ヘイトスピーチとは

ヘイトスピーチについての定義はさまざまですが、国際的には人種、民族、国籍などを理由に、個人や集団に対し、侮辱、攻撃、脅迫、差別、憎悪、排除、暴力などを行ったり、それを扇動したりする表現行為だと言われています[1]

近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がヘイトスピーチであるとして、社会的関心を集めています。[2]

法務省によれば、具体的には以下のような表現がヘイトスピーチにあたります[2]
(1)特定の民族や国籍の人々を,合理的な理由なく,一律に排除・排斥することをあおり立てるもの
 (「○○人は出て行け」,「祖国へ帰れ」など)
(2)特定の民族や国籍に属する人々に対して危害を加えるとするもの
 (「○○人は殺せ」「○○人は海に投げ込め」など)
(3)特定の国や地域の出身である人を,著しく見下すような内容のもの
 (特定の国の出身者を,差別的な意味合いで昆虫や動物に例えるものなど)


ヘイトスピーチは私たちの生活、私たちの生きる社会にどのような影響をあたえるのでしょうか。

ヘイトスピーチの社会への影響を考える上で、「Pyramid of Hate(ヘイトのピラミッド)」という概念図が知られています[1]

社会全体に「偏見や先入観」が蔓延してくると「偏見や先入観に基づく行為」が増え、このような行為が頻繁に起きると「差別行為」「暴力行為」が発生しやすいという概念図です。

ヘイトスピーチは「偏見や先入観に基づく行為」に相当するでしょう。

したがって、ヘイトスピーチを放置しておくと、社会の中で「差別行為」や「暴力行為」が発生するリスクが上がると考えられます。

京都人権ナビ ヘイトスピーチと人権より


私は、この社会に生きる一人の人間として、ヘイトスピーチに反対します
その意志と行動は、医師としての私の理念と矛盾しません。

差別や憎悪の扇動に反対することは、命や健康や尊厳を守ることと同じ方向を向いていると思います。


現在、私たちはヘイトスピーチに反対するにあたって立脚することのできる多くの根拠を持っています。

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律
(ヘイトスピーチ解消法)
第3条
『国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。』

世界人権宣言
第1条
『すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。』
第2条1
『すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。』 

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約
(人種差別撤廃条約)
第4条a
『人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言する』

市民的及び政治的権利に関する国際規約
(国際人権B規約)
『差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する』

ジュネーブ宣言
患者に対して差別・偏見をしない。(患者の非差別)
『私は、年齢、疾患や障害、信条、民族的起源、性別、国籍、所属政治団体、人種、性的指向、社会的地位、その他いかなる他の要因の斟酌であっても、私の職務と私の患者との間に干渉することを許さない。』


引用

[1] 京都人権ナビ
[2] 法務省

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