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忘れられない旅がはじまる_MONOEYES『The Unforgettables E.P.』レビュー

2024年9月4日(水)にMONOEYESの新作『The Unforgettables E.P.』がリリースされた。

前回のフルアルバム『Between the Black and Gray』は2020年リリースなので、約4年ぶりの新作となる。

また、2024年9月24日(火) 金沢EIGHT HALLでの公演を皮切りに【The Unforgettables Tour 2024】がスタートする。

今回はフルアルバムではなく4曲入りのEPだが、いずれも最高に楽しくてかっこいい楽曲だったのでそれぞれレビューしていきます!

01. The Unforgettables

▼MUSIC VIDEO①(通常Ver.)

▼MUSIC VIDEO②(The Documentary Cut)

Lyrics by Takeshi Hosomi
Arranged by MONOEYES


No need for diamond rings
Who wants to be a king
We were too young to care
That’s just my stupid theory
ダイヤの指輪なんていらない
王様になりたいわけでもない
あの頃の僕らにはどうでもよかった
ただの愚かな理論さ

Last of a dying breed
Lost in what used to be
We were too young to care
That’s just my stupid theory
滅びゆく種族の生き残りが
過去に迷い込んでる
あの頃の僕らにはどうでもよかった
ただの愚かな理論さ

I heard you say
I wanna fall
君が言った
「落ちていきたい」

Well, I say
Hand in hand when we go down
To the bottomless pit
You’re unforgettable
Like the oldest stones we found
Through these wicked memories
The unforgettables
それなら
手を繋いで一緒に落ちていこう
底なしの奈落へ
君を忘れることなんてできない
あの冒険の途中で僕たちが見つけた最古の石のように
忘れられないものたち

No need for private cars
Wishing on falling stars
We were too young to care
That’s just my stupid theory
プライベートカーなんていらない
流れ星に願いをかけて
あの頃の僕らにはどうでもよかった
ただの愚かな理論さ

In bed with highs and lows
Counting one thousand noes
We were too young to care
That’s just my stupid theory
栄光や転落とともに眠り
幾千のノーを数えてる
あの頃の僕らにはどうでもよかった
ただの愚かな理論さ

I heard you say
I wanna fall
君が言った
「落ちていきたい」

Well, I say
Hand in hand when we go down
To the bottomless pit
You’re unforgettable
Like the oldest stones we found
Through these wicked memories
The unforgettables
それなら
手を繋いで一緒に落ちていこう
底なしの奈落へ
君を忘れることなんてできない
あの冒険の途中で僕たちが見つけた最古の石のように
忘れられないものたち

Tomorrow never dies
I can’t give up on you
Nothing matters now without you
明日は必ず来るよ
君を諦めたりしない
君なしではもう何も意味がない

I heard you say
I wanna fall
If that’s the case
I wanna fall with you
君が言ったのを聞いたよ
「落ちていきたい」
そういうことなら
僕は君と一緒に落ちていきたい

Hand in hand when we go down
To the bottomless pit
You’re unforgettable
Like the oldest stones we found
Through these wicked memories
The unforgettables
The unforgettables
We’re the unforgettables
手を繋いで一緒に落ちていこう
底なしの奈落へ
君を忘れることなんてできない
あの冒険の途中で僕たちが見つけた最古の石のように
忘れられないものたち
忘れられないものたち
僕たちは忘れられないものたち

まず、歌詞が良すぎる!!!!!
細美さんは直近のライブのMCで「結婚してからはカミさんに向けての曲ばかり書いてる」という旨のことを仰ってたそうなので、歌詞の"君"は奥様のことをイメージされているのかもしれない。

「大切な人と一緒ならどこだって天国だ」という歌詞は多いが、この曲では「たとえ奈落の底に落ちてでも君と一緒にいることを選ぶ」という意思が歌われていて、かけがえのない相手に対する気持ちの強さが読み取れる。

アウトロが無く、細美さんの声を絞った「We’re the unforgettables」で締めるラストがかっこよすぎて、ここだけでも何度でもリピートできてしまう。

MVはリアルタイムでスタジオレコーディングするメンバーとともに、モニターにはレコーディング期間のドキュメンタリー風映像が映し出されている。
このドキュメンタリーを見ていると「MONOEYSってやっぱり”バンド”だなぁ」と実感できる。
ともに車で移動し、買い出しに出かけ、食事をして、同じ空を見上げ、アレンジを組み立て、音を鳴らす。(そしてちょっとふざける)
こんなの良い曲に、良いバンドになるに決まっている。

02. Ladybird

Lyrics by Takeshi Hosomi

Radio plays softly in the dark
Stars of old days shine across the sky
Ladybird I don’t know where you fly
All that I got till the end
ラジオが静かに流れる夜
太古の星たちが空に瞬く
レディバードはどこを飛んでいるんだろう
最後まで僕の手に残るもの

Yes I can only be this way
No use in feeling safe
It only slips away
Yes I can only be
No use in binding fate
The only thing to blame
そうさ 僕はこうしかなれない
やすらぎは要らない
どうせすぐに滑り落ちてしまうから
そうさ 僕はこうしかなれない
宿命なんて要らない
全ては自分次第さ

Now I’m marching on
To my forgotten song
Have no clue where to
Or why still go on
With no story told
With no glory for today
いま僕は行進を続けてる
失われた歌に合わせて
向かう先や進み続ける理由も分からずに
物語は語られず
今日の栄光もないままで

Can’t be always perfect and clean
I’m not always meant to win the game
Ladybird I don’t know where you fly
All that I got till my heart stops to beat
欠点も穢れもないままなんてあり得ない
いつも試合に勝てるわけじゃない
レディバードはどこを飛んでいるんだろう
心臓が鼓動を止めるまで僕の手に残るもの

Now I’m jumping on
To the speeding train
You know how it feels
The wind on our face
With no story told
With no glory for today
僕はいま飛び乗るところだ
スピードを上げる電車に
顔に当たる風の感触は
君も知っているはず
物語は語られず
今日の栄光もないままで

Yes I can only be this way
No use in feeling safe
It only slips away
Yes I can only be this way
No use in binding fate
The only thing to blame
そうさ 僕はこうしかなれない
やすらぎは要らない
どうせすぐに滑り落ちてしまうから
そうさ 僕はこうしかなれない
宿命なんて要らない
全ては自分次第さ

Yes I can only be this way
Yeah Yeah Yeah
Yes I can only be this way
Yeah Yeah Yeah
そうさ 僕はこうしかなれない
そうさ 僕はこうしかなれない

サビで繰り返される「I can only be this way」というフレーズは、非常に頑固なようで信念を貫いて真っ直ぐに駆け抜けるMONOEYESの姿を体現している。
実に細美さんらしい歌詞だと思う。

ちなみに、タイトルの『Ladybird』とはテントウムシのこと。
テントウムシは枝や葉の先端まで進み行き場が無くなると上に向かって飛び立つ習性があるそうで「お天道様に飛んでいった」というところからテントウムシ(天道虫)と名付けられたとのこと。
常に上に飛び立つテントウムシと「こうしかなれない」という自分たち、両者の習性を重ねた素晴らしいタイトルだ。

また、相変わらずMONOEYESはMVがかっこよくもオシャレだと感じた。
地図、スマホ、シャッター、Tシャツ、タバコなど、様々な身近な物に歌詞を映し出すアイデアは新鮮で、映像を楽しみながら歌詞を追いかけることができる。

03. Adrenaline

Lyrics by Scott Murphy
Produced by Mike Green
Mixed & Mastered by Kris Crummett
Arranged by MONOEYES


Senses kicking into overdrive
Fight or flight is keeping me alive
Craving crisis, so I instigate
Never change, need something beautiful to break
感覚が過敏になっていく
闘争逃走反応で生き延びる
ピンチを求めてけしかけるのさ
変われない 美しいものが壊れるのを見たい

Chasing that feeling again
Adrenaline
あの感覚をもう一度味わいたい
アドレナリン

Time bomb ticking under my skin
Pressure's at critical mass
And so the countdown begins
Adrenaline
俺はもう爆発寸前だ
圧力が臨界に達して
カウントダウンが始まるのさ
アドレナリン

Pulse racing, I need the suspense
Riding the chemical rush
Chasing that feeling again
Adrenaline
脈拍が上がる スリルが欲しい
ケミカルな興奮に身を委ねて
あの感覚をもう一度味わいたい
アドレナリン

Embers fading, need to feed the fire
Burning bridges just to be inspired
Fan the flames past when I start to choke
Now it's clear, that I'm addicted to the smoke
残り火が消えかけてる 薪をくべるんだ
刺激のためなら無茶もするさ
むせながら炎を煽り続ける俺は
間違いない 煙の依存症なんだ

Chasing that feeling again
Adrenaline
あの感覚をもう一度味わいたい
アドレナリン

Time bomb ticking under my skin
Pressure's at critical mass
And so the countdown begins
Adrenaline
俺はもう爆発寸前だ
圧力が臨界に達して
カウントダウンが始まるのさ
アドレナリン

Pulse racing, I need the suspense
Riding the chemical rush
Chasing that feeling again
Adrenaline
脈拍が上がる スリルが欲しい
ケミカルな興奮に身を委ねて
あの感覚をもう一度味わいたい
アドレナリン

The pain is numbed
as I'm dialed in
But it's not enough
Hooked on the Adrenaline
ピークがくれば
痛みは消える
それでも足りない
アドレナリン中毒さ

In the aftermath,
When it's wearing thin
and I can't turn back
Hooked on the Adrenaline
余波の中で
効き目が薄れると
もう戻れない
アドレナリン中毒さ

Time bomb ticking under my skin
Pressure's at critical mass
And so the countdown begins
Adrenaline
俺はもう爆発寸前だ
圧力が臨界に達して
カウントダウンが始まるのさ
アドレナリン

Pulse racing, I need the suspense
Riding the chemical rush
Chasing that feeling again
Adrenaline
脈拍が上がる スリルが欲しい
ケミカルな興奮に身を委ねて
あの感覚をもう一度味わいたい
アドレナリン

Senses kicking into overdrive
Fight or flight is keeping me alive
Craving crisis, so I instigate
Never change
Hooked on the adrenaline
感覚が過敏になっていく
闘争逃走反応で生き延びる
ピンチを求めてけしかけるのさ
変われない
アドレナリン中毒さ

タイトル、メロディ、歌詞、MV、何から何までイカしているキラーチューン。
細美さんがMONOEYESで手掛ける曲は、淡々としていてどこか影があるクールな印象だが、スコットが手掛ける曲は底抜けに明るくて楽しい雰囲気を持っている。

自らを「アドレナリン中毒さ」と語る歌詞はスコットがライブで味わう感情を言葉にしているのかな?とも思うが、MONOEYESのライブに対して僕らが抱く感情にも通ずるものがある。
日常を抜け出してライブハウスに飛び込み、アドレナリン全開でモッシュダイブの波に飲まれる…そしてライブが終わり家に帰ったそばからまたライブに行きたくなっている。
ツアーが控えている現在も、この曲をリピートするたびに早くツアー開始を待ち切れない気持ちになってしまう。アドレナリン中毒だ。

MVはサムネを見た瞬間に「これは最高だな」と確信した(笑)
普段はめちゃくちゃかっこいいメンバーのこんなふざけた姿が見られるとは思ってもみなかった…。
これもスコットのキャラクター、ひいてはMONOEYESというバンドならではの魅力だと思う。

04. Atmosphere

Lyrics by Scott Murphy
Arranged by MONOEYES

It's quiet here
Floating high above the atmosphere
ここは静かだ
大気圏の遥か上に浮かんでる

A speck of dust in an urban maze
Same routine only different day
Looking up to the vast unknown
Think I could use a little time alone
都会の迷路に落ちてる塵の一粒
日が変わっただけで同じルーティン
広大な未知の世界を見上げる
もう少し自分に時間を使うべきなんだ

High above the atmosphere
As the world fades away
Now I can breathe
Drifting out here in space
大気圏の遥か上で
世界が消失していく
やっと息ができる
宇宙を漂流している

Back home I can't slow down
It's all gas and no brake
It's quiet here
Floating high above the atmosphere
あそこではペースを落とせない
アクセル全開でノーブレーキ
ここは静かだ
大気圏の遥か上に浮かんでる

The cities glow as my thoughts escape
All systems go, to a better place
I'll leave the gridlock, find room to grow
Think I could use a little time alone
思考から抜け出すと街の灯りが見える
全システムが稼働中 より良い場所を目指して
手詰まりを抜け出して 成長する隙間を見つける
もう少し自分に時間を使うべきなんだ

High above the atmosphere
As the world fades away
Now I can breathe
Drifting out here in space
大気圏の遥か上で
世界が消失していく
やっと息ができる
宇宙を漂流している

Back home I can't slow down
It's all gas and no brake
It's quiet here
Floating high above the atmosphere
あそこではペースを落とせない
アクセル全開でノーブレーキ
ここは静かだ
大気圏の遥か上に浮かんでる

Walking on uncharted paths where no one has ever been
Sailing through uncharted seas that no one's ever seen
Dreaming of galaxies far beyond the night sky
Chasing after shooting stars reaching for new heights…
地図にない未踏の道を歩き
海図にない未開の海を航海する
夜空の彼方の銀河を夢見て
流れ星を追いかける 新たな高みを目指して…

Above the atmosphere
As the world fades away
Now I can breathe
Drifting out here in space
大気圏の遥か上で
世界が消失していく
やっと息ができる
宇宙を漂流している

Back home I can't slow down
It's all gas and no brake
It's quiet here
Floating high above the atmosphere
あそこではペースを落とせない
アクセル全開でノーブレーキ
ここは静かだ
大気圏の遥か上に浮かんでる

In my mind I'm anywhere but here
心の中で僕はここではないどこかにいる

3曲目の『Adrenaline』は初期衝動全開の歌詞を携えたライブハウスにぴったりの曲だったが、逆にこの曲の歌詞はライブハウスの屋根を突き抜けて大気圏を旅する壮大な世界観を持っている。

「Chasing after shooting stars reaching for new heights…(流れ星を追いかける 新たな高みを目指して…)」というフレーズを見ていると、来る10周年に向けてMONOEYESというバンドがこれから更にスケールアップしていくのだという予感がする。

一方、大気圏を浮遊する壮大なスケールの歌詞とは反対に、メロディは地に足が付いたどっしりとした迫力がある。
また、同じくスコット作の過去曲『Moth to Flame』にも通じるエモーショナルな空気感があり、どことなく切なさが感じられる曲調でもある。

細美さんは大きな会場でライブをするたびに「今度は小さいとこでやろう」「また汚ぇライブハウスで会いましょう」と仰っているし、MONOEYES自体がそれを念頭にできたバンドなので方向性は変わらないだろう。
しかし、遥か高みを夢想して心のやり場を大気圏に移した本作を聴くと、今後も躊躇無く新しい世界に踏み込んでいくMONOEYESの姿が容易に想像できる。
9年目のツアーの看板、そして10周年に向けた狼煙である本EPを締めくくるに相応しい、バンドの未来が楽しみで仕方なくなる楽曲だ。

【The Unforgettables Tour 2024】に向けて

いよいよ今月下旬から【The Unforgettables Tour 2024】がスタートする。
フェスへの出演等はコンスタントにあったものの、新作は約4年ぶり、ツアーは約3年ぶりということで久々の本格稼働だ。

ツインボーカル色を前面に押し出しつつ、トディーのギターとイッセさんのドラムも緻密なアレンジとともにかっこよくまとまっている新曲たち。
ツアーの中でこの4曲がどのようにできあがっていくのか、今から楽しみで仕方がない!
『The Unforgettables』は本ツアーでは開幕を飾ることになりそうだが、ライブの締めにも似合う曲だろうなぁという妄想も湧いてくる…今後の立ち位置の変化にも注目。

余談だが、筆者は11月12日(火) Zepp Nagoyaでの公演に参加予定。
現時点だとこの公演がツアーファイナルとなる予定で、名古屋がファイナルに当たることは珍しいので、いつも以上にワクワクしている。


拙いレビューとなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
それではまた、忘れられない旅のどこかでお会いしましょう!

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