Optimistic Rollupとは?イーサリアムを進化させる?
Rollupは、ブロックチェーン上で発生するトランザクションの処理を効率化するために開発された技術です。
Optimistic rollup(オプティミスティックロールアップ)は、前回ご紹介したzkRollupと並んで、Ethereum(イーサリアム)のレイヤー2スケーリングソリューションの1つとして注目を集めています。
そもそもOptimistic rollupって何?
Rollupとは、クルクルとひとまとめにして取引データを処理する技術、そんなイメージを持っておいて下さい。
Optimistic Rollupは、Optimismという言葉からも連想されるように、楽観的に取引データの処理が行われます。
レイヤー2で処理されたデータは、「有効なデータ」として、一旦レイヤー1に書き込まれます。この点が、楽観的と評される所以になっています。一旦書き込まれたデータは、不正が見つからない限り、そのまま保存されます。
しかし書き込まれるデータには不正な取引が含まれている可能性があります。不正な取引が含まれているデータが発覚した場合、Optimistic Rollupにおいては「チャレンジ期間」と呼ばれる期間が設けられています。この期間中に他の参加者が不正な取引を指摘し、証拠を提出することができます。
チャレンジ期間中に不正な取引が指摘されると、その不正が検証されます。検証の結果、不正が確認された場合は、その取引は無効になります。また、不正を行った者や不正な取引を提出した者にはペナルティが科せられることがあります。
Ethereumのスケーラビリティ問題が解決!?
そもそもOptimistic rollupは、Ethereumのスケーラビリティの問題を解決するために開発されました。
Ethereumは、スマートコントラクトの実行に基づく分散アプリケーションのプラットフォームとして、世界中の多くの開発者や企業によって利用されていますが、現行バージョンでは、ブロック生成の遅延やトランザクションの処理速度の遅さにより、大量のトランザクションを処理することができず問題視されています。
Optimistic rollupは、オンチェーンのコンセンサス(承認)を必要とせず、セキュリティを保証するためにオフチェーンのコンセンサスを使用しています。これにより、トランザクションの処理速度を向上させ、手数料を削減し、ユーザー体験を改善します。
Optimistic rollupとzkRollupの違いは?
Optimistic RollupとzkRollupは、どちらもEthereum上でスケーラビリティを実現するためのロールアップ技術ですが、それぞれ異なるアプローチを取っています。
Optimistic Rollupは、オフチェーンでトランザクションを集約し、オンチェーンにはその集約結果(ステートルート)のみを記録することで、スケーラビリティを向上させます。この手法では、トランザクションの正しさは最初は仮定され(optimistic)、後で不正が検出された場合には、誰でもチャレンジして証明することができます。このチャレンジ期間が過ぎると、トランザクションが確定されます。
一方、zkRollupは、オフチェーンで検証されたトランザクションをゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)を用いてオンチェーンに移すことで、スケーラビリティを実現します。ゼロ知識証明により、オンチェーンではトランザクションが正しく実行されたことが証明され、ブロックチェーンの容量や処理速度に対する負担を軽減できます。この方法では、最初からトランザクションの正しさが保証されており、チャレンジ期間が不要です。
詳しくは前回のブログ記事で↓
まとめると、Optimistic RollupとzkRollupは、それぞれ異なるアプローチを用いてEthereumのスケーラビリティを向上させるロールアップ技術です。
Optimistic Rollupは、トランザクションの正しさを仮定し、後でチャレンジが可能な仕組みを採用しています。
一方、zkRollupは、ゼロ知識証明を用いてトランザクションの正しさを最初から保証し、チャレンジ期間を必要としない仕組みを採用しています。このため、zkRollupはセキュリティや承認速度の面で優れているとされています。
Optimistic rollupのメリット
Optimistic rollupには、以下のようなメリットがあります。
Optimistic rollupはまだ万全ではない
そんなOptimistic rollupにも、いくつかの課題が存在します。
今後の見通しとしては、これらの課題に取り組むために、ロールアップのセキュリティー対策を強化する必要があります。また、ロールアップされたデータを元のチェーンに戻すことができる方法を見つけることも必要です。最近の技術革新により、これらの課題を解決する新しい方法が開発されることが期待されます。
Rollupの新たな可能性
ユーザーエクスペリエンスの向上、取引コストの削減、スマートコントラクトの実行コストの削減などの多くのメリットがある一方で、現在はデプロイメントの遅延やオーバーヘッド、セキュリティ上の懸念などの課題があるOptimistic Rollup。しかし、Ethereumのスケーラビリティ問題の解決策の糸口となることから、今後の進展にますます目が離せません!
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(勉強会内容提供:北野、文:いくら)
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