夏野菜カレー ── 分岐、やがて溶け合う『熱帯』 ── 水谷紗羽良の挑戦 ── 僕の『熱帯』
これは数年前の話であるが、大学二回生に進級した四月のこと、僕はサークルの新歓コンパに参加していた。
さらにそれより一年前の僕は大学生になりたてぴちぴちの新入生であり、なんとなく自分よりずっと大人びて見える先輩方に歓迎される立場であったが、一年の時を経て今度は新入生を歓迎する立場になってみると、彼らは鮮魚のようにぴちぴちとした活気を湛えており僕らよりずっと若く見えた。
その日の新歓コンパの会場は、大学の裏手、山麓の緩やかな斜面の途中にある寂れたカレー屋だった。店を貸し切