映画を観た記録129 2024年7月19日    クロード・ベリ『ジェルミナル』

Amazon Prime Videoでクロード・ベリ『ジェルミナル』を観る。

物語の要約は、19世紀後半、元機械工の主人公エチエンヌが炭鉱町を訪れ、ジェラール・ドパルデュ―演じるマユに気に入られ、そして、一人、炭鉱労働者が死んでいたため、穴埋めのように働けるようになった。ある日、マユの息子が炭鉱事故で足を怪我したが、会社は補償をしない。また、不当な罰金も課せられ、普段から不満がたまっている労働者の怒りは頂点にきていた。ブルジョアの所有者や支配人は「カネがないのは酒の飲み過ぎだ。農民は節約している。」と不当な賃金の低さを棚にあげて、労働者の責任にする。ブルジョアの高慢ちきな娘は「会社が家賃まで払っている。」と恩着せがましい。まるで、現代の自己責任論のようではないか。

そして、酒場で1人いつもスープを食する男は、新聞で労働者が2万フランをくじで手にいれたので株主投資家になるという記事を読み、労働者は独り占めをする、とっ侮蔑したことを言う。投資話もまた現代の投資ブームを思わせる。現代の諸現象は既に19世紀フランスに出そろっているのだ。この物語は英国で国際労働者協会が結成された同時代の資本主義の過酷な現実を描いている。血も涙もない資本主義の野蛮さを描いている。

エチエンヌはストライキを決行し、ブルジョアは憲兵を送り込んできたので、ストライキ労働者は、憲兵に撃たれたものもいて、敗北した。首謀者のジェルミナルは、ストライキ終焉後、街を歩くだけで、逆に罵られてしまうようになってしまった。

ジェルミナルは、新たな炭鉱で働くことになるが…

原作はエミール・ゾラである。

クロード・ベリは世代的にヌーヴェルヴァーグです。

本作品は文芸大作ロマンの趣がありますが、中身は階級闘争を主軸に据えた恐るべき作品である。日本では決して生まれない作品であることは断言できる。

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