枚入っており、《悪魔王ベルゼンロック》をサイドインするマッチでは全て残すため2枚以上引ける可能性も十分あります。

3.最終的なリストと日本選手権の戦績

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 こちらが日本選手権で使用したリストになります。前回記事では《軍団の最期》がメイン4となっておりましたが、その後解禁された《暴れ回るフェロキドン》を手に入れた赤単や、3マナ以上の骨太な生物を擁する緑単系統、《発現する浅瀬》軸のランプ等のようなマッチアップも想定し、《喪心》を再びメイン4として《軍団の最期》はサイドへ落としました。
 日本選手権でのマッチングは以下に記載します。

初日
・バントアグロ(《鉄葉のチャンピオン》《蔦草牝馬》入り)〇
・白黒吸血鬼 〇
・エスパーコントロール ×
・グルールミッドレンジ 〇
・ケシスコンボ 〇

2日目
・赤単 〇
・白黒吸血鬼 〇

 負けたエスパーコントロール戦は1-1で迎えた3本目、相手がしっかり除去札を引いていたためクロックが定着せずPW着地で蓋されるという流れでした。その他のマッチアップでは《朽ちゆくレギサウルス》《騒乱の落とし子》《破滅を囁くもの》といった太いクロックを押し付けて勝つことが出来ました。
 また、想定していたケシスコンボとのマッチアップでは廃墟の地で色を枯らしてその間に押し切ることができ、調整が活きたと実感しました。
 ちなみに《悪魔王ベルゼンロック》はエスパーコントロール戦2本目でのみ出しましたが、《破滅を囁くもの》《ヴラスカの侮辱》《強迫》の3枚を引き込んで消耗戦の末に1ゲームだけ勝ち取ることができました。

 ドラフトはそこそこのデッキが組めていましたが、相手もボムレアを擁するデッキで負けた試合が幾つかあり、2日あわせて3-3と奮わず。これが響いてトータル9-4が最終成績でした。
 スタンダードが順調だっただけにドラフトでの負けが悔しく、また次にこのような大会では勝ちたいという思いが一層強くなりました。思いだけでなく私自身が強くならねばなりませんがね。

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 後日、同じリストでアリーナのランクマッチに挑戦していたところ、今月もミシックに到達。日本選手権ではあまり出せなかった《悪魔王ベルゼンロック》も活躍の機会が多く、自分の判断は間違っていなかったと感じております。
 ローテーションまで残された僅かな時間、このデッキと共に過ごします。


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