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過去に作成したレガシー黒単

 前回のグリセルストームの記事で初めてレガシーについて取り上げ、また私自身初めて有料設定とさせていただきましたが予想より多くの方にご購入いただきました。有難うございました。

 記事の内容でも触れておりますが、レガシーで作成したデッキはこれが初めてではありません。大会に持ち込んで安定した成績を残せるレベルのものはほんの一握りですが、他にも様々なデッキを作成しておりました。そこで、今回はそういったデッキ達について簡単にご紹介したいと思います。

1.デーモンストンピィ

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 グリセルストームを作成するまでの間、メインとなるデッキはこのデーモンストンピィでした。《金属モックス》《古えの墳墓》《裏切り者の都》によるマナ加速をバックアップに《虚空の杯》《三なる宝球》といった置物での妨害を絡めるという動きは「ドラゴンストンピィ」系譜に始まり、今なお「赤単プリズン」として現役ですね。それの黒版といったところです。妨害札から《深淵の迫害者》《冒涜の悪魔》といった4マナ6/6のデーモンで押し切る構成でした。

 これを作成するきっかけの一つが、とあるカードの登場でした。

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 《黒き誓約、オブ・ニクシリス》。今はデーモンとなったオブ・ニクシリスですが最初の姿です。このカードは統率者2014で登場し、統率者として指定できる初のPWサイクルの1枚でした。これをレガシーで使いたいと思ったのがきっかけです。

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4《マルドゥの急襲指揮者》
4《深淵の迫害者》
4《冒涜の悪魔》
4《虚空の杯》
4《金属モックス》
4《トーラックへの賛歌》
3《悪魔の布告》
3《夜の犠牲》
2《毒の濁流》
4《ヴェールのリリアナ》
2《黒き誓約、オブ・ニクシリス》

4《古えの墳墓》
4《裏切り者の都》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
12《沼》

 ベースはこのような形。最初期は《墓所のタイタン》等も入ったりしてもっと重い構成でしたが《裏切り者の都》が自壊してしまう都合上、あまり重いカードばかり入れても出せない事が多く5マナをマナカーブの頂点としました。《マルドゥの急襲指揮者》は疾駆で《精神を刻む者、ジェイス》を落とせますし、1ターン目3マナ捻出から着地させても悪くないです。

 マナ加速のお陰で3~5マナなら何でも検討出来ると思い、これ以降も様々なバリエーションを試しました。

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 翌年の統率者2015で登場した《ダクソスの苦悩》という、星座によって5/5飛行速攻のデーモンとなるエンチャントを軸にした形。《虚空の杯》に加えて《Chains of Mephistopheles》もあれば《饗宴の主》でドローさせても影響は少ない!《運命をほぐす者》がいれば追加ダメージ!等と訳の分からないカードが続々浮かんできます。ゾクゾクするほど弱そうですね。
 このために《Chains of Mephistopheles》買いました。しかも2枚。
ちなみにこれを大会に持ち込んで0-3しました。良い勉強代。

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 その後も性懲りも無く《イフニルの魔神》+《アンデッドの剣闘士》等の謎シナジーを織り込むことはありましたけどね!

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 等という戯言はさておき、普通の構築なら店舗大会でぼちぼち勝てる程度ではありました。デーモンの姿でPWとなった《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》、地上生物を1体までならビタ止まりさせる《蛇術師》、それと相性が良く、自身が除去されてもトークンを残せる《肉裂き魔》。《深淵の迫害者》を処理する手段にもなりますし、そこまで手応えは悪くありませんでした。

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 その後も有力な生物は登場します。構築で使用する分には一切デメリットの無い4マナ5/4飛行として運用できる《パリアノの大悪魔》、追加の3マナ域となる《アムムトの永遠衆》、《悪意の大梟》を処理でき、余りがちなマナを打点へ変換できる《歩行バリスタ》等々。《深淵の迫害者》はたまに処理手段が無くてズルズル引っ張ってしまうこともありましたが、《パリアノの大悪魔》ならその心配もありません。但し《グルマグのアンコウ》《タルモゴイフ》等と相打ちになってしまうため、どちらも入れ替えながら試していました。

 あれこれ調整を重ねてゆくにつれ、原点であったはずの《黒き誓約、オブ・ニクシリス》は途中から抜けてしまいました。また失敗作となってしまった《ダクソスの苦悩》軸の構築。しかしこれらは自分にあるテーマを課そうというきっかけになりました。そしてそれは別な形で昇華することとなります。

 それは、「毎年の統率者セットから1枚はレガシーで試してみる」というもの。2014年、2015年はそれぞれ上記で挙げた通りですね。では2016年は?

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 そう、《意志の大魔術師》です。デーモンストンピィでは上手く活用出来ないのと、タイムラグや生物であるため除去を受けてしまう事から最初はそもそも使うつもりすらありませんでした。ですがデーモンストンピィで行き詰まっていた時、藁にも縋る思いでこのカードを試そうと思い立ち、黒単グリセルストームが誕生しました。今回の記事ではこのデッキについては取り上げませんが、気になる方は前回の記事を是非ご覧いただければと思います。

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 2017年は一旦置いておき、2018年は《夜の具現》を試しました。同セットには《不和蒔き》というデーモンが収録されましたが、1対1で使用するとダメージが自分にも跳ね返ってきてしまいますので残念ながら断念。2019年は《悪意の魔神》をグリセルストームのサイドボードとして採用しました。マッドネスを持つため《ライオンの瞳のダイアモンド》から奇襲をかけられます。

 ちなみに最新版(といっても1年経っていますが)はこちらのリストです。エルドレインが出る前のものですので、生物の種類はもう一度見直しても良いかもしれませんね。

2.黒単吸血鬼

 先ほど統率者収録カードについてお話をしました。そこで2017年を飛ばしたのはデーモンストンピィで検討出来そうなものが無かったためです。ですが、とあるカードが気になったのでそれを軸にした別のデッキを作ることにしました。

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 そのカードは《血統の屍術士》。CIPで吸血鬼かウィザードをリアニメイトする能力を持っており、本体も3/2絆魂とまずまず。あらかじめ墓地に複数枚落としておくことで、連鎖してこれが並ぶことになります。黒単で組みたいと思っており、ウィザードより吸血鬼の方が粒ぞろいでしたのでそちらで作成しました。

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4《恐血鬼》
4《才気ある霊基体》
4《血統の守り手》
1《ゲトの裏切り者、カリタス》
4《血統の屍術士》
1《マラキールの血魔女》
4《思考囲い》
4《致命的な一押し》
4《トーラックへの賛歌》
4《生き埋め》
2《最後の望み、リリアナ》

4《古えの墳墓》
4《新緑の地下墓地》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
15《沼》

 《生き埋め》で《血統の屍術士》2枚と《血統の守り手》を埋め、《血統の屍術士》を出すことであっという間に4体の吸血鬼が並びます。次ターンには《系統の王》へ変身して詰めに行けますね。また、《恐血鬼》を3枚埋めて上陸し、《血統の守り手》を出しても同様に次ターンで変身が狙えます。数点のライフを詰める時は《マラキールの血魔女》を釣り上げてもOK。

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 《生き埋め》があるとこのような動きも出来ますが、そうでなくとも《血統の守り手》が生き残れば吸血鬼トークンを生成し続けて押し切ってしまえることもあります。また、採用していませんでしたがサクり台があると《血統の屍術士》2枚で互いにリアニメイトし続けられるため無限にサクり台の効果が使えます。《血の座の吸血鬼》で無限パワーなんてギミックも面白そうですね。

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 今は解体してしまいましたが、もし組み直すなら《漆黒軍の騎士》《傲慢な血王、ソリン》は是非採用したいところです。後者は特に《血統の屍術士》の5マナを踏み倒せる点で優秀です。《薄暮の勇者》も一考の余地があるかもしれません。

3.黒単ストーム

 グリセルストームには触れないと宣言していたのでは?と思うかもしれませんが、この項目で触れるのは《グリセルブランド》も《意志の大魔術師》も使わないストームです。そんなものが組めるのか?どうやってストームを稼ぐんだ?と思うかもしれません。

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 ヒントは「赤単ストーム」から着想を得ました。同じようなパーツはあるので、黒単でも似たような動きが出来るのではないかと。但しストームを稼ぐルートだけは別で考えねばなりません。

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3《虚無の呪文爆弾》
4《強迫》
4《暗黒の儀式》
4《陰謀団の儀式》
4《集団的蛮行》
4《黒玉の大メダル》
4《覚醒の兜》
4《夜の囁き》
4《骨読み》
2《不正利得》
2《苦悶の触手》
4《闇の誓願》
17《沼》

 一昔前は通常のストームでも使われていた《不正利得》、採用されることはあれど4枚も入る事はまず無い《闇の誓願》等々、一見するとどうストームの稼ぐかは分かりにくいかと思いますので手順をご説明します。

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 まず、《黒玉の大メダル》《覚醒の兜》を2枚並べることを目指します。その間にハンデスやドローソースを駆使することになります。そうして《暗黒の儀式》または《陰謀団の儀式》が最低1枚墓地にある状態から《闇の誓願》を唱えます。2マナ軽減されているので3マナで唱え、魔巧達成していると解決時に3マナ返ってきます。即ち、《闇の誓願》をサーチして唱えて3マナ出て・・・という手順を、《闇の誓願》が続く限り行うことが可能です。

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 最後の《闇の誓願》で《不正利得》をサーチ。そしてこれを2マナで唱え、《暗黒の儀式》または《陰謀団の儀式》+《闇の誓願》2枚を手札へ戻します。《不正利得》は相手も同様に墓地から3枚回収できてしまうため、《意志の力》等のカウンターが落ちているとコンボが途切れてしまう可能性が高いです。それらがある場合、事前に《虚無の呪文爆弾》で流しておくと安全です。

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 浮いている黒マナから《暗黒の儀式》or《陰謀団の儀式》を唱え、再び3マナから《闇の誓願》を2回唱えます。片方は《暗黒の儀式》or《陰謀団の儀式》、もう片方で《苦悶の触手》をサーチします。最初に《闇の誓願》から入ったとしても丁度ストーム9で計20点ドレインとなります。

 仮に《黒玉の大メダル》《覚醒の兜》が1枚しか無い状態でも、《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》の枚数によっては上記に近い動きが可能です。その場合、《闇の誓願》を打つ度に1マナずつ減ってゆくので、ストーム数によっては2回程度で打ち止めします。

 このデッキも何度か大会へ持ち込みましたが、目立った戦績をあげることは出来ませんでした。いつかまたアップデートして大会に臨む日が来るかもしれません。

4.デーモン親和

 それは2017年の3月末頃。エイプリルフールも近いし、何かしたいと考えておりました。そこで、普段自分が使わないようなデッキを大会に持ち込んだという形跡でも残せればネタになるかと思いました。そこで、何故かパーツをある程度持っていた親和を黒単仕様に出来ないかと考えました。

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 模索してゆく中、《電結の荒廃者》がいる時、《活性機構》と《魂のカーニバル》があれば面白い事が起こる!と思い付きました。
(1)《電結の荒廃者》でアーティファクトを生贄にし、+1/+1カウンターが乗る(または普通に出す)
(2)《活性機構》が誘発し、1マナ支払い霊気装置トークンを生成。
(3)《魂のカーニバル》が誘発し、1点ライフと引き換えに黒マナ生成。
(4)霊気装置トークンを生贄に、再度+1/+1カウンターを乗せる

 (1)~(4)をライフの続く限り繰り返すことが出来ます。既に何かしらの生物がいて、後から《電結の荒廃者》を引いたとしても上記手順を繰り返して最後に電結で+1/+1カウンターを攻撃可能な生物に移動させれば不意打ちすることも出来る!と思い立ち、早速デッキを作成しました。

・・・が、《魂のカーニバル》がコンボ以外だと弱い。《電結の荒廃者》で生贄にも出来ないので、2枚目以降を引くとただ無駄になってしまう。しかも相手の生物が出ても強制的に誘発するので、相手によってはライフがもちません。
 早くも企画倒れの予感がしましたが、そこでふと1体のデーモンが頭をよぎりました。

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 《艱苦の伝令》。霊気紛争登場時、スタンダードで様々な使用方法を考えていたカードでした。《活性機構》を軸にした構築を考えていたためある程度パーマネントが並ぶ・・・ということは即席でそれなりに早いターンで着地も狙えるのではないか。しかもこれを組み込むことで、まさに自分らしい構築にも仕上がる。これしかない!

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4《搭載歩行機械》
4《歩行バリスタ》
4《電結の荒廃者》
4《鋼の監視者》
4《屑鉄場のたかり屋》
4《艱苦の伝令》
4《陰謀団式療法》
4《オパールのモックス》
4《活性機構》
4《頭蓋囲い》

4《古えの墳墓》
4《ダークスティールの城塞》
4《囁きの大霊堂》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
6《沼》

  レガシーらしいカードが《陰謀団式療法》《古えの墳墓》しかありませんが、それらしい構築になりました。一人回しの手応えもまずまず。後から入れましたが、最初から《羽ばたき飛行機械》を入れるべきだったなぁと感じました。

 さて、迎えた4/1。晴れる屋レガシー17時の部に参加し、戦績はどうあれ楽しむつもりでした。

・・・が、まさかの3-0してしまい、リストが載ることに。(こちら

 しかもそれだけでなく、当時まつがん氏が手掛けていた「週刊デッキウォッチング」という記事でピックアップされることとなりました。これは毎週、晴れる屋のデッキ検索でリストアップされたデッキの中から興味深いものを取り上げて簡単にその解説をしたり意図を汲み取るような記事です。

 自分も取り上げて欲しいと思うことは度々ありましたが、まさかこんな形で実現するとは思っておらず、エイプリルフールネタを仕込むはずの本人が一番驚いた結果となりました。
 しかもその後、BMO等での大型大会でもこのデッキを持ち込んでいただく方が何名か見受けられました。お使い頂いた方々、実はこんな背景で何だか申し訳ありませんでしたが、見かけた時はもちろん嬉しかったです。

 これまでに作成してきたデッキ達の簡単なご紹介は以上になります。
コロナが落ち着いた頃にまた上記のデッキ達をブラッシュアップしたり、また新たなデッキを作成して大会に持ち込みたいと思います。
 イコリアや今年の統率者等、新セットのカードはこれからもレガシーで試してみたいと考えております。ちなみにテーロス還魂記で今一番可能性を感じているのは《悪夢の番人》だったりします。もしかしたら続編の記事を書く際にピックアップするかもしれません!

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