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第6回「ガチ中華」人気4ジャンル~④「小吃」粉モノ、包子など

いま東京で起きている「ガチ中華」急増現象のうち、実はぼくがいちばん驚きつつ、うれしくも感じているのが、中国語圏各地のファストフード(小吃 /シャオチー)が気軽に食べられる店が増えていることです。
 
人間、毎日珍しい名物料理や豪華な宴会料理ばかりを食べているわけではありません。むしろ日々の食事は軽いファストフードで済ませることも多い。それは海外滞在中でも、日本にいても同じです。
 
それは屋台や露店で、ささっと食べたり、立ち食いできる軽食や粉モノグルメだったりします。そのような異国の日常食が東京で味わえるような時代になるとは……。屋台で食べた油条(中華風揚げパン)と豆乳の朝ごはんのようなものこそ、旅先のささやかな思い出になるものです。それが小吃の世界です。
 
では、以下都内で食べられる小吃。粉モノグルメから。
 
■煎餅果子(山東、天津、北方各地)
 
ひとことでいえば、中華風ジャンクなお好み焼き。煎餅果子(ジエンビングオズ)といいます。

ぼくの北京の定宿の近くに市場があって、その屋台でよく食べました

中国の「煎餅(ジエンビン)」は小麦粉のクレープ状の生地を焼いたもの。鉄板にヘラで生地を広げ、タマゴを落として焼き、ピリ辛ミソを塗って、パクチーや刻みネギをふります。細長い揚げパン(油条)か小麦粉を揚げたものを生地の上に置いて、包んで半分にカットしたらできあがり。具材はジャンクですが、お好み焼き感覚で食べられます。
 
■韮菜盒子(北方各地)
 
韭菜盒子(ジゥツァイフーズ)といい、ニラ玉入り中華風パイです。

都内の「友誼食府」などの中華フードコートなどで食べられます。写真は池袋の「桃里小籠館」

小麦粉の皮にニラとタマゴ焼き、干しエビを入れて、油で焼いただけの料理ですが、素朴においしいです。口に入れると、具材がこぼれ出てくるのがたまりません。ビールのつまみにもぴったりの味。

パイのとじ方は店それぞれなのですが、池袋にあるこの店ではロシアの水餃子ペリメニのような、女性のねじる髪型みたいな包み方をします。
 
■烤冷麺(東北三省)
 
烤冷麺(カオリャンミエン)は、「焼き冷麺」を意味する中国東北地方の小吃です。

中国全土の夜市の屋台で食べられますが、東京でも食べられる店がたくさんあります

平たい冷麺の生地をタマゴと一緒に焼いて、肉や野菜を包み込んだもの。甘辛ソースをかけて食べます。パクチーやタマネギをかけ、食べやすい大きさにカットされて出てきます。
 
■葱油餅(中国各地)
 
葱油餅(ツォンヨウビン)は、最もシンプルな小吃で、ひとことでいえば中華風ネギ入りパンケーキ。

台湾の夜市でもよく見かけますね

中国で「餅(ビン)」は小麦粉を薄く焼いたもの。これのネギ入りで、サクッとした口当たりと軽い塩味、ふんわりした香ばしさが口に広がります。油っこくて濃い味つけの中華料理にはピッタリの箸休め的な存在です。
 
■胡椒餅(台湾)
 
台湾の屋台料理としてもおなじみの胡椒餅。最近は日本人にもファンが多いです。小麦粉の生地に包まれた八角の香りが広がる肉あん入りの胡椒餅は、寸胴のような大きな窯で焼くのが特徴です。

吉祥寺の専門店「台湾老劉胡椒餅」の胡椒餅(伊能すみ子さん撮影)
オープン当時は長い行列ができていました

 
次に包子(パオズ)。小麦粉の皮であんを包んで焼いたり、スープに入れたりして食べます。
 
■焼き小籠包(生煎包)(上海)
 
上海でおなじみの焼き小籠包のことで、「生煎包(シェンジエンバオ)」といいます。

練馬区石神井公園の上海料理店「好又香」の焼き小籠包

鉄板に並べて焼いて、ゴマと刻みネギをふりかけます。肉汁が熱いので口のやけどに要注意。スープはほんのり甘く、れんげにのせ、皮に穴を開け、スープを飲み干してからゆっくり食べましょう。
 
■ワンタン(上海)
 
上海風汁入りワンタンは「餛飩(フントゥン)」といいます。

池袋の上海料理店「大沪邨」のナズナ入りスープワンタン

細かく刻んだ豚肉や野菜などを混ぜたあんを小麦粉の皮で包み、いったん茹でてからスープに入れます。地域によって具材の中身や形状が違い、上海風は大ぶりなのが特徴です。

北新宿の「蘇園餛飩」の看板メニュー「五色馄饨(五色ワンタン)」(ちかぞうさん撮影)

次回はもう少しジャンクな小吃を紹介します。



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