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デカミシンの減速トルクアップと針停止

こんな厚さのものを縫うんですが、

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0番糸改造手回しミシンとか売ってますが、厚いのは縫えないのです、針のストロークが無い。エンジンのクランクシャフトと同じです。このミシンだとストロークが30ミリくらいあるんだったっけ。普通の速さで縫うと針が上下動する速度が、5番糸くらいをメインに使う工業ミシンの2倍くらいになるのでそれなりに怖いです。

で、サーボモーター。ずっと言っていますが、中華サーボモーターはアパレル工業ミシン用で、ゆっくり縫えません。減速プーリーをかますと針位置検出器がエラーで機能しなくなります。試してみたら1/3ならセーフ1/4はアウトでした。

しばらくは中華サーボ、針位置検出無しで使っていました。あの手のサーボモーターはダメです買うな、くらい思っています。

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その後中華サーボ2機は革漉き機のツインモーターにつけて、革漉き機の台湾サーボHo HsingをデカミシンにつけてHo Hsing針位置検出器のハックをやって完成、と思っていたらサーボ設定が変更できなくなりました。

このころには信頼と設定自由度の三菱リミサーボが大好きになってたので、中古を一つ調達してつけることにしました。工業ミシン関連調達はヤフオクが充実しています。設定ボタンが反応しないということなので、

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スイッチにテスタ当ててバラシて修理。CTEK充電器故障でググれ。同じスイッチが使われています。

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中華サーボの針位置検出器はコストのかかっていないマグネット式ですが、デカミシンのハンドホイールにうまいことはまるので、中身撤去してフォトインタラプタ式にしました。

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これでゆっくり縫えないこともないのですが、トルクがちょっと足りないんで中華や台湾で使っていたプーリーを改造しかまし、モーターのプーリーは減速しすぎるとめいっぱい踏んだときに遅すぎるためφ100くらいの大きめに戻し、一段めで1/2くらいに減速しました。2段目はミシンプーリーが大きいのでトータルは1/6くらい、最大600spmくらい、ミシン取説でもそのくらいにしとき、という速さにおちつきました。減速比6倍あたりになると針上下位置を検出器の透明フィルムの位置調整だけではうまく停止せず、サーボ制御箱が「いやいやいや、もう半回転してるはずなのに針位置検出器の信号が来ない、エラー出したれ」となります。防止するためにはサーボ設定の減速比を入力する必要がありました。

  • 機能番号0110 モードA デジタルMR. モータ軸側直径設定

  • 機能番号0111 モードA デジタルSR. ミシン軸側直径設定

20-349ミリの値しか入りませんし、2段プーリーで減速している場合は直接入力ができませんので、モーター軸を20ミリなら、ミシン軸を120ミリにすれば1/6という計算です。ほぼ値で大丈夫。

台の下に減速プーリーがあるままだと制御箱が下すぎてペダルロッドの角度などが難しい。

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このデカミシンは通常の工業ミシンと違い後ろ側にチルトしないので、テーブル上に減速プーリーをつけるのでなんも問題ありません。

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色塗って完成。ベルトカバーは要るような。

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針位置停止も使えるようになって…いやこれが怖い。下位置で停止したあと、かかと蹴りで針上げをするとき、トン、と踏んで離すとにゅうーって動くんだけど、もし止まらなかったらもうペダルでは制御できんからどうしようと不安になります。

なので針側に緊急停止スイッチを付けようと思います。電源スイッチは遠くてとっさに触れないから。→数年後、休眠状態からちょっと使えるようにすたらさほど怖くない&止まらないことはまずないというわけで、

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雑だけどケースも作りました。緊急停止ボタン用と思って大きな照光スイッチを選んだのですが結局、半針縫いスイッチにしました。スイッチで操作しなくても針上げ半針はペダルかかと踏みでできますが、針下げ半針しようとしてペダル踏んでもひと針進んでしまうことがときどきあるのでめっちゃ慎重になって貴重な時間をロスしてました。

最後に

中華サーボはやめとけ。

三菱リミサーボは新品10万円だけど、価格差が納得できる雲泥の差。XC-Gは12年以上経ってます。三菱からいつ新型XC-Hが出てもおかしくない。終わったジャンルと思われてるのかもしれないですね、三菱はパターン縫製する自動機ではもうリミサーボで動かしてないし、ミシンもダイレクトドライブに移行してるし。

台湾Ho Hsingはデュルコップ・アドラーに買収されて、高級工業ミシンの制御を担当しています。三菱が下りると汎用で使えるモーターが中華だけにな…小手先でモーターのワット上げてるんじゃなくて、制御盤、ペダルボックス、検出器やらの根本的改良に着手すればいいのに。

追記2021年、名菱テクニカ扱いのサーボモーターや工業ミシンから三菱の名前が外れMTCOエンブレムに代わりました。のれん代が無くなり仕入れ値が安くなっているとかで、ミシン屋経由で三菱リミサーボ買おうとしてるときはボラれないようにね。MTCOに名前が変わったリミサーボのほうが安いはず。
明菱テクニカとJUKIの合弁会社が設立され、MTCOロゴがJUKIステッカーに変更になりました。MTCOブランドのミシンは一年ほどしか世に出なかったことになります。中島製作所Yakumoからの流れのJUKI松江生産の工業ミシンはこれまで通りで合弁会社に移管されておらず、シーケンサで縫う電子パターンミシンを主とする厚物自動車内装方面を欧州展開するのにJUKI松江のミシンでは弱く、MTCOミシンは海外サービス拠点が貧弱で相互に補う目的でこういうことになったらしいです。リミサーボはXC-Gが最後で次は無いかもですね。

追記2024年、中華サーボでも1000w、1500wならば減速段プーリー無し、普通にベルトを掛けて十分なトルクがあると思います。そしてプーリー比1:4より大きくならないあたりなら上↔下針位置停止位置の設定もなんとかできるのでは?実際には使ったことないけど。
中華は針位置検出器にコストがかかってなく、センサが一つだけ、上下位置の片方はもうひとつとの相対角度で割り出す考えです。三菱のはクラッチモーターを精密に停止させるリミストップから針位置検出器から歴史が始まってるので、検出器で3つのパルスを検出する仕様→、サーボモーターになると2パルス検出に簡略化、上↔下針位置停止を2つのセンサーと2枚のスリットディスクで調整可能という変遷でXC-Gまで進化してます。
リミサーボであれば追加スイッチで半針縫いができ、ペダルをチョンふみする必要がなくなり、足が楽です。
ものすごくゆっくり縫うミシンなので針位置停止がなくてもだいたいの位置なら足で止めることができますけど、縫い終わってワークを取り出したあと引っ張る際、ボビンが立ち気味だと下糸を引っ張り出す抵抗が大きく、針位置停止で毎度ピタッとボビン糸が出てきやすい位置で止めれるかどうかの違いはだんだん効いてきます。