グラスワンダー(数字から見る強さ)
ウマ娘を通じて競馬ファンになり、キャラの過去レースを見る方も多いと思います。実装されているキャラ達はGⅠ級がほとんどで、現役時代もその強さからファンを魅了していました。
私が競馬を見始めたのは中学3年の時だったと思います。ブックオフで中古のウイニングポストを購入したことがきっかけでした。そこから現実の競馬を見始めたとき、ターフで輝いていたのはスティルインラブとネオユニヴァース。どちらも三冠挑戦を控えた時期であり、競馬界の盛り上がりも非常に高かったことを覚えています。
今回取り上げるのはグラスワンダーです。私も現役時代をリアルタイムで見ていませんが、映像や書籍でその強さ、スペシャルウィーク始めライバル達との激闘を知りました。完全に個人的な見解ですが、グラスワンダーのベストレースはスペシャルウィークを負かした宝塚記念かと思っています。その宝塚記念を、ラップタイムを軸に見ていき、グラスワンダーという馬の強さを解明していきます。
1999年7月11日 阪神11R 宝塚記念 GⅠ
1着 グラスワンダー 2番人気
2着 スペシャルウィーク 1番人気
12.9 - 11.5 - 11.9 - 12.3 - 12.4 - 12.1 - 12.1 - 11.5 - 11.7 - 11.0 - 12.7
前半3F 36.3 中盤5F 50.3 後半3F 35.4 1000m通過 61.0
このレース、まずは12番のニシノダイオーが逃げて、ヒコーキグモが2番手の競馬。 前半3F36.3秒、1000m通過は61.0秒というのうは宝塚記念にしてはそれほど早くないペースです。1枚目の写真はちょうど1000m通過地点のものです。先頭から最後方までおおよそ1秒以内に収まり、馬群が固まっています。
2枚目の写真は600m通過地点のものです。先頭にいる紫の勝負服の馬がスペシャルウィークです。スペシャルウィークは1000m通過地点では5番手あたりにいましたが、ここから外を通り進出を開始しています。1000mから600mまでのレースラップは 12.1 - 12.1 ですので、スペシャル自身は11.8 - 11.8 くらいで走っているでしょうか。少しづつペースアップをしています。
一方のグラスワンダーは600mのハロン棒の後ろにいます。スペシャルからは0.3秒程度後ろでしょうか。
下の写真はラスト500m地点です。グラスワンダーはスペシャルウィークに向かって襲い掛かろうとしています。
そして300m地点でスペシャルの隣に並ぶ。
この間、ラスト600mから200mにかけてのラップは 11.7 - 11.0。グラスワンダー自身はインから3頭分ほど外を回って追い上げていますので、実質11.5-10.8くらいで走っているでしょうか。
あとはスペシャルウィークを突き放し、最後は3馬身の差をつけて勝利しました。そして、3着馬には2着のスペシャルウィークから7馬身もの差がついています(その3着馬もステイゴールド:ゴールドシップの父)。
このレースの凄さは2つあると感じます。1つ目はレースのペースがスローということで早めに進出を開始したスペシャルウィーク武豊騎手の手腕。2つ目は600mから200mでギアチェンジと一気のトップスピードに乗せたグラスワンダーの強さです。
1つ目の武豊騎手は、ここで動いたからこそレースが動き、ロングスパート(底力)が問われる、GⅠに相応しい展開になりました。もし武豊騎手が動かず、ラスト3Fの瞬発戦になっていたら、ここまで着差は開いていなかったと思います。スペシャルウィークがペースを上げたことで、スタミナと底力が一気に問われ、力が足りない馬は3、4コーナーにおいて、ふるいにかけられてしまった形です。
2つ目のグラスワンダーについては、まさに極限と思える末脚を使っています。11秒台が続く展開からのギアチェンジ→一気の加速。ラスト1000mから200mのグラスワンダーは11.8-11.8-11.5-10.8くらいかと思います。11秒台の早いペースが連続するのだから、馬にとってはもちろん苦しい。ですが、グラスワンダーの場合はさらにコーナー部分で、しかも外から一気に10秒台まで加速してスペシャルウィークを競り落としています。
並の馬でも前半がゆっくりであったり、直線部分であれば10秒台を出します。しかし、この宝塚記念の場合は一定の早いペースのなかで、さらにもう一段上のギアに入れて他馬を競り落とす。これがグラスワンダーが強いと言われる所以かと思います。
スペシャルウィークも勿論強い馬です。ただ、コースの適正で言えばスペシャルウィークは東京競馬場のような大きなコースのほうが強さが活きるタイプ。グラスワンダーは中山競馬場や阪神競馬場のような小回りのコースで、コーナー加速に優れたタイプだったと感じます。
この2頭が同じ時代に生まれて、それぞれの強さを見せてファンを魅了した。この時代にリアルタイムで見れていれば‥と思わずにはいられません。
スペシャルウィークは別の機会に取り上げてみたいと思います。
(タイトルの写真はグラスワンダーの息子、スクリーンヒーローです。7年前、北海道の牧場にて撮りました)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?