【人魚の眠る家】レビュー

本日は映画『人魚の眠る家』を見ましたので、そのストーリーについて語っていきます。

登場人物 

(家族)父:和正(西島英俊) 母:薫子(篠原涼子) 長女:瑞穂 弟:生人

(その他)星野(障碍者サポート社の社員、和正の部下)

ストーリー

・導入部

和正と薫子は娘の私立小学校の面接試験予行演習を待っている、一方で薫子の母や妹たちはプールへ行っていた。娘の瑞穂はプールで事故に合ってしまい、脳死状態になり快復は見込めない状態になってしまう。両親は医者から瑞穂の臓器を提供するかどうかを尋ねられるが、臓器提供を拒否し介護することに決める。両親は娘が生きていることを確かめ合う。

まとめ導入部

1)プールを楽しむ瑞穂たち 2)脳死状態を告げられる和正と薫子

・介護編

IT系機器メーカーを経営している父和正(社長)は人工呼吸器を外し人工知能コントロールシステムを装着する手術を受けさせ、自宅介護が可能になった。社員の星野の協力を得て、瑞穂の筋肉に電気信号を流し手足が動かせるように筋肉を維持していく。薫子や星野の熱心な介護のおかげで、瑞穂の体調は寝たきりながらも成長していく。その中で薫子と星野は互いに惹かれいく。薫子は瑞穂を車イスに乗せて外を出歩くようになる。しかし、周りの人たちは脳死している瑞穂が動くことを気持ち悪がる様子を見せていく。薫子の介護はエスカレートし、電気信号で瑞穂の表情まで作り上げてしまうほどの狂気の沙汰を露呈していく。一方で和正は臓器提供の募金活動を路上で見かける。

電気信号で表情

1)瑞穂が入院している様子 2)自宅介護をする周囲 3)電気信号で星野が脳死した瑞穂の足を動かす 4)電気信号で表情まで作り上げてしまう

・薫子狂乱編

薫子は瑞穂の介護をして外へ連れ出したが、周りには死んでいる娘を連れだしているように見えていた。薫子と世間のギャップを察知した和正は「瑞穂が生きていることは俺たちだけが分かっていればいい。瑞穂を外へ連れ出すのはやめろ」と言うが、「娘と出かけることの何が悪い!」と頑として受け入れない。そんなある日大きな事件が起きる。一家は弟の生人のお誕生日会を友達を招いて開催するが、生人が母親の行動のせいで嫌悪の目を学校で向けられていることを知る。生人は学校で「姉は死んでいる」と言うことでイジメを回避していたが、その様子を見て薫子はブチ切れる。和正は「子供には脳死と実際の死は区別できない」と言ってなだめるが、薫子は全く納得せずに狂乱の果てに瑞穂を包丁で刺そうとする。説得と乱闘の末に生人は号泣し、その姿を見て薫子は正気に戻る。

和正と薫子は冷静に話し合い、人のためになることが瑞穂の願いであると考えるようになり、延命措置を中止し臓器提供へと同意する。2人は瑞穂の命日を母親に別れを告げた日=プール事故の日とした。葬式の場にて和正は「脳死が人の死であるかどうかは私には分からないが、死を実感するのは心臓が止まった時だと思う」と言うが、「和正さんの中では瑞穂ちゃんは世界のどこかで生きているんですね」との医者の返答で締めくくられる。

まとめ狂乱編

1)弟の入学式へ瑞穂を連れていく薫子 2)弟の生人に対してブチ切れる薫子 3)瑞穂に包丁を向ける薫子 4)泣く生人 5)病院にて臓器提供を申し出る和正と薫子 6)瑞穂の葬式


感想

事故で脳死してしまった娘を中心に繰り広げられる周囲の変化を描いた作品として面白かった。電気信号を使い娘の身体を保とうと提案したのは和正であるが、その状態が異常であることを徐々に気づいてしまう。夫婦間ですれ違い、世間ともズレが生じてくる。ついには薫子は脳死した娘を包丁で刺すことで、法が自分を「殺人罪」として自分を裁いてくれることで娘が生きていることを証明する、という狂気に取り付かれる。目的と手段がわけわからんなくなった状態をよく表しているなぁと思った。もし脳死=死と扱われるなら、死体損壊の罪になるんかな?。最後は和正の説得の甲斐もあり、臓器提供というゴールに向かったのはよかったなぁ。日本では脳死した人をどうするかは生前の意思表示があればそれに従うが、ない場合は家族が決めることになる。つまり脳死=生or死とするかどうかは家族が決める。重いなぁ、そんな立場になりたくない。脳死の医学的な基準も確実に決まっておらず、各国によっても異なる。世界的には脳死した患者を長期的に生かしておくことには否定的な面が強いらしいです。

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