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【マッチレビュー】 埼玉県大会決勝 浦和南 2-1 昌平 【高校サッカー】

はじめに

Twitterのライトアナリストの方々がかなりの情報量を持って、欧州リーグやJリーグのマッチレビューを共有してくれている昨今、高校サッカーに焦点が当たったものが少ないという印象を受けていました。数年前まで、国立のピッチを目指して仲間と切磋琢磨した自分としては、高校サッカーを"解いて説く"ことも、アナさん(@_socceranalyzer)の夢を実現するために重要なのではないかと考えています。現場の底上げってやつですかね!

また、今年の「冬の選手権」は全試合フルマッチ配信ですので、分析の対象としては持ってこいなのではないかと。

従いましては、全国の開幕前に有力な出場校の県決勝のマッチレビューと、チーム分析を細々とやれたらいいな〜なんて思っています。ということで、タイトルにあるように、今回は埼玉県決勝(YouTubeにアップされていたロングハイライト)を見ていきます。目次は以下の通りです。

1. 昌平のバイタル攻略と浦和南の守備組織
2. セカンド!!
3. 試合展開 〜勝負の神様は細部に宿る〜

1. 昌平のバイタル攻略と浦和南の守備組織

まずは昌平高校のプレーモデルというか攻撃スタイルから。フォメでいくと4-2-3-1なのだが、攻撃時はSBを大外にサイドハーフをハーフスペースに移動させて、ビルドアップ隊は2-2で構成されていた。ペナ幅をショートパスとコンビネーションで崩していくのが第一の狙いのようで、川崎内定の#8 原田くんを中心に高い技術でバイタルを攻略しようとしていた。下のシーンをご覧ください。相手の右サイドハーフが対面にいて、おまけにRSBまで中央に矢印を向けられているのに、中央を通したがるプレー選択でだいたい把握。シャビとアルバはやばかったけれど。

LSB#2 は大宮ユース出身の大型左利きサイドバックでスピードもあって、攻撃時はかなり質的優位を生み出していたので今後も注目。

浦和南の守備セットは中央圧縮の4-4-2で、SBとサイドハーフは対面の選手に鬼のマンツーマン。あまり守備時は走りたくない現役フットサルプレイヤーの自分としては、めちゃくちゃ重労働だな〜と見てて思いました。判断がないぶん、体力でカバー!顕著だったのは以下のシーンかな。単純明快

マンツーマンの弱点は質的劣位。要するに1on1で剥がされたらやばい。前述の昌平LSBに突破され、ペナ内でシュートを打たれたシーン。CBはゴール前で立ち尽くす。

敵陣に押し込んだ後のネガトラ時の振る舞いとしては、逆SBが内側に絞って対面のサイドハーフにマンツーマンでつく形。カウンターの芽を潰し、ストーミングを起こすことは何度か成功していました。

特徴としてはSBとサイドハーフのマンツーマンでした。

2. セカンド!!

現場にいらっしゃる指導者の方々であれば、いいえ誰しもサッカーグラウンド上で効いたことのあるフレーズですね。めちゃくちゃ重要です。しかしながら、セカンド!!と怒鳴るシーンを減らす努力はできます。そうポジショナルプレーってやつです。トーナメント戦の影響?単純に高校生のクリアの技術が下手なだけでチャンスになりやすい?厳しいことを言うならば、僕は高校サッカーに携わる指導者の勉強不足だと考えています。中学までポゼッション型でやっていたのに、高校ではキックアンドラッシュのコマになっている選手も少なくはありません。

そういう意味で、浦和南はGKからのフィードを大型CFめがけて送って、セカンドボールを拾い、スローインを含めたセットプレーを取りに行くというのが狙いだったと思います。スローインはいくつか準備されたものが見られました。参考に、GKからのボールが空中を飛んでいる時の立ち位置と、スローイン時のセットのスクショを2枚。

浦和南の#9は低い弾道での左足のキックを持っており、ST#10 は天才肌の小柄なアタッカー。

3. 試合展開 〜勝負の神様は細部に宿る〜

前半、圧倒的にボールを試合した昌平高校でしたが、得点を奪えず0-0でハーフタイムを迎える。両チームとも大きな変化はなく、後半を迎える。浦和南CBのキックミスからスタートしたカウンターで昌平RMFが相手をスピードで振り切り、ニア上ズドン。1. でもお話ししたように、サイドハーフのカバーが誰もいない or かなり遅れるのが気になった。

これで昌平が楽にゲームを進めるかと思っていた矢先、CKの混戦でのハンドで得たPKのチャンスを浦和南のエースがしっかり沈める。このあと、昌平は前半と同様、丁寧にボールを前進すればゲームは落ち着いたとも思ったが、リセットできず2. セカンド!!な状況が長く続く。そういった展開を狙っていた浦和南は、昌平の不必要なファールで得たFKを相手選手のミスも重なってゴールに押し込む。全員シャツインの気迫が感じられた。昌平の怒涛の攻撃を、強い気持ちで耐え抜いた浦和南が久しぶりの全国へ。現地で見ていた方は浦和南の一生懸命に心を動かされたのではないかと勝手に想像。

ちなみに彼らが一回戦で戦う相手は同じく赤いユニフォームに袖を通す伝統校、東福岡。ヒガシのワイドアタックに対して同じ戦い方をするとは決して思わないが、"勝利から逆算する"らしい野崎監督がどういう戦略を練るか楽しみです。以下がYouTubeにアップされていたロングハイライトになっています。


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