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@1「自然は脈動する」ヴィクトル・シャウベルガーの驚くべき洞察

[序章]

「私には自分の心がない。自分の考えすらない。ここまでいろいろやってきたが、私にはもはや何も残されていない。私には未来がないのだ」

これはオーストリアの自然主義者であるヴィクトル・シャウベルガーの言葉である。
彼は、エネルギーレベルで自然がどのように作用しているのかを私たちがまったく知らないがために地球環境の神聖性が奪われていることを示すために、一生を捧げたエコ・テクノロジー(自然と調和する技術)の先駆者だった。

彼は、"人類は、自然を意のままにしようとするのではなく、謙虚な心で自然を探求し、学ぶことから始めるべきである"という信条を持っていたが、これは世の中には受け入れられにくいものだった。
私たちがエネルギーを生産し、消費する方法は、人類の将来を危機に追いやってしまっている。
ヴィクトルがめざしたのは、非効率で汚染を生み出す中央主権的なエネルギー資源と動力源に頼らざるを得ない状態から人々を解放することであった。

ヴィクトルは悪夢のような厳しい追及に疲れ切り、テキサスから故郷へ戻る飛行機の中で息子のヴァルターに悩みを伝えていた。
自ら開発していた新エネルギー、浮揚力、燃料不要の飛行法が可能であることを実証する装置の秘密を引き出そうと詰問されていたのだ。
その5日後の1958年9月25日、彼はオーストリアのリンツで失意のうちに生涯を閉じる。
父子は、ヴィクトルの謎めいた研究の秘密を渡すよう彼を説得するために、おそらくCIAと原子力発電関係者がからんだアメリカの「コンソーシアム」(共同事業体)が立案した、野心的だが問題のある計画に携わっていた。
1944年に、ヴィクトルは命を脅かされながら、第三帝国のために「空飛ぶ円盤」計画を進めることを強いられていた。
この兵器の開発が二年早く開始されていたなら、戦況はドイツ軍優位になっていた可能性もある。

ヴィクトルは、オーストリアの未開のアルプスで森林監視員として働いたときに、流れの早い渓流の、水を詳しく観察して着想を得た。
持ち前の鋭い観察力によって独学で技術者となり、やがて、自然が使う内破(implosion、爆縮)的作用、つまり求心的動きを通じて従来の発電機の127倍ものエネルギーを引き出す方法をつかむ。 
1937年には、音速の約4倍、1290m/秒の推力を生じる内破エンジンを開発していた。
1941年、ドイツ軍大将エルンスト・ウーデットから、ドイツで悪化しつつある絵にエネルギー危機の解決に手を貸してくれるよう依頼を受ける。
だがウーデットが死亡し、その後の連合軍の爆撃によって工場が破壊されると、研究は中止される。
1943年にハインリヒ・ヒムラーが戦争捕虜からなるエンジニアチームとともに新たな秘密兵器システムを開発するよう命じると、ヴィクトルには従う他選択の余地はなかった。

ヨーロッパで戦争が終結する直前に決定的な実験が行われた。
1945年2月19日にプラハで空飛ぶ円盤が打ち上げられ、3分間で高度1500mまで上昇し、時速2200kmを達成したのである。
5月6日にはその改良型が打ち上げられる予定だったが、その日にアメリカ軍が上オーストリアのレオンシュタインの工場に到着する。
ドイツ軍の崩壊に直面した陸軍元師カイテルは、プロトタイプをすべて破壊するよう命じたという。

ヴィクトルはウィーンのアパートから比較的安全なレオンシュタインに移っていた。
そうするうちにロシア軍が東から侵略してきてウィーンを占領すると、ソヴィエトの特別調査チームはヴィクトルのアパートをくまなく探し、重要論文とモデルを持ち去り、アパートを爆破した。

連合軍は、ヴィクトルがこの秘密兵器の開発に関わっていたことを熟知していたようである。
戦争終結時に、米軍特殊部隊はレオンシュタインのヴィクトルの家にあった装置をすべて没収し、事情聴取のために彼を9ヶ月にわたって、「アメリカ保護拘置所」に収容する。
特殊部隊はできるだけ多くのドイツ人一流科学者を詳細にリストアップし、アメリカの産業と軍事研究を飛躍させるために多数の「敵国の」科学者を連れ帰っていたが、アメリカ側はヴィクトルの一風変わった科学を理解することができなかったらしく、彼を釈放している。
アメリカ人はヴィクトルに「原子力エネルギー」の研究をしないよう命じたが、そのおかげでヴィクトルは夢だった燃料のいらない動力の研究が自由にできるようになった

そのあと9年にわたってヴィクトルは自分の内破研究を続けることができなかったのだが、これは自らの財力ではきわめて進んだ装置に必要となる高品質の材料を購入することができず、スポンサーもいなかったためである。
さらに、ドイツのナチス親衛隊に強制されて戦争のための機械を設計したことに対する拭いがたい悔恨もあったのかもしれない。
彼は本質的に平和の人であり、何よりも人類が自由になるように役立ちたいと願っていたのだ。
そこで彼は地球をもっと肥沃化しようと、実験的に銅性の鋤(すき)刃を開発する。

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