見出し画像

なぜ日本は世界最低の電灯電圧100Vなのか

東電の前身が電気を普及させる最初に電球はレンタル、つまり会社の財産、切れたときは無償で交換する電球貸付で始めたらしい。ある意味押し売りですな。ドコモも一番最初の一年かそこらは機種コストが高すぎるため保証金を20万円くらい預けて借りることでしか使えなかったのと似てるのかな。
会社がコストを負担する電球のフィラメントを長く保たせたいということで最初は米国にならい105V/60Hzだったのを100Vまで電圧を下げたんだそう。ケチすぎる。その電圧下げたぶん、光が暗くなるでしょうに。
それが定着し100Vに落ち着いた、中性線ありの3線で供給するので中性線以外の2相間の電圧はその2倍の200Vに決まる。

タイトル画像はアップトランス。日本の100Vコンセントに挿して海外並みの電圧に上げるやつです。ほとんどの外国の電圧は中性線レスで200V以上なんですけど、米大陸以外に台湾スペインが200V超に加えて110-128Vが供給されている。
アメリカ向けに作られた製品のおこぼれを日本で頂戴する必要が生じることがあります。具体的には安いスポット溶接機です。日本で作ってないので作ってるとこも日本に輸入し売ってるとこどちらも責任をもっていない。
溶接不能、使いものにならず放っておいたこれにアップトランスをかましたら説明書通りうまくいくようになりました。電灯電圧が違うよその国向けの製品を輸入し、その説明書を翻訳しただけなんだろうなと。

溶接できないし電極棒が過熱するんですよ棒の先端同士でなく、根本が電気抵抗になってる

電圧が合ってないし機械の組み方もよくない。数千A流す電極の固定ボルトワッシャーが斜め。密着しないと電流が…

磨いたら溶接がマシになったけど、アップトランスが一番効いた

まとめ


日本は島国で電灯電圧については真正ガラパゴス。たぶん電力会社のせい。国内メーカー自前の100V/200V製品が世界の潮流と比較すると時代遅れかつ高価、バリエーションもしょぼい今となってはかなり大きな障壁になってる。
そうした中国生産の110-128V仕様地向け製品が日本の低電圧では十分な性能を発揮できないことをわかってるくせに自社ラベルを貼って売ってる会社が製造業ぶってるのも…
中国における消費者向け製品がノーブランド生産してるから世界中どこでも輸入し自社製品として売るファブレスな商売してるけど、中国の工場では「え?普通220Vだろそんなしょぼい国あるのか…オレらは使わんけど」という気持ちで110-128V仕様の機械を作ってる。OEM販売を始める際には電圧の確認をするはずですが「日本は100V?知らんがな…他の110-128V仕様国向け製品でよろ」となり、モーターや発熱機器ならちょっと性能落ちで済むけれど、スポット溶接機とプラズマの中には最低110V必要で、100Vだと使えない機械が混ざってる印象、日本のそのテの会社は甘い。以前ならばまだ元気な日本メーカー製のガラパゴス機を買えばよかったが、このテの日本製品は海外市場でシェアを持ってないから売上国内産業が衰退するのに比例して衰退、最近のテクノロジーを使った製品開発もサボりがち、急速に中国生産のブランドに入れ替わってきてるんです。

さいごに

1の位も10の位もゼロの100V、200Vちょうどは気持ちいい、という乱雑さを嫌う国民性も働いた結果かもしれんね。