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デカミシン(441クローン)

中島製作所→JUKIのTSC441は極厚布ミシンです。用途は小学校にある体操マットとか、剣道の防具とか。日本ではそのほか、ランドセル縫製の最後の大マチと呼ぶ背板の周りを縫うのによく使われます。

一方アメリカには馬の鞍、銃器ホルスター、消防警察等の無線ホルスター等が極厚革製品というかなり大きなジャンルとして存在しており、小回りできる極厚革用ミシンってのがあります。ベースとなったのがTSC441とadler205釜やボビンがほぼ同じもので、性能も似たり寄ったり。

押さえが小さくまとまっていて、これはアメリカ起源でして、日本でジューキ441を買っても、こちらでは革ミシンだという概念がなく押さえが買えません。

右上のがJUKIミシンを買うとついてくる押えセットのクローン。他はアメリカ革押え。

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ただし、そういう特化したゴツいミシン、乗馬しないし、銃も携帯するわけでないしとくに縫うものがないんです。で、ちょっと試し縫いするか。

丸い革をスキャンカットで6枚切り出しました。革包丁や替刃ナイフで切るとよほどの達人でないとピタッと同じ寸法にはならないと思う。銀面をマットに貼るのがポイントです。動画ではさらに周りをマスキングテープで留めています。

20ミリちょっとの厚さまで縫えます。

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まあコースターにするわけなくて、

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革漉き機の送りニーレバーパッドにしました。ツインモーターで、右足1本でペダルと同時に操作できます(DATオリジナル発案)。

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この後試してみましたが、普通の革用ミシンで縫うようなウォレットとかの軟弱な身の回り装飾品は全然縫えません。BASEショップ出品のサンドバッグもこのミシンの出番ではなくて、別の常識的なサイズの総合送りミシンで縫っています。
【2023年1月追記】針19番、糸20番くらいが使える下送りと針板のセットを本業がNC切削業のアメリカ人が売り始めるそうです。すごいこと考えるもんだ。縫うのは自分と同じくらいうまくはない笑。ちょっと欲しいけど19番は針が手に入らないので23番針以下サイズのにしておこうかな。サムネでわかると思いますが、針板スロットの幅が441の半分もないくらいです。ヘリを縫ってるとき広いスロットにヘリが落ちて針が斜めに入りがちなのを防止できます。こんなぺらぺらの革が441で縫えるのはすごいです。
けど糸でミシンを使い分けたほうが糸交換、糸調子合せしなくて済むからはかどりますよ。ディスクグラインダー数機に各種砥石をつけて用意しておくとはかどるのと似てます。
23番針のセットを試してロングフラットベッド総合送りを一機手放そうかな。ロングと同じくらいフトコロ深さがあるし、高さは441のほうがもっと余裕あるから。

【2024年3月追記】19番までの細い丸針を調達し、下送りフィードドッグ、針板を上動画の人から購入しようとしたら決済できず、手持ちパーツを加工で幅狭化。中送りの針孔は大きすぎて細い針のしなり防止ガイドにならないからこれも加工製作して試したら使えるどころでなくとても楽に縫えます。これまで使っていた水平釜総合送り平ミシンは退役、というくらい使いやすいです(速度は出せません)。このミシンは糸締まりが良く刺入力も強いので丸針を使っても「ミ」並びステッチになりやすい。それでも細糸は苦手なので下糸張り調整が20番糸だともうスルスル抜けてくるかと。ボビンケースの下糸調子バネパーツがバネ素材でなくステンレスなのでネジを締めすぎると永久変形しやすく曲げて再調整する必要は生じるかも。

まとめ

441革ミシンはアメリカで極厚革を縫うために発展したもので、革押さえ等が日本にはありません。

スキャンカットDXは革がカットできます。

441ミシンは厚物専用、ウォレットなんぞは縫えません。厚手帆布のトートバッグくらいなら縫えそうですが、空っぽでもずっしりしたトートなんてダメやろ?って思います。(パーツ追加すれば薄くて柔らかい革ならぜんぜんイケます、上の追記参照 帆布はわかりません)

マガジンは"レザーワークツール"としました。革を縫ったりしてますがいわゆるレザークラフトからは遠いことしかやっていないので。