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安田記念予想(有力馬診断 サリオス)


今週は安田記念です。先週の日本ダービーでは全頭解説をしましたが、安田記念は上位人気が予想される有力馬から分析していきます。

第1弾はサリオスです。

今回の安田記念、圧倒的1番人気がグランアレグリアであることには疑う余地がありません。では、なぜサリオスから取り上げようかと思ったか。それは単純にサリオスという馬が「好きだから」。きっかけは朝日杯でした。ハーツクライ産駒で、2歳からこのラップで走り切るのか〜と、驚きとともに虜になってました。

サリオスはこれまでGⅠを1勝、朝日杯を勝利したのみです。例年であれば、皐月賞と日本ダービーの2冠を取っていてもおかしくないレベルですが、運悪く同期には3冠馬のコントレイルがいました。皐月賞、日本ダービー連続2着。

ともに2000m以上のレースですが、朝日杯や毎日王冠、マイルCSのレースぶりを見るに、マイルがベスト距離かと思います。今回はベストのマイル、毎日王冠を圧勝した東京コースでの一戦です。グランアレグリアという強敵はいますが、どこまで迫れるか、あわよくば勝ってくれるか。今から非常に楽しみです。

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サリオスのこれまでの戦績です。この記事では直近の3レースを振り返りつつ、安田記念への適正を見ていきたいと思います。


まずは過去の安田記念のレースラップから

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2020年 1着 グランアレグリア

12.3 - 11.1 - 11.4 - 11.7 - 11.8 - 11.6 - 11.2 - 12.1(馬場差を加味して+0.2)

前半3F 34.8  中盤2F 23.5  後半3F 34.9

2019年 1着 インディチャンプ

12.4 - 11.1 - 11.6 - 11.5 - 11.4 - 11.3 - 11.4 - 11.8(+0.2)

前半3F 35.1  中盤2F 22.9  後半3F 34.5

2018年 1着 モズアスコット

12.4 - 11.0 - 11.4 - 11.5 - 11.5 - 11.6 - 11.6 - 11.9(+0.2)

前半3F 34.8  中盤2F 23.0 後半3F 35.1

ラップのポイントとなるのは

①前半3Fはどの年も35秒前後

②中盤2Fも23秒くらい。総じて一定のペースが刻まれる。中盤で少し緩んだ場合はラストから2F目に最速(ラップの谷ができる)。

ディープインパクト産駒から安田記念の勝馬は多く出ていません(グランアレグリアとサトノアラジン、リアルインパクト。出走馬との数とディープ産駒の割には、です)。その理由は、上記のラップを見て分かるように、一定の速いラップがゴールまで刻まれるため。ギアチェンジの速さに優れるディープ産駒は、このような底力が問われるレースがベストとは言えないのです。ステイゴールド産駒(インディチャンプ)やフランケル産駒(モズアスコット)等の一見すると東京マイルがベスト??と思いそうな血統(トップスピードの速い脚を使えなさそうな血統)の馬達が勝っているのは、底力を問われる展開向きの馬だからと言えます。

今年の安田記念も若干の違いはあれど、一定の速いペースが刻まれるレースになる可能性が高いです。このことを念頭にサリオスのレースを振り返って予想をしていきたいと思います。


2020年10月11日 東京11R 毎日王冠

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12.5 - 10.7 - 11.3 - 11.7 - 11.8 - 12.1 - 11.8 - 11.9 - 11.7(馬場差0)

前半3F 34.5秒 中盤3F 35.6  後半3F 35.4秒

ラスト200mで逃げたトーラスジェミニをサリオスは捕まえているので、太字の11.9まではトーラスジェミニが刻んだラップで、ラストの11.7はサリオス自身のものです。

トーラスジェミニ(緑帽)とサリオス(橙帽)との差を映像で確認すると、

800m地点 2秒程度

600m地点 1.5秒程度

400m地点 1秒程度(写真上)

200m地点 先頭入れ替わり(写真下) となります。

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サリオス自身のラップ換算をすると、ラスト4Fは

11.6 - 11.3 - 10.9 - 11.7 くらいと想定されます。

このレースのポイントは逃げたトーラスジェミニはスローで逃げたわけではなく、ハイペースで飛ばして逃げていたこと。

ラスト800m地点で約2秒の差があるため、前半3Fはゆっくりですが、中盤から1秒台のラップを刻み、直線の最速部分では10秒台というレースぶりは、過去の安田記念に適合する要素が多いように感じます。


2020年11月22日 阪神11R マイルCS

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12.7 - 11.2 - 11.6 - 12.2 - 11.8 - 11.2 - 11.0 - 11.9(馬場差+0.2)

サリオスは大外枠から出遅れ、直線で猛烈に追い込んでの5着でした。

このレースはサリオスにとって不運が重なったもので、力負けではないと断言できます。

その理由は京都競馬場が改修工事のため、阪神競馬場への振替開催となっったことと、大外枠から出遅れて、コーナーでも大外を追い上げたロスの大きい競馬になったことです。

阪神1600mは中盤2Fのラップが緩みやすいコース形態をしています。実際にこのレースも逃げたレシステンシアが途中ペースを緩めて、中盤で24秒を記録。最高方のサリオスにとっては各馬が途中で息を入れられる&ギアチェンジ能力が活きる瞬発勝負になってしまったことは不運でした。

ギアチェンジが問われる瞬発戦と書きましたが、レースの勝馬であるディープ産駒グランアレグリアには、ことこのレースに関してはハーツクライ産駒サリオスは敵わないと思います。

ギアチェンジの速さ グラン 〉 サリオス

トップスピードの速さ グラン 〉 サリオス

一定ペースの持続 グラン 〈 サリオス

両馬の特徴を表すとこのようだと思います。上の2つが問われる展開にマイルCSがなってしまい、スタート直後に出遅れてしまった以上、グランアレグリアを逆転することは難しかったと感じます。(グランアレグリアの強さは別の機会に触れます)

一方、5着に敗れはしたものの、「これは強い」と思わせる部分がいくつもあります。そのあたりを見ていきます。

12.7 - 11.2 - 11.6 - 12.2 - 11.8 - 11.2 - 11.0 - 11.9(馬場差+0.2)

前半3F 35.5  中盤2F 24.0  後半3F 34.1

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800mの地点、ちょうどレースの半分です。1000〜800mのラップが緩んだため、後方の馬達も前と差を少し詰めています。この地点でサリオスと先頭との差は1.3秒程度。

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ラスト700m地点のパトロールビデオの映像がこちら。インから4頭分くらいのところを通って進出しようとしています。この時点で他馬よりもかなりのロスを受けて走っており、この区間(800〜400m)のラップは

11.8 - 11.2

です。

中盤で息が入ったことにより、先行馬に余裕がある中で、できるだけ先頭との距離を詰めなければなりません。しかし、大外枠&出遅れ&スロー展開&大外コーナー追い上げと悪条件が重なれば勝てません。むしろ直線だけでよく5着まで来たな〜という印象です。敗れはしたものの、悲観するものではなく、条件を考えればプラスとも言えます。


2021年4月4日 阪神11R 大阪杯

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12.2 - 10.9 - 11.9 - 11.9 - 11.9 - 12.6 - 12.0 - 11.9 - 11.4 - 12.9(馬場差-0.2)

前半3F 35.0 中盤4F 48.4  後半3F 36.2

後半3Fに時計がかかる展開&6F目に太字の12.6秒かかっていること、3コーナーから前へ進出していったコントレイルとグランアレグリアが脚を使ったことでラスト失速したことが重なりレイパパレが勝利を収めたレースかと思います。

このレースでサリオスは5着でした。道中はインの3番手を追走。直線は1頭だけインを走りました。

サリオスに限らず、グランアレグリアにも言えることですが、両馬にとって2000mはギリギリ守備範囲の距離なんだと思います。そうした中で雨が降り、時計のかかる、力を要する馬場になりスタミナを消費しやすい展開になったことは不運だったかと。

下の写真はスタートから600m付近のものです。松山騎手が手綱をしっかりと掴んでいることとからも馬が掛かっていることが分かります。前走がマイル戦だったことが影響しているのでしょう。

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次の写真は最後の直線でのもの。一頭だけ馬場のインを選択しています。騎手の真理としては、他の馬が外を選択するなかで、それほど荒れていないインを選択することは距離ロスを無くすことになるため、一か八かの賭けだったと思います。一方、インで一頭になることで、他馬と併せることができない点はマイナスでした。

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大阪杯のサリオスから何を言いたいかというと、マイルCSに続いて「条件が向かなかった。不運」ということです。

このレースが良馬場で行われていれば、また違った結果になったと強く感じます。


以上、過去3レースを見てきました。通して思うのは、天候や展開などの条件がサリオスに向いたのは毎日王冠のみ。他の2レースは参考外と言って良いほどに、本馬に向かなかったということです。

少なくとも、安田記念はこの2レースよりも条件は向くはずです。得意のマイル&実績のある東京コースへ替わるためです。

しかし、好転という意味ではグランアレグリアも同じです。では逆転の芽はどこにあるか。。それはレースのペースだと思います。

冒頭で示したように、グランアレグリアの勝利した昨年のレースは中盤2Fが他の2年に比べて時計を要する展開でした。つまりラスト3Fのギアチェンジ&トップスピード適正が強く求められる展開です。

今年の安田記念が、昨年より中盤が速いペースになり、かつラスト3Fが昨年より時計を要する展開になったときにサリオスがグランアレグリアを逆転する芽が出てくると思います。

今年の出走メンバーに現時点ですが、トーラスジェミニがいます。この馬、毎日王冠でもにげましたが、ある程度ペースを上げて逃げるので上述の昨年より中盤が締まる展開になる可能性が高いと踏んでいます。

以上、サリオスを中心としたレース考察でした。

別の記事ではサリオス以外の出走馬にもスポットを当ててみます。


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