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丸刃の寸法ぜんぶ同じだと思って研ぎ方を説明するのは間違い

ニッピの漉き機に付いてきた丸刃の厚さを計ったら1.5ミリ、FortunaやTA KINGのより薄かった。

ニッピやってくれるな…ちがう、刻印をよく確認したらNISHIYAMAと読める…

西山の丸刃

業界スタンダードのFortunaの丸刃を研ぎ幅5ミリで研いだときの角度は19.8度、同じ角度で研いだときの研ぎ幅は西山で4.17ミリ、TA KINGで6.11ミリです。

こちらの比較のほうがわかるかも。研ぎ幅を同じにしたときの切っ先角度

同じ5ミリの研ぎ幅にしたときの切っ先角度が16.7度、19.8度、23.75度

手切りする革包丁の切っ先角度は15-20度にするそうです。あちらは刃物鋼、丸刃は低炭素鋼、材質が違うけどね。

日常的に漉き機に接している場合、研ぎ幅研ぎ角など計測しなくてもいいあんばいを目指して削れるようにも思います、丸刃ごとの厚さの違い関係なしに角度の良し悪しが目でわかる。研ぎ幅なんぞ目安にせずとも切れが悪けりゃ鋭角に調整するし、刃がすぐかけるなら鈍角に。中国製丸刃の刃厚2.3ミリで、SNS見て仕入れた情報「研ぎ幅4-5ミリ」だと刃の角度25度くらい、スキーゲレンデなら上から見下ろすと初心者でも一目瞭然オレには無理とわかる角度、みるからに急。
ちなみにSNSで漉き機解説動画をあげてくれているミシン屋さん「ぼくの推奨の刃幅」3.8ミリに中華丸刃2.3ミリ厚(TA KING)を研いだときの刃先角は斜面の長さを計った場合は37.3度、刃の内外面への投影距離で測ったとき31.2度です。図で見てもそりゃ切れんやろ、とわかる鈍角、目の前にこう研いだ刃があれば、みてわからないわけがない、と思うんですけどね。厚めの中国の刃しか触ったことがなければわからないのかも。

「ぼくの推奨の刃幅3.8ミリ」は中華丸刃にはふてほど
鈍角刃でもしなんとか漉けたとしても革表が押えでカクっと折れてる箇所が漉いていくのと同時に進むのでヘロヘロになりますね

研いでも革が丸刃に当たったとこからなかなか進まない誰かヘルプ、と調整費を払って呼んでもその方は丸刃の厚みを計るでしょうか?そもそも丸刃の厚みがいろいろなのを知ってるでしょうか。ひととおりレクチャーしつつ研いで調整したがスルスル漉けるようにはならずもやもやのまま終わるってことに。漉き機との付き合いが長い方ですと、逆に中華丸刃の経験がほとんどなかったりするのはありがち。

初めてのケータイがスマホというデジタルネイティブの方なら、かんたんな研ぎ角確認のため傾斜計アプリを使うと思う…いや還暦超えのわたしでもそうする。基準は丸刃の側面。研ぎ幅部は小さいし、直線でなく砥石のRに合った削れかたをしていますので、おおまかにしかわかりません。5ミリくらいの研ぎ幅で15度や25度とかだと丸刃が一般のものより薄いか厚いかなので自分なりの基準で研ぎ幅を決めなおす必要ありです。

かっこいいのは要りません。かっこいい悪いがあるかどうかすら疑問

まとめ

刃の厚さがいろいろなので、研ぎ幅を一定にしても刃先角度が違ってきます。現時点では「メーカーごとに厚さが違う」と思っていますが、もしかしたら同一メーカーでも新品を取り寄せるたびに厚さがまちまちでも不思議ではないです。
もし丸刃がどれも同じ厚さであるなら研ぎ幅で刃の切っ先角が決まるので、研ぎ幅だけで語るのでいいのだけど、SNSの向こう側でそんなふうに情報発信している方々を鵜呑み信用崇拝するか、批判的な目線で評価できるかはユーザーや動画視聴者それぞれの責任。発信者側は「違うやろ?」と突っ込まれると反論の余地がなく信用を失うような内容を発信してもなんの得もしないわけで、考えが浅いまま動画を製作してるだけ、騙そうという悪意はないはずですから。

研ぎ幅より研ぎ角は計測しづらいですけど、スマホアプリを使うと良いかと。

西山の1.5ミリ厚はノギスを当てたりせずとも防振排出板のへりが内径に密着せず、ちょうどよい位置にセットしても使ってるうちにだんだん出てきやすいことから、寸法が違うことに気づく人も居ると思います。ってことは内径が他と違う禁断の丸刃じゃないですか!内径は全て同じで厚さが違うと外径が違ってくるという先入観でわたしはこの記事を書いてたわけで。
押さえや送りのRは丸刃の内径をもとに寸法を決めているから、内径が他と違う西山の丸刃、よくない。会社は存続しておらず誰も傷つかないのではっきり書いておこう。