自分のトレードスタイル

ここまで機械学習モデルの紹介を続けましたが、文字通り機械のように少し味気のない記事の内容が続いてしまったので、この辺りで少し雑談的に自分のトレードの話を書いてみたいと思います。これまで手法の紹介の執筆に全エネルギーを注ぎ込んだので今回は少しブレイクタイム的な内容で。

自分のトレード履歴はそれなりに長くて最初にトレードを始めたのはもう20年以上前のことです。当然のように最初のトレードは大失敗しました。それなりに株のテキストは購入し、色々なトレードスタイルは学び、どうしたら利益が出るか、損切りは大事とかそういう話は頭では理解したつもりでしたが、結局損切りできずに当時で50万円くらいは損失を出したと思います。

一度トレードはやめるのですが、その後、システムトレードに興味を持ちます。職業はITエンジニアなので数字やデータには滅法強いし、アイデアをプログラムに落とし込むことは得意中の得意です。トレードの研究はほぼ趣味のようなものでした。ですが、才能がないのかシステムトレードで良い結果に辿り着けるたのはほんのわずかな期間でした。利益が出た話は今回の本題ではないので今回は突っ込んでは書きませんが、1ヶ月ほど右肩上がりの利益だったのが、急に右肩下がりになって中止したことがあります。この理由は未だに解けない謎でして機会があればそのうち記事にするのも良いネタです。相場が変わったとかでは無いはずです。利益曲線の変化があまりに急でした。上昇相場でも下降相場でも毎日確実に利益が出ていたのが、ある日を境に急に毎日損失を出すようになりました。試しに少しお休みをして、しばらく時間をおいた後にそのトレード方法を試したのですが、パラメータをいじってみても利益が出るようになることは二度とありませんでした。

今、最もトレードで大きな資金を投入しているのは実は株価の裁量トレードです。投入している資金は8桁程度で、そこそこ大きな金額ですがその代わり年利は10%には届かない程度です。もちろん、年によって利益率のばらつきはあって数年間の平均の数字です。

株価の大局を読むのはそこまで難しいことではありません。基本的にはその会社が将来どうなるかの財務状況を反映するのが株価です。会社の財務状況の方は大きく変動しないのに、なぜか株価の方は大きく変動します。だから会社の財務状況は良いのに株価が低くなった時に仕入れれば利益を出すことができます。

大枠のロジックは単純ですが、株価はそんな単純なものではありませんのでポンポン利益が出ることはありません。お買い得な株価になったので購入する、でも、さらに下がる、これはいくら何でも安いので更に購入する、でもどこかで資金は尽きる、ということが起こります。あるいは、割安だから全力で買いたい、でももっと下がるかもしれないから、ここでは全資金の1/4位でポジションを取ろう、そうしたらやっぱり一気に反発してしまい、もう資金は投入できない。という感じです。

この考え方で今のところ一度も負けなしです。なぜ負けないかというと損切りをしたことがないから。いえ、もちろん損切りをする条件は決めていますが、そのような状況になったことがないからです。実は私がポジションを取るのは単独の企業ではなくインデックスです。いくら業績の数字が良いと言って1社だけであれば状況が変化してしまい損切りすることもそれなりにあるでしょう。でも会社の集合であれば世の中全体とか業界全体の動きになるので、そこまで大きな変化になる回数が比較的少ないのです。もちろん、頻度が少ないというだけです。世界の景気が落ちるような状況、例えばリーマンショックのようなことがあれば即損切りしなければいけません。一度損失を確定させ、相場が落ち着くまではお休みです。相場が落ち着いたら、また同じ方法でトレードして行けば良いのです。

この方法はシステムトレードには不向きです。現在の業績に対して株価が安いのかどうかという数字を根拠には使うのですが、もう一つ今後、当面の業績は下がらないだろうという社会情勢的な判断もするわけです。例えば前回大きな利益を出せたのはCOVOID19で株価が大きく下げたときです。その時の株価と業績の関係から示している数字は割安でした。ですが、このままの流れで業績自体が下がるかどうかの判断をしないとエントリーはできません。これが単独の会社になると難しい判断を迫られます。ですが、インデックスは会社の集合体です。コロナが流行して業績が下がる会社もあるでしょうが、それで社会全体の消費活動が止まるわけではありませんし、過去にあった世界的に流行した感染症をみても1,2年で乗り切っています。なので企業の集合という意味では株価は戻す可能性が高いと判断してエントリーすることができました。

ただし、精神的には少し辛いトレードではあって楽勝という気分ではありませんでした。どんどん株価は下げるのでそれに合わせてナンピンをし、全資金を投入することができたのですが、さらに大きく株価は下げていくのでかつてない含み損にはなりました。ですが、将来に対する経済活動の懸念はないので自信を持って保有することはできました。ただ、含み損は大きいので精神的には決して楽とはいえないトレードです。結果としては無事数ヶ月後にはまずまず大き目の利益を出すことができました。

これまでで一番辛かったのは割安と思ってエントリーしたけど価格は下げて行き、そこから1年以上も戻さなかったときです。特に経済活動が悪くなる予兆はないですが、かといって景気が良くなる予兆もなく横ばいの相場が続いたときです。株価がそれ以上に落ちる心配はなかったものの、長期にわたって含み損を抱えるのは嫌なものですし、何より長期になるほど世の中の動向自体が変わってしまい相場全体に悪いニュースに直面する確率も高まってきます。できることならエントリーしてから利確するまでの期間は早いほど良いに決まっています。この時も最終的には利益を出すことはできましたが、エントリータイミングには慎重になるようにという教訓を得た事例でした。

こんな感じの方法なのでシステムトレードには向きません。この方法では割安かどうかと将来的に価格は戻すかを判断してエントリーを決めますが、実はイグジット戦略はありません。割安かどうかということは数値化できるといえばできますが、将来的に価格を戻すかどうかは数字での判断はできませんし、イグジットの判断はに至ってはただの感覚です。割安なことは判断できても、それが戻した時にどこまで上がるかなどわかるわけもありません。欲張り過ぎると利確に失敗してしまうこともあるので、適当に利益が出たところで利確している、という感じです。なので完全な裁量トレードです。

このトレードでいえば例えば1000万円の資金を年に50万円くらい増やすというイメージです。1回のトレードで狙う値幅は5〜10%程度ですが、全資金が投入できるとは限りませんし、株価が割安で、かつ、将来に価格が落ちていく心配がないというタイミングでエントリーできるタイミングは年に2,3回くらいです。実は株を直接買い付けているわけではなくて証券会社へ積み立てている資金をスイッチしているという事情もあって何せ株にエントリーできるのはスイッチの指示をしてから4日かかるという事情もあります。割安だからと思ってスイッチの指示を出すのですが、その後毎日株価上昇の4連騰で元の価格に戻すなんてことも何度かありまして、なかなか到来するチャンスは少ないです。というわけで年利では10%にも満たないのです。

大きな資金なので、リスクは抑えて確実に運用するというコンセプトになります。毎月、数万円の積立も含めて、10年で1000万円が2000万円になるという設計のトレード方法です。長い目で見ればどこかでは大きな相場の後退に会うので、その時には損切りは必要で、そのタイミングを冷静に見失わなければそれなりの資産を残せると思います。

さて、このシリーズのテーマは仮想通貨トレードの機械学習なので、どう考えても裁量トレードではなく、システムトレードの話です。エントリーとイグジットは自動化しておいて寝ていても利益が出る、というのが機械学習のトレードが目指すところなのはいうまでもありません。では、ここで紹介している機械学習のロジックを実トレードに投入しているのかということはこの記事を読んでいただいた方であれば気になるところだと思います。私のシステムトレードの話は次回以降で紹介するつもりです。

今回は少し雑談的な話題ではありましたが、機会があれば、この裁量トレードの手法をもう少し具体的に紹介しても良いかもしれません。この裁量トレードの手法はエントリー条件、イグジット条件が曖昧なので利益の対立になることもほぼないですから、このシリーズの仮想通貨の機械学習の記事のような高額な値段をつける必要もありませんので。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?