映画を観た記録116 2024年7月6日    ピーター・ウェバー『終戦のエンペラー』

Amazon Prime Videoでピーター・ウェバー『終戦のエンペラー』を観る。

本作品の必見は、トミー・リー・ジョーンズがマッカーサーを演じている。この作品の一番の見どころはそこである。だからといって内容が悪いのではない。戦後直後の荒廃した東京の風景、東京を焼け野原にした日本人の反米感情などが描かれており、日本人が常にイエスかノーではなく、はぐらかして答える日本人の描き方は納得できるものがある。その典型が、ボナー・フェラーラ准将が宮中で夏八木勲演じる関谷に会った時のその関谷の答えがまさにそうである。

ボナー・フェラーラ准将は、戦前、日本人女性と恋に落ち、その思い出と共に生きている。占領軍の一員として来日したボブは、恋人のアヤの行方を見つけたい。しかし、知ったのは、アヤは静岡での空襲で亡くなったということだ。

映画の核心は、天皇が戦争責任があるか、有罪か、無罪かであり、フェラーラ准将は、マッカーサーから命令された10日間で調査しなければならなかった。しかし、調査すればするほど、迷宮にはまるのであった。米国のワシントンと世論は昭和天皇裕仁の処刑を望んでいた。しかし、マッカーサーは、天皇裕仁を処刑すれば共産主義が入ることを恐れ、フェラーラ准将は日本再建が進まなくなることを恐れていた。

天皇の処遇がどのように決まっていたかが描かれる。

見ごたえのあるドラマである。

アヤの叔父である鹿島大将は西田敏行が演じている。

木戸孝一は伊武雅刀。近衛文麿は中村雅俊。

昭和天皇裕仁は片岡孝太郎が演じている。

本作を観て、思い出したのがスコセッシの『沈黙』である。『沈黙』もまた西洋人から見た日本人は謎という主題が強調されていた。『終戦のエンペラー』もそうである。

端的にボナー・フェラーラ准将は語っている。「日本は矛盾の国なのだ。」と。

日本は、欧米から見たら、永遠に謎であり続けるのだろう。

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