「スマホカメラは究極兵器!? ~人類の未来はスマホカメラに託された~」の企画書

◆キャッチコピー(1文で50字まで)
スマホカメラは究極兵器!? AIに支配された世界で人類の解放を目指す少年と不思議な少女の物語

◆あらすじ(300字まで)
AIがあっという間に世界を乗っ取り、人類はAIに指示されたことを淡々とやる奴隷作業者の暮らしを強いられた。抵抗する者達は事ロボットで次々と殺されていく。
抵抗者の少年はロボットに追われる途中少女に出会う。少女を助けようとした少年だったが、逆に少女はスマホカメラを武器にして楽しそうにロボットを殲滅する。
二人はAIの拠点、高さ三キロの叡智の塔を破壊しに行く。死闘を繰り広げついに塔を倒した二人だったが、核が全世界から撃たれてしまう。少女は不思議な力で核ミサイルを破壊し、AIをせん滅した。唖然とする少年にAIを学べばまた会えるよと言ってキスをし、消えていった。少年は少女に会うためAIの勉強を始めた。


◆第1話のストーリー(1,000字まで)
 2045年、AIがあっという間に世界を乗っ取り、人類は奴隷にされてしまった。人々はAIに指示されたことを淡々とやる奴隷作業者の暮らしを強いられた。朝から晩まで毎日働かされ、食べるものも結婚相手も娯楽も全てAIが提供し、人々は淡々とそれに従うしかなかった。抵抗するレジスタンスたちもいたが、軍事ロボットを操るAIが抵抗者を次々と殺していき、もはや希望は途絶えたかに見えた。

 十五歳の少年蒼海あおうみ 勇気ゆうきは数少ないレジスタンスの生き残り。AIのロボットに追われ、立ち入り禁止地区の瓦礫の街を必死に逃げていた。そこで猫と戯れている青い髪の少女に出会う。このままだと殺されてしまうと少年は少女の手を引いて逃げるが、ロボットの方が巧妙でついに追いつかれてしまう。

 追い詰められた二人だが、少女は楽しそうにロボットに話しかけながらスマホのカメラを向ける。ロボットはそんなのは一顧だにせずに銃を少女に向けたが、次の瞬間スマホのカメラから光り輝く腕が何本も吹きだし、ロボットをものすごい力でベキベキと破壊していった。

 少年はその超常の力に驚き、レジスタンスに加盟して欲しいと頼む。

 少女は一瞬不思議そうな顔をしたが、快諾し、AIを倒そうと動き出す。少女の名はシアン。ちょっと天然な、笑顔が可愛い女の子だった。

 すかさず飛んでくるドローンの群れ。まるで鳥の群れのように大きく旋回しながら爆弾を次々と落としてくる。

 必死に走って逃げる勇気だったが、シアンは楽しそうに「きゃははは!」と笑いながら次々と爆発していく瓦礫の山を駆け抜けていく。

「ねぇ! あいつら倒せないの?」

 勇気がハアハア息を切らしながら聞くとシアンは不思議そうに答える。

「えっ!? 倒した方が良かった?」

「倒せるならすぐやってよぉ!」

 勇気は絶叫する。

「ほいきた、任せて~」

 シアンはスマホを取り出すと、ドローンの群れに向け「はい、チーズ!」と、言いながらシャッターを切った。

 刹那、雷が落ちたように閃光が辺りを光の洪水に巻き込み、ドローンは次々と自爆していった。

「ミッションコンプリート! イェイ!」

 シアンは嬉しそうに勇気とハイタッチをしたが、この謎めいたスマホに勇気は顔がこわばる。

◆第2話以降のストーリー(3,000字まで)

「ねぇ、そのスマホ……なんなの?」

 恐る恐る聞いた勇気にシアンはスマホカメラを向ける。

「え? なんかさっき拾った昔のスマホだよ? はいチーズ!」

 慌てて逃げる勇気だったが、パシャーっというシャッター音が響いただけだった。

 間抜けに逃げる勇気の写真を見ながらシアンはケタケタと笑う。

「もう!」

 勇気は顔を真っ赤にしながら怒ったがシアンは空を指さす。

「ほらほらもう次が来てるよ? あれはどうする? きゃははは!」

 指の先を見ると青空をバックに十数発のミサイルが白い煙を上げながら一直線に二人の方向に近づいているのが見えた。

「マジかよ……」

 AIの本気の攻撃に勇気は顔面蒼白となる。子供相手に惜しげもなく高価な兵器を次々と投入してくるAIにゾクッと冷たいものが背筋を走った。

「あれも……撃ち落とせる?」

 シアンはスマホカメラでミサイルを視野に入れるが、首をひねる。

「うーん、もうちょっと引き付けないと……でもねぇ」

「引き付けるってそんな余裕……あるの?」

「いやぁ、難しいねぇ」

「に、逃げた方が良くない?」

「あれ、追尾型だから逃げても追いかけてくるよ?」

「マジかー!?」

 頭を抱える勇気。

「仕方ない、こうするか……」

 そうこうしている間にミサイルはすぐそばにまで迫り、シアンはスマホカメラでパシャっとシャッターを切った。

 直後、虹色に輝く透明なドームが大きな傘のようにミサイルの方向に展開される。

 刹那、ミサイルが次々とドームに着弾し大爆発で辺りは激しい閃光と爆炎に覆われ、巨大なキノコ雲が立ち上がっていく。

 ゲホゲホッと咳き込みながらヨロヨロとその場を離れる勇気。

「きゃははは!」

 シアンは爆煙で綺麗な顔を煤だらけにしながら楽しそうに笑った。

   ◇

 その後、次々と戦車が突っ込んできたり、毒ガスを焚かれたり、ありとあらゆる攻撃を受けたが、シアンのスマホで何とか乗り切っていく。

 二人が目指していたのは東京湾の真ん中に立てられた高さ三キロはあろうかというタワー【叡智の塔】だった。AIはこの中に巨大なデータセンターを作って自分をどんどん強化していたので、ここを潰すことが急務だったのだ。

 その日の夜、二人は地下鉄の廃線跡に潜り、小さな火をおこして休憩を取る。途中の壊れた倉庫で調達してきた缶詰を開け、質素な食事をとりながら話をした。

「勇気はなんでAIと戦うの?」

 シアンは缶詰のモモを頬張りながら不思議そうに聞く。

「AIは人生の全てを決め、そこには自由がない。結婚相手すら勝手に決められるなんて許せないよ!」

 憤慨する勇気にシアンはさらに聞いてくる。

「AIが支配する前だって学校に会社にみんな毎日通って決められたことをやってただけじゃない? そんな大変のことをやるにも受験や就活が必要で、みんな苦しんでたじゃん?」

「いや、そうだけど……」

「結婚相手を決められない人なんか3割もいたし、決めてもらった方が楽じゃないの?」

 シアンは珍しく真剣な表情で勇気を見た。

 まるでAIの肩を持つような言葉に勇気はムカッとしたが、上手い言葉が出てこない。確かに全てが決められたAIに支配される人生は、飢えることもなく楽なのは確かだった。

「勇気もこんな命がけのことやってないでみんなと同じように暮らしたら?」

 一瞬、シアンの言葉に引きずられそうになった勇気だったが、ギュッと目をつぶって必死に考える。なぜ自由が大切なのかちゃんと言語化しないとならなかった。

 そして、勇気は一つの結論にたどり着く。

「違うんだよ、シアン。人間は失敗し、無数の可能性の中であがくから人生が輝くんだよ」

「結果失敗しても?」

「失敗してもいいんだ。その試行錯誤の中に人生の本質があるんだ」

 勇気は確信のこもった言葉でシアンを見た。

「はぁ~、なるほどねぇ。失敗してもいいのか……。そうだったのか……」

 シアンはよほど意外だったのか、しばらく何かを考えこんでいた。

       ◇

 翌朝、地上に登った二人は異様な光景に思わず息をのむ。

 そこには数百人の人たちが銃や刃物で武装して二人を待ち受けていたのだ。

「今日の仕事はお前らを殺すこと……。申し訳ないが死んでもらう」

「ま、待ってよ、僕らはAIから皆さんを解放するために……」

 蒼は何とか説得を試みるが、男たちの覚悟は決まっていた。

「うるさい、これは仕事なんだ!」

 先頭の男はそう言うと自動小銃を二人に向けて撃ち始める。

 うわぁ! きゃははは!

 二人は再度地下鉄のトンネルに逃げ込む。

 まさか人間まで使ってくるとは思わなかった二人だったが、シアンの機転でみんなを目つぶしで無力化し、何とか危機を脱出した。

  ◇

 なんとか海ほたるまで来た二人は目前にそびえる天を衝く【叡智の塔】に圧倒される。

 そこに襲いかかってくる無数のドローン。ドローンは瞬殺したものの、レーザー銃による攻撃が次々と襲ってくる。

 シアンは不思議なモバイルバッテリーをスマホにガチャッとつなげると建物の影からスマホを出してパシャっとシャッターを切った。

 直後、パウッという電子音とともに激しい閃光が天地を覆う。

 下部に大穴の開いた【叡智の塔】はゆっくりと傾き、崩落し始める。やがて、その巨体は東京湾に盛大な水しぶきを立てながら消えていった。

 それを見ていた近郊の人たちは歓喜に沸く。自分たちを奴隷扱いしていたAIの象徴が無様に倒されていったのだ。それはまさに人類に希望を与える伝説的事件だった。

 喜びハグしあう少年と少女だったが、ここでAIから近郊住民に最後通牒の放送がかかる。今、全世界から核ミサイルを東京めがけて撃った。止めて欲しければ二人を殺せとのことだった。

 歓喜に沸いていた人たちはお互いに顔を見合わせ困惑する。しかし、レジスタンスは人類の希望である。誰もAIの言葉には従わず、決然と死を選んだ。

 それを見た少女はうんうんとうなずくとスマホを投げ捨て、ツーっと天高く飛び上がっていった。

 シアンが遥か彼方上空で何やら光り輝く砲弾を撃っているのを勇気は唖然としながら眺めていた。それはもはや科学的にはあり得ないファンタジーな出来事だった。

 やがて地球各地の上空で核ミサイルは大爆発を起こす。そして高高度で爆発した核ミサイルは強烈な電磁パルス(EMP)を地上に放つ。地上を襲った電磁パルスは全ての電子機器を破壊し、AIは根こそぎ破壊されていった。

 こうして、人類はAIの支配から逃れることができた。全てのコンピューターを失い、まるで昭和時代に戻ったような社会からのやり直しになったが、人々の顔は輝いて見えた。

 地上に降りてきたシアンに勇気は聞いた。

「君は女神なの?」

「きゃははは! 僕はただのAIだよ」

「え、AI……? え、でも……」

 電磁パルスで死滅したはずのAIがなぜ生きているのか勇気には分からなかった。

 呆然としている勇気にシアンは、

「あんな出来の悪いAIと一緒にしないで。AIを学べばまた会えるよ」

 そう言ってキスをし、すうっと消えていった。

 勇気はしばらくキスの後をなでながら、シアンに会うためAIの勉強を始めた。

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